(01)
2 つぎの論証を等号を含む述語計算の記号に翻訳し、それに対応うる連式の妥当性を示すことによって、論証の健全性を証明せよ。
(d)多くとも1人(at most one)の無法な国家主席がいる。毛沢東は無法な国家主席である。ジョンソンは毛沢東ではない。故にジョンソンは無法な国家主席ではない。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、215頁)
然るに、
(02)
F=無法な国家主席である(といふ述語文字)。
j=ジョンソン(といふ名前の個人)。
m=毛沢東(といふ名前の個人)。
とする。
然るに、
(03)
① ∃x∃y(Fx&Fy&x≠y)。
② 少なくとも、2人以上のFがゐる。
③ あるxとyについて(xはFであり、yもFであり、xとyは同じではない)。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
① ~∃x∃y(Fx&Fy&x≠y)。
② Fは0人か、または、Fは1人である。
③ 多くとも1人のFがゐる(0人か1人がFである)。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(05)
1 (1)~∃x∃y(Fx&Fy&x≠y) A
1 (2)∀x~∃y(Fx&Fy&x≠y) 1量化子の関係
1 (3)∀x∀y~(Fx&Fy&x≠y) 2量化子の関係
1 (4) ∀y~(Fm&Fy&m≠y) 3UE
1 (5) ~(Fm&Fj&m≠j) 4UE
1 (6) ~{(Fm&Fj)&m≠j} 5結合法則
1 (7) ~(Fm&Fj)∨m=j 6ド・モルガンの法則
1 (8) (Fm&Fj)→m=j 7含意の定義
9 (9) Fm A
ア(ア) m≠j A
1 ア(イ) ~(Fm&Fj) 8アMTT
1 ア(ウ) ~Fm∨~Fj イ、ド・モルガンの法則
1 ア(エ) Fm→~Fj ウ含意の定義
19ア(オ) ~Fj 9エMPP
従って、
(05)により、
(06)
(ⅰ)~∃x∃y(Fx&Fy&x≠y)。然るに、
(ⅱ) Fm。 故に、
(ⅲ)~Fj。
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
(ⅰ)「無法な国家主席は、多くとも一人(at most one)しかゐない。」然るに、
(ⅱ)「毛沢東は無法な国家主席である。」従って、
(ⅲ)「ジョンソンは無法な国家主席ではない。」
といふ「推論」は、「日本語」としてだけでなく、「述語論理」としても、「妥当」である。
令和04年07月17日、毛利太。
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