1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ~鼻ba→~長b 9UI
2 6 (イ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
ウ (ウ) 耳ba&~鼻ba&長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
ウ (オ) 長b ウ&E
1 6ウ (カ) ~長b アエMPP
1 6ウ (キ) 長b&~長b オカ&I
12 6 (ク) 長b&~長b イウキEE
123 (ケ) 長b&~長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
12 (サ)∀x~(象x&兎x) コ量化子の関係
12 (シ) ~(象a&兎a) サUE
ス (ス) 象a A
セ(セ) 兎a A
スセ(ソ) 象a&兎a スセ&I
12 スセ(タ) ~(象a&兎a)&(象a&兎a) シソ&I
12 ス (チ) ~兎a セタRAA
12 (ツ) 象a→~兎a スチCP
12 (テ)∀x(象x→~兎x) ツUI
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(象x→~兎x)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの耳であって、鼻ではなく、長い)}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)象は鼻は長く、鼻以外は長くない。然るに、
(ⅱ)兎の耳は鼻ではないが長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ「推論」は「妥当」である。
然るに、
(03)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎の耳は鼻ではないが長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(05)
① 象は鼻が長く、
② 兎は耳が長く、
③ 馬は顔が長い。
従って、
(05)により、
(06)
(象、兎、馬}であれば、
① 象が鼻が長く(、象以外の鼻は長くない)。
② 兎が耳が長く(、兎以外の鼻は長くない)。
③ 馬が顔が長く(、馬以外の顔は長くない)。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① AがBである。
② AはBであり、A以外はBでない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(08)
② A以外はBでない。
③ BはAである。
に於いて、
②=③ は「対偶(contraposition)」である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① AがBである。
② AはBであり、A以外はBでない。
③ AはBであり、BはAである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
① AはBである。
と言はずに、敢へて、
① AがBである。
と言ふのであれば、
② BはAである。
といふ、ことになる。
従って、
(10)により、
(11)
③ 私は大野です。
と言はずに、敢へて、
① 私が大野です。
と言ふのであれば、
② 大野は私です。
といふ、ことになる。
然るに、
(12)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① 私が大野です(私以外は大野ではない)。
② 大野は私です(私以外は大野ではない)。
といふことと、「既知と未知」とは、「関係」が無い。
令和5年4月13日、毛利太。
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