2022年7月14日木曜日

「強選言(排他的選言)」と「弱選言(包含的選言)」と「選言三段論法」(Ⅱ)。

(01)
日本語の接続詞「あるいは」には、両立的選言(選言)と排他的選言(選言)の二つの意味があることに注意してほしい。

 ― 中略 ―
排他的選言の方は∨と&と~によって簡単に表現できる―(P∨Q)&~(P&Q)―。
選言記号∨に対応する日本語には、「または」「もしくは」「・・・か・・・」などがある。
(昭和堂入門選書25、論理学の基礎、1994年、11頁改)
従って、
(01)により、
(02)
①「排他的選言(選言)」
②(P∨Q)&~(P&Q)
③(Pまたは、Qである)が、(PであってQである)といふことはない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1   (1)   P∨ Q  A
 2  (2)  ~P&~Q  A
  3 (3)   P     A
 2  (4)  ~P     2&E
 23 (5)   P&~P  34&I
  3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
   7(7)      Q  A
 2  (8)     ~Q  2&E
 2 7(9)   Q&~Q  78&I
   7(ア)~(~P&~Q) 29RAA
1   (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
(ⅱ)
1   (1)~(~P&~Q)  A
 2  (2) ~(P∨ Q)  A
  3 (3)   P      A
  3 (4)   P∨ Q   3∨I
 23 (5) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  24&I
 2  (6)  ~P      35RAA
   7(7)      Q   A
   7(8)   P∨ Q   7∨I
 2 7(9) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  28&I
 2  (ア)     ~Q   79RAA
 2  (イ)  ~P&~Q   6ア&I
12  (ウ)~(~P&~Q)&
        (~P&~Q)  1イ&I
1   (エ)~~(P∨ Q)  2ウRAA
1   (オ)   P∨ Q   エDN
従って、
(03)により、
(04)
①    P∨ Q
② ~(~P&~Q)
に於いて、
①=② である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
①「排他的選言(選言)」
②   (P∨  Q)&~(P&Q)
③ ~(~P&~Q)&~(P&Q)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(01)(05)により、
(06)
①   (P∨ Q)
②   (P∨  Q)&~(P&Q)
③ ~(~P&~Q)&~(P&Q)
に於いて、
① は「両立的選言(選言)」であって、
② は「排他的選言(選言)」である。
③ も「排他的選言(選言)」である。
然るに、
(07)
1    (1)~(~P&~Q)&~(P& Q) A
1    (2)~(~P&~Q)         1&E
 3   (3)  ~P             A
  4  (4)     ~Q          A
 34  (5)  ~P&~Q          34&I
134  (6)~(~P&~Q)&(~P&~Q) 25&I
13   (7)    ~~Q          46RAA
13   (8)      Q          7DN
1    (9)  ~P→ Q          38CP
1    (ア)         ~(P& Q) 1&E
   イ (イ)           P     A
    ウ(ウ)              Q  A
   イウ(エ)           P& Q  アウ&I
1  イウ(オ)  ~(P& Q)&(P& Q) アエ&I
1  イ (カ)             ~Q  ウオRAA
1    (キ)           P→~Q  イカCP
1    (ク)   (~P→Q)&(P→~Q) 9キ&I
従って、
(06)(07)により、
(08)
①   (P∨ Q)
②   (P∨  Q)&~(P&Q)
③ ~(~P&~Q)&~(P&Q)
に於いて、
① ├(~P→Q)
② ├(~P→Q)&(P→~Q)
③ ├(~P→Q)&(P→~Q)
といふ「連式」は「妥当」である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
一般に自然言語では、論理和的な文がこれら2つのうちどちらの意味であるかは曖昧な場合が多いが、その違いは重要である。
Pであるか、またはQである。
Pでない。
したがって、Qである。
この場合、「両立的」にも「排他的」にも解釈できる。しかし、次の場合は「排他的論理和」でのみ成り立つ。
Pであるか、またはQである。
Pである。
したがって、Qでない。
「両立的論理和」と解釈すると、上記の帰結は導けない。これを『選言肯定の誤謬』という(ウィキペディア改)。
といふ「説明」は、「正しい」。
令和04年07月14日、毛利太。

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