2019年8月22日木曜日

「論理式」にも「漢文」にも「括弧」は有ります。

(01)
(ⅰ)
1   (1)  ~P& Q   A
 2  (2)   P∨~Q   A
1   (3)  ~P      1&E
  4 (4)   P      A
1 4 (5)  ~P& P   34&I
  4 (6)~(~P& Q)  15RAA
1   (7)      Q   1&E
   8(8)     ~Q   A
1  8(9)   Q&~Q   78&I
   8(ア)~(~P& Q)  19RAA
 2  (イ)~(~P& Q)  2467ア∨E
12  (ウ) (~P& Q)&
       ~(~P& Q)  1イ&I
1   (エ) ~(P∨~Q)  2ウRAA
(ⅱ)
1   (1) ~(P∨~Q)  A
 2  (2)   P      A
 2  (3)   P∨~Q   2∨I
12  (4) ~(P∨~Q)&
         (P∨~Q)  13&I
1   (5)  ~P      24RAA
  6 (6)     ~Q   A
  6 (7)   P∨~Q   6∨I
1 6 (8) ~(P∨~Q)&
         (P∨~Q)  17&I
1   (9)    ~~Q   6RAA
1   (ア)      Q   9DN
1   (イ)  ~P& Q   5ア&I
従って、
(01)により、
(02)
①   ~P& Q 
② ~(P∨~Q)
に於いて、
①=② である。
(03)
(ⅲ)
1   (1) ~( P& Q)  A
 2  (2) ~(~P∨~Q)  A
  3 (3)   ~P      A
  3 (4)   ~P∨~Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  24&I
 2  (6)  ~~P      35RAA
 2  (7)    P      6DN
   8(8)      ~Q   A
   8(9)   ~P∨~Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  29&I
 2  (イ)     ~~Q   8RAA
 2  (ウ)       Q   イDN
 2  (エ)    P& Q   7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&
         ( P& Q)  1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)  2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q   カDN
(ⅳ)
1   (1) ~P∨~Q  A
 2  (2)  P& Q  A
  3 (3) ~P     A
 2  (4)  P     2&E
 23 (5) ~P&P   34&I
  3 (6)~(P& Q) 25RAA
   7(7)    ~Q  A
 2  (8)     Q  2&E
 2 7(9)  ~Q&Q  78&I
   7(ア)~(P& Q) 29RAA
1   (イ)~(P& Q) 1367ア∨E
従って、
(03)により、
(04)
③ ~(P& Q)
④  ~P∨~Q
に於いて、
③=④ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
①   ~P& Q 
② ~(P∨~Q)
③ ~(P& Q)
④  ~P∨~Q
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
cf.
ド・モルガンの法則
然るに、
(06)
②{~(真∨~偽)=~(真∨真)=~真}=
④{(~真∨~偽)= (偽∨真)= 真}=
従って、
(05)(06)により、
(07)
② ~(P∨~Q)
④  ~P∨~Q
に於いて、
②=④ ではない
従って、
(05)(07)により、
(08)
①   ~P&Q 
③ ~(P&Q)
に於いて、
①=③ ではない
然るに、
(09)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう;しかし「括弧」はその内部が連言でないかぎり削除しよう(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)。
従って、
(09)により、
(10)
① ~(P)&Q 
③ ~(P & Q)
であるならば、
①   ~P&Q 
③ ~(P&Q)
である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
①   ~P&Q 
③ ~(P&Q)
に於いて、
①=③ ではない。といふことは、
① ~(P)&Q 
③ ~(P & Q)
といふことに、他ならない。
従って、
(11)により、
(12)
① ~(P)&Q 
に於ける、
①  ( ) を「省略」した「形」が、
①   ~P&Q
である。といふ、ことになる。
然るに、
(13)
① ~(P)&Q 
② ~(P & Q)
といふ「2通り」を、
① 不(P)而Q 
② 不(P 而 Q)
とする。
(14)
P=有祝魲鮀之佞
Q=有宋朝之美
とする。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
① 不(P)而Q 
② 不(P 而 Q)
に於いて、
①=② ではないが故に、
① 不(有祝魲鮀之佞)而有宋朝之美。
② 不(有祝魲鮀之佞 而 有宋朝之美)。
に於いて、
①=② ではない。
然るに、
(16)
「論理式」に、「括弧」はあるが、
「 漢文 」に、「括弧」はない
従って、
(15)(16)により、
(17)
① 不有祝魲鮀之佞而有宋朝之美。
② 不有祝魲鮀之佞而有宋朝之美。
に於いて、
①=② ではない。
従って、
(15)(17)により、
(18)
漢文」の場合は、「括弧」を書かないが故に、
① 不P而Q。
② 不P而Q。
に於いて、
①=② ではない
然るに、
(19)
実は、どちらも意味が通じるのである。
① の方は、古注といって、伝統的な解釈であるが、
② の方は、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。「返り点」をつけると、
① 不祝魲鮀之佞而有宋朝之美
② 不祝魲鮀之佞而有宋朝之美
このように「不」が頭にきてるときは、どこまでかかるのか、ということをじっくりとと押さえてみることだ。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、326頁改)
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
返り点」を用ひない「漢文」の場合は、「括弧」が無いが故に、
① 不P而Q。 
② 不P而Q。
に於いて、
①=② ではない。
といふことは、朱熹(朱子)も、「そのやうに、意識してゐた」といふ、ことになる。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① 不P而Q。
と書かれてゐても、
① 不(P)而Q。
であるとするが、「古注」であって、
② 不P而Q。
と書かれてゐても、
② 不(P 而 Q)。
であるとするのが、「新注」である。
といふ、ことになる。
令和元年08月22日、毛利太。

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