(01)
(22)∃x{(Ix&Ox)&∀y(Iy→x=y)}
― ある人はイリアスを書いた、そしてオデュッセイアを書いた、そしてさらにその人はイリアスを書いたただ1人に人である。―
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、177頁)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1 (1)~∃x{(Ix&Ox)& ∀y(Iy→x=y)} A
1 (2)∀x~{(Ix&Ox)& ∀y(Iy→x=y)} 1量化子の関係
1 (3) ~{(Ia&Oa)& ∀y(Iy→a=y)} 1UE
1 (4) ~(Ia&Oa)∨~∀y(Iy→a=y) 3ド・モルガンの法則
1 (5) (Ia&Oa)→~∀y(Iy→a=y) 4含意の定義
2(6) (Ia&Oa) A
12(7) ~∀y(Iy→a=y) 56MPP
12(8) ∃y~(Iy→a=y) 7量化子の関係
12(9) ~(Ib→a=b) A
12(ア) ~(~Ib∨a=b) 9含意の定義
12(イ) Ib&a≠b アド・モルガンの法則
12(ウ) ∃y(Iy&a≠y) イEI
1 (エ) (Ia&Oa)→ ∃y(Iy&a≠y) 2ウCP
1 (オ) ∀x{(Ix&Ox)→ ∃y(Iy&x≠y)} エUI
(ⅱ)
1 (1) ∀x{(Ix&Ox)→ ∃y(Iy&x≠y)} A
1 (2) (Ia&Oa)→ ∃y(Iy&a≠y) 1UE
3 (3) (Ia&Oa) 23MPP
13 (4) ∃y(Iy&a≠y) 23MPP
13 (5) (Ib&a≠b) A
6(6) ~(~Ib∨a≠b) 5ド・モルガンの法則
6(7) ~(Ib→a≠b) 6含意の定義
6(8) ∃y~(Iy→a≠y) 7EI
13 (9) ∃y~(Iy→a≠y) 568EE
13 (ア) ~∀y(Iy→a≠y) 9量化子の関係
1 (イ) (Ia&Oa)→~∀y(Iy→a≠y) 3アCP
1 (ウ) ~(Ia&Oa)∨~∀y(Iy→a=y) イ含意の定義
1 (エ) ~{(Ia&Oa)& ∀y(Iy→a=y)} ウ、ド・モルガンの法則
1 (オ)∀x~{(Ix&Ox)& ∀y(Iy→x=y)} エUI
1 (カ)~∃x{(Ix&Ox)& ∀y(Iy→x=y)} オ量化子の関係
従って、
(02)により、
(03)
① ∃x{(Ix&Ox)&∀y(Iy→x=y)}
② ~∃x{(Ix&Ox)&∀y(Iy→x=y)}
③ ∀x{(Ix&Ox)→∃y(Iy&x≠y)}
に於いて、
② は、①の「否定」であって、
③=② である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① ∃x{(Ix&Ox)&∀y(Iy→x=y)}
② ある人はイリアスを書いた、 そしてオデュッセイアを書いた、そしてさらにその人は、イリアスを書いたただ1人に人である。
③ ∀x{(Ix&Ox)→∃y(Iy&x≠y)}
④ いかなる人がイリアスを書き、そしてオデュッセイアを書いたとしても、その人以外にもイリアスを書いた人がゐる。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
③ は、①の「否定」である。
然るに、
(05)
h=ホメロス
であるとして、
1 (1)~∃x{(Ix&Ox)& ∀y(Iy→x=y)} A
1 (2)∀x~{(Ix&Ox)& ∀y(Iy→x=y)} 1量化子の関係
1 (3) ~{(Ih&Oh)& ∀y(Iy→h=y)} 1UE
1 (4) ~(Ih&Oh)∨~∀y(Iy→h=y) 3ド・モルガンの法則
1 (5) (Ih&Oh)→~∀y(Iy→h=y) 4含意の定義
2(6) (Ih&Oh) A
12(7) ~∀y(Iy→h=y) 56MPP
12(8) ∃y~(Iy→h=y) 7量化子の関係
12(9) ~(Ib→h=b) A
12(ア) ~(~Ib∨h=b) 9含意の定義
12(イ) Ib&h≠b アド・モルガンの法則
12(ウ) ∃y(Iy&h≠y) イEI
従って、
(05)により、
(06)
~∃x{(Ix&Ox)&∀y(Iy→x=y)},(Ih&Oh)├ ∃y(Iy&h≠y)
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
(ⅰ)いかなる人がイリアスを書き、そしてオデュッセイアを書いたとしても、その人以外にもイリアスを書いた人がゐる。然るに、
(ⅱ)ホメロスは、イリアスを書き、そしてオデュッセイアを書いた。従って、
(ⅲ)ホメロス以外にも、イリアスを書いた人がゐる。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(08)
(ⅰ)いかなる人がイリアスを書き、そしてオデュッセイアを書いたとしても、その人以外にもイリアスを書いた人がゐる。然るに、
(ⅱ)ホメロスは、イリアスを書き、そしてオデュッセイアを書いた。従って、
(ⅲ)ホメロス以外にも、イリアスを書いた人がゐる。
といふことは、「当然」であるため、その「意味」では、わざわざ、「述語論理」を学ぶ「必要」はない。
然るに、
(09)
従って、
(09)により、
(10)
フレーゲといふ数学者が、
∀ε∃δ∀x(│x-a│<δ⊃│f(x)-f(a)│<ε)⇔
いかなるεであっても、そのεに対して、次のやうなδが存在する、すなはち、すべてのxについて(│x-a│<δ⊃│f(x)-f(a)│<ε)といふ、そのやうなδが存在する。
といふことを、言ひたいがために、「述語論理」は「発明」された。
との、ことである。
従って、
(06)(10)により、
(11)
~∃x{(Ix&Ox)&∀y(Iy→x=y)}
∀ε∃δ∀x(│x-a│<δ⊃│f(x)-f(a)│<ε)
といふ「述語論理式」は、ある種の「数式」である(?)。
令和04年07月21日、毛利太。
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