2019年8月15日木曜日

「当世士大夫無不知有劉老人者」の「述語論理」(Ⅱ)。

(01)
(ⅰ)
1   (1) ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)   A
1   (2)    士大夫a→∀y(劉老人y→ 知ay)   1UE
 3  (3)    士大夫a                 A
13  (4)         ∀y(劉老人y→ 知ay)   23MPP
13  (5)           (劉老人b→ 知ab)   4UE
  6 (6)            劉老人b&~知ab    A
  6 (7)            劉老人b         6&E
136 (8)                  知ab    57MPP
  6 (9)                 ~知ab    6&E
136 (ア)             知ab&~知ab    89&I
13  (イ)          ~(劉老人b&~知ab)   6アRAA
13  (ウ)        ∀y~(劉老人y&~知ay)   イUI
13  (エ)        ~∃y(劉老人y&~知ay)   ウ量化子の関係
1   (オ)   士大夫a→~∃y(劉老人y&~知ay)   3エCP
1   (カ)  ~士大夫a∨~∃y(劉老人y&~知ay)   オ含意の定義
1   (キ)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  カ、ド・モルガンの法則
1   (ク)∀x~{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  キUI
1   (ケ)~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  ク量化子の関係
1   (〃)あるxは士大夫であって、あるyは劉老人であって、xがyを知らない。といふことはない。
(ⅱ)
1   (1)~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  A
1   (2)∀x~{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  1量化子の関係
1   (3)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  1UE
 4  (4)    士大夫a                 A
  5 (5)         ∃y(劉老人y&~知ay)     A
 45 (6)    士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)   A
145 (7)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}&
          {士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  45&I
14  (8)        ~∃y(劉老人y&~知ay)    57RAA
14  (9)        ∀y~(劉老人y&~知ay)   8量化子の関係
14  (ア)          ~(劉老人b&~知ab)   9UE
  イ (イ)            劉老人b         A
   ウ(ウ)                 ~知ab    A
  イウ(エ)            劉老人b&~知ab    ウエ&I
14イウ(オ)          ~(劉老人b&~知ab)&
                  (劉老人b&~知ab)   アエ&I
14イ (カ)                ~~知ab    ウオRAA
14イ (キ)                  知ab    カDN
14  (ク)            劉老人b→ 知ab    イキCP
14  (ケ)         ∀y(劉老人y→ 知ay)   クUI
1   (コ)    士大夫a→∀y(劉老人y→ 知ay)   4ケCP
1   (サ) ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)   コUI
1   (〃)すべてのxについて、xが士大夫であるならば、すべてyについて、yが劉老人であるならば、xはyを知ってゐる。
従って、
(01)により、
(02)
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}
に於いて、
① ならば ② であり、
② ならば ① である。
従って、
(02)により、
(03)
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
に於いて、
① だけが「正しく」、
② が「正しくない」。といふことはない。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1   (1) ∀x{士大夫x→ ∀y(劉老人y→ 知xy)} A
 2  (2) ∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)       A
1   (3)    士大夫a→ ∀y(劉老人y→ 知ay)  1UE
 2  (4) ∃x(士大夫x)                2&E
  5 (5)    士大夫a                 A
1 5 (6)          ∀y(劉老人y→ 知ay)  35MPP
1 5 (7)             劉老人b→ 知ab   6UE
 2  (8)          ∃y(劉老人y)       2&E
 2  (9)             劉老人b        A
125 (ア)                   知ab   79MPP
125 (イ)        士大夫a&劉老人b        59&I
125 (ウ)        士大夫a&劉老人b&知ab    アイ&I
125 (エ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   ウEI
1 5 (オ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   89エEE
1 5 (カ)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   オEI
12  (キ)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   45カEE
12  (〃)あるxとあるyについて、xは士大夫であって、yは劉老人であって、xはyを知ってゐる。 
(ⅱ)
1   (1)~∃x{士大夫x &∃y(劉老人y&~知xy)} A
 2  (2) ∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)       A
1   (3)∀x~{士大夫x &∃y(劉老人y&~知xy)} 1量化子の関係
1   (4)  ~{士大夫a &∃y(劉老人y&~知ay)} 3UE
1   (5)   ~士大夫a∨~∃y(劉老人y&~知ay)  4ド・モルガンの法則
1   (6)    士大夫a→~∃y(劉老人y&~知ay)  5含意の定義
 2  (7) ∃x(士大夫x)                2&E
  3 (8)    士大夫a                 A
1 3 (9)         ~∃y(劉老人y&~知ay)  68MPP
1 3 (ア)         ∀y~(劉老人y&~知ay)  9含意の定義
1 3 (イ)           ~(劉老人b&~知ab)  アUE
1 3 (ウ)            ~劉老人b∨ 知ab   イ、ド・モルガンの法則
1 3 (エ)             劉老人b→ 知ab   ウ含意の定義
 2  (カ)          ∃y(劉老人y)       2&E
   キ(キ)             劉老人b        A
1 3キ(ク)                   知ab   エキMPP
1 3キ(ケ)        士大夫a&劉老人b        8キ&I
1 3キ(コ)        士大夫a&劉老人b&知ab    クケ&I
1 3キ(サ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   コEI
123 (シ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   カキサEE
123 (ス)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   シEI
12  (セ)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   78スEE
12  (〃)あるxとあるyについて、xは士大夫であって、yは劉老人であって、xはyを知ってゐる。
従って、
(04)(05)により、
(06)
果たして、確かに、
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
に於いて、
① は「正しく」、
② も「正しい」。
然るに、
(07)
∃とは、存在限定子の事を指す。決して、決して「ヨ」ではない。
概要
数学・論理学において適当な、ある、を表す記号。存在限定子(existential quantifier)と呼ぶ。読み方は意味の通り、適当な、ある~と読まれる(英語だとthere exists, there is)。
(ニコニコ大百科)
従って、
(08)
有る
であって、それ故、
② ~x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}
であれば、
② ~x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}
である。
然るに、
(09)

であって、それ故、
~有x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}
であれば、
不有x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
である。
然るに、
(10)
不有
であって、それ故、
不有x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
であれば、
②  x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
である。
然るに、
(11)
②  x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
といふ「式」は、
②  {士大夫不[知〔(劉老人)〕]者}。
といふ「漢文」に、よく似てゐる
従って、
(07)~(11)により、
(12)
~∃x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}。
といふ「述語論理式」は、
{士大夫不[知〔(劉老人)〕]者}⇒
② {士大夫[〔(劉老人)〕知]不者}無=
② {士大夫にして[〔(劉老人)有るを〕知ら]不る者}無し
② 士大夫であって、劉老人の存在を知らない者は存在しない。
といふ「漢文・訓読」を、「想起」させる。
令和元年08月15日、毛利太。

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