(01)
① 何が最大の陸上動物か。
② 最大の陸上動物は何か。
といふ「問ひ」であれば、「答へ」は、「(唯一)象」である。
然るに、
(02)
「動物の種類」は、「膨大」であるため、
① 何が動物か。
② 動物は何か。
といふ「質問」に対しては、「答へよう」がない。
然るに、
(03)
①{象、机、椅子、パソコン、エアコン}
といふ風に、「限定」をした上で、
① 何が動物か。
② 動物は何か。
といふのであれば、
① 象が動物である。
② 動物は象である。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1 (1) ∀x(動物x→ 象x) A
1 (2) 動物a→ 象a 1UE
3 (3) ~象a A
4(4) 動物a A
1 4(5) 象a 24MPP
134(6) ~象a&象a 35&I
13 (7) ~動物a 46RAA
1 (8) ~象a→~動物a 37CP
1 (9)∀x(~象x→~動物x) 8UI
(ⅲ)
1 (1)∀x(~象x→~動物x) A
1 (2) ~象a→~動物a 1UE
3 (3) 動物a A
3 (4) ~~動物a 3DN
13 (5) ~~象a 24MTT
13 (6) 象a 5DN
1 (7) 動物a→ 象a 36CP
1 (8) ∀x(動物x→ 象x) 7UI
従って、
(04)により、
(05)
② ∀x( 動物x→ 象x)
③ ∀x(~象x→~動物x)
に於いて、すなはち、
② すべてのxについて(xが動物ならば、xは象である)。
③ すべてのxについて(xが象でないならば、xは動物ではない)。
に於いて、すなはち、
② 動物は象である。
③ 象以外は動物ではない。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① 象が動物である。
② 動物は象である。
③ 象以外は動物ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(07)
① 象が動物である。
といふのであれば、
① 象は動物でない。
といふことは、有りえない。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 象が動物である。
② 象は動物であり、動物は象である。
③ 象は動物であり、象以外は動物ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(01)(08)により、
(09)
① 象が最大の陸上動物である。
② 象は最大の陸上動物であり、最大の陸上動物は象である。
③ 象は最大の陸上動物であり、象以外は最大の陸上動物ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(10)
三上章先生は、
①「象が」は「主語」ではなく、「主格」であって、
②「象は」は「主語」ではなく、「主題」である。
と、されてゐて、
④ Elephants are the largest terrestrial animals.
に於ける、
④「Elephants」に関しては、「主語」である。
と、されてゐる。
cf.
その主張(主語廃止論)の骨子は、「主語」という語を用いず、「主格」と「主題」で分けてとらえなければならないというものであった。
三上章は、文の構造をコトとムードに分けて考えることを主張しており、「主格」については、コトの次元で述語と関係を持つものであるとしている。それに対し、「主題」についてはコトの次元を超えたムードの次元でやりとりされるとしており、「~ハ」と「~ガ」の問には文の構成上の問には文の構成上の役割として大きな差があることを指摘している(山室和也)。
然るに、
(11)
実際、文法学者が「主語」という「語」を使わなければならないことは、不幸なことだ。この語は、普通のことばでは、とりわけ「話題」(主題)という意味でも使われているからである(イェスペルセン著、安藤貞雄 訳、文法の原理(中)、2006年、45頁)。
従って、
(11)により、
(12)
「主語」であることと、
「主題」であることとは、「矛盾」しない。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
④ Elephants are the largest terrestrial animals.
に於ける、
④「Elephants」が、
④「主語」であって、尚且つ、
④「主題」であったとしても、「矛盾」しない。
然るに、
(14)
① 父愛息子(The father loves his son)。
② 息子愛父(The son loves his father)。
に於いて、
① であれば、「愛する」のは「 父 」であって、
② であれば、「愛する」のは「息子」である。
然るに、
(15)
③ Pater(主格) amat(3人称単数現在) filium(対格).
④ Filium(対格) amat(3人称単数現在) pater(主格).
に於いて、
③ であっても、「愛する」のは「父(Pater)」であって、
④ であっても、「愛する」のは「父(pater)」である。
従って、
(15)により、
(16)
③ Pater(主格) amat(3人称単数現在) filium(対格).
④ Filium(対格) amat(3人称単数現在) pater(主格).
といふ「ラテン語」の場合は、
単 数 複 数
主格 pater patres
呼格 pater patres
属格 patris patrum
与格 patri patribus
対格 patrem patres
奪格 patre patribus
に於ける、
主格 pater patres
といふ「語の形」が、「主語」を、担ってゐる。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
(ⅰ)「漢文や英語」であれば、「語順」が、「主語(といふ役割)」を担ってゐて、その一方で、
(ⅱ)「ラテン語」等であれば、「主格」といふ「語形」が、「主語(といふ役割)」を担ってゐる。
従って、
(17)により、
(18)
③ Pater(主格) amat(3人称単数現在) filium(対格).
④ Filium(対格) amat(3人称単数現在) pater(主格).
に於いて、
③ Pater(主格)
④ pater(主格)
である。といふことは、
③ Pater(主語)
④ pater(主語)
といふことと、「同じ」である。
要するに、
(19)
ラテン語やギリシャ語でいふ「主格形」といふのは、「その語が、主語」であることを、示すための「語形」である。
従って、
(20)
① 象が最大の陸上動物である。
② 象は最大の陸上動物であり、最大の陸上動物は象である。
③ 象は最大の陸上動物であり、象以外は最大の陸上動物ではない。
に於ける、
① 象が
といふ「語」が、「主格(主語)」である。
といふのであれば、
① 象が
といふ「語」は、「主語(主格)」である。
といふ、ことになる。
然るに、
(21)
15.格の使い方
格のつかい方は複雑である。次に説明のために、ごく簡単なつかいかただけを挙げておく。
1.主格 これは動詞の主語としてつかわれ、日本語の「は」、「が」(従属節では「の」まではいる)に当る。
(松村正俊、ラテン語四週間、1961年、18頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
① 象が最大の陸上動物である。
② 象は最大の陸上動物であり、最大の陸上動物は象である。
③ 象は最大の陸上動物であり、象以外は最大の陸上動物ではない。
に於ける、
① 象が
② 象は
③ 象は
は、3つとも、「主語(主格)」である。
従って、
(13)(22)により、
(23)
私が思ふに、
① 象が最大の陸上動物である。
② 象は最大の陸上動物であり、最大の陸上動物は象である。
③ 象は最大の陸上動物であり、象以外は最大の陸上動物ではない。
に於ける、
① 象が
② 象は
③ 象は
は、3つとも、「主語」である。
(24)
三上章先生は、
「話題」は「主語」ではないとし、
「主格」も「主語」ではない。とする。
(25)
私自身は、
「象_」を「話題」にする際には、
「象は」を「主語とする」か、
「象が」で「主語とする」かの、どちらかであって、
「象は」は、敢へて言へば、「ラテン語文法」等でいふ「主格形」であって、
「象が」も、敢へて言へば、「ラテン語文法」等でいふ「主格形」である。
といふ風に、考へてゐる。
(26)
「象は」と、
「象が」の「違ひ」については、例へば、
① 象は最大の陸上動物である=象は最大の陸上動物である。
② 象が最大の陸上動物である=象は最大の陸上動物であり、象以外は最大の陸上動物ではない。
の「違ひ」であると、確信してゐる。
令和03年02月20日、毛利太。
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