2020年11月6日金曜日

「ルカジェヴィッツの公理(1)」の「証明(計算)」について。

(01)
① 悪天候なので、外出しない
② 悪天候であっても、外出する
に於いて、
①と② は「矛盾」する。
従って、
(01)により、
(02)
① 悪天候なので、外出しない。
② 悪天候であっても、外出する。
に於いて、
① が「(本当)」であるならば、
② は「(ウソ)」である。
然るに、
(03)
② 悪天候であっても、外出する
③ 悪天候ならば、外出しない
に於いて、
② が「」である。
といふことは、
③ が「」である。
といふことである。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「番号」を付け直すと、
① 悪天候なので、家に居る。
② 悪天候ならば、家に居る。
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(04)により、
(05)
① Pなので、Qである。
② Pならば、Qである。
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(06)
「・・・・・という仮定が与えられたならば、・・・・・と正しく結論することが出来る」という煩雑な表現の略記法があれば好都合であろう。このためにわたしは、論理学の文献のなかでしばしば、しかし誤解を招きやすい仕方で、断定記号(assertion-sign)とよばれている記号、
 
を導入する。これは「故に」(therefore)と読むのが便利であろう。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① P Q(Pなので、Qである。)
② P Q(Pならば、Qである。)
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(07)により、
(08)
① P├ Q
② P→ Q
だけでなく、
① P├(Q→P)
② P→(Q→P)
に於いても、
① ならば、② である。
然るに、
(09)
1     (1)     P   A
1     (2)  ~Q∨P   1∨I
 3    (3)  ~P&Q   A
  4   (4)  ~Q     A
 3    (5)     Q   3&E
 34   (6)  ~Q&Q   45&I
  4   (7)~(~P&Q)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)  ~P     3&E
 3 8  (ア)  ~P&P   89&I
   8  (イ)~(~P&Q)  3アRAA
1     (ウ)~(~P&Q)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~P     A
     オ(オ)     Q   A
    エオ(カ)  ~P&Q   エオ&I
1   エオ(キ)~(~P&Q)&
          (~P&Q)  ウカ&I
1    オ(ク)   ~~P   オキRAA
1    オ(ケ)     P   クDN
1     (コ)   Q→P   オケCP
      (サ)P→(Q→P)  1コCP
然るに、
(10)
証明の各行の左側に仮定数字であげる方法は、伝統的な方法にくらべて遥かに明瞭であるとわたしには思われる。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、序ⅲ)
従って、
(09)(10)により、
(11)
     (1)     P     A
といふことは、
     (1)     P     A
といふことであって、
は「真」。(1)     Pは「真」。A
といふことである。
従って、
(09)(11)により、
(12)
「計算(09)」は、
P     (1)     P   A
P     (2)  ~Q∨P   1∨I
 3    (3)  ~P&Q   A
  4   (4)  ~Q     A
 3    (5)     Q   3&E
 34   (6)  ~Q&Q   45&I
  4   (7)~(~P&Q)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)  ~P     3&E
 3 8  (ア)  ~P&P   89&I
   8  (イ)~(~P&Q)  3アRAA
P     (ウ)~(~P&Q)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~P     A
     オ(オ)     Q   A
    エオ(カ)  ~P&Q   エオ&I
P   エオ(キ)~(~P&Q)&
          (~P&Q)  ウカ&I
P    オ(ク)   ~~P   オキRAA
P    オ(ケ)     P   クDN
P     (コ)   Q→P   オケCP
      (サ)P→(Q→P)  1コCP
といふ「計算」と、「同じ」である。
然るに、
(13)
① P     (コ)   Q→P   オケCP
②       (サ)P→(Q→P)  1コCP
といふ「2行」は、
① P├(Q→P)
② P→(Q→P)
に於いて、
① ならば、② である。
といふことを、「意味」してゐる。
(08)(13)により、
(14)
① P├(Q→P)
② P→(Q→P)
に於いて、
① ならば、② である。
といふことは、E.J.レモン先生も、認めてゐる。
然るに、
(15)
系Ⅰ:命題計算のすべての定理はトートロジー的である。
系Ⅱ:命題計算は無矛盾である。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、102頁)
従って、
(10)~(15)により、
(16)
① P     (コ)   Q→P   オケCP
②       (サ)P→(Q→P)  1コCP
に於いて、
③   P は「」であり、
④ Q→P も「」である。
然るに、
(17)
② P→(Q→P)
に於いて、
③   P は「真」であり、
④ Q→P も「」である。
といふことは、
② が、「」である。
といふ、ことである。
従って、
(17)により、
(18)
② P→(Q→P)
② 真→(Q→真)
であるものの、この場合は、「真理表(Truth table)」により、
② P→(→P) であっても、
② P→(→P) であっても、両方とも、「真」である。
従って、
(09)(18)により、
(19)
は「(True)」であるが、
Q は「真・偽不明」であるとして、「計算(09)」は、
T     (1)     T   A
T     (2)  ~Q∨T   1∨I
 3    (3)  ~T&Q   A
  4   (4)  ~Q     A
 3    (5)     Q   3&E
 34   (6)  ~Q&Q   45&I
  4   (7)~(~T&Q)  36RAA
   8  (8)     T   A
 3    (9)  ~T     3&E
 3 8  (ア)  ~T&T   89&I
   8  (イ)~(~T&Q)  3アRAA
T     (ウ)~(~T&Q)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~T     A
     オ(オ)     Q   A
    エオ(カ)  ~T&Q   エオ&I
T   エオ(キ)~(~T&Q)&
          (~T&Q)  ウカ&I
T    オ(ク)   ~~T   オキRAA
T    オ(ケ)     T   クDN
T     (コ)   Q→T   オケCT
      (サ)T→(Q→T)  1コCT
といふ風に、書くことが、出来る。
然るに、
(20)
 ルカジェヴィッツによる公理
(1) P→(Q→P)
(2){P→(Q→R)}→{(P→Q)→(P→R)}
(3)(~P→~Q)→(Q→P)
(これはフレーゲが提出した6つの公理をより簡単にしたものである。)
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、173頁)
従って、
(19)(20)により、
(21)
(1)P→(Q→P)
といふ「ルカジェヴィッツによる公理(1)」は、昨日も書いたものの、
(1)Pであるならば(Qであらうと、Qでなからうと、いづれにせよ、Pである。)
といふ「意味」になる。
然るに、
(22)
は「(False)」であるが、
Q は「真・偽 不明」 であるとして、「計算(09)」が、
F     (1)     F   A
F     (2)  ~Q∨F   1∨I
 3    (3)  ~F&Q   A
  4   (4)  ~Q     A
 3    (5)     Q   3&E
 34   (6)  ~Q&Q   45&I
  4   (7)~(~F&Q)  36RAA
   8  (8)     F   A
 3    (9)  ~F     3&E
 3 8  (ア)  ~F&F   89&I
   8  (イ)~(~F&Q)  3アRAA
F     (ウ)~(~F&Q)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~F     A
     オ(オ)     Q   A
    エオ(カ)  ~F&Q   エオ&I
F   エオ(キ)~(~F&Q)&
          (~F&Q)  ウカ&I
F    オ(ク)   ~~F   オキRAA
F    オ(ケ)     F   クDN
F     (コ)   Q→F   オケCP
      (サ)F→(Q→F)  1コCP
といふ風に、書くことが、出来る。
といふ風に、「仮定」する。
然るに、
(23)
は「(False)」であるが、
Q は「真・偽 不明」であるとしても、
(1)F→(Q→F)
といふ「式」は、「」である。
然るに、
(24)
F     (1)     F   
に於ける、「仮定の規則)」は、「なる命題」の「仮定を許さない
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
「計算(22)」は、「マチガイ」であって、次に示す、
「計算(26)」が、「正しい」。
(26)
~F     (1)      ~F   A
~F     (2)   ~Q∨~F   1∨I
  3    (3)   ~~F&Q   A
   4   (4)   ~Q      A
  3    (5)       Q   3&E
  34   (6)   ~Q& Q   45&I
  4    (7) ~(~~F&Q)  36RAA
    8  (8)      ~F   A
  3    (9)   ~~F     3&E
  3 8  (ア)   ~~F&~F  89&I
    8  (イ) ~(~~F&Q)  3アRAA
~F     (ウ) ~(~~F&Q)  2478イ∨E
     エ (エ)   ~~F     A
      オ(オ)       Q   A
     エオ(カ)   ~~F&Q   エオ&I
~F   エオ(キ) ~(~~F&Q)&
            (~~F&Q)  ウカ&I
~F    オ(ク)    ~~~F   オキRAA
~F    オ(ケ)      ~F   クDN
~F     (コ)    Q→~F   オケCP
       (サ)~F→(Q→~F)  1コCP
従って、
(22)(26)により、
(27)
       (サ) F→(Q→ F)  1コCP
といふ「結論」は、「マチガイ」であって、
       (サ)~F→(Q→~F)  1コCP
といふ「結論」こそが、「正しい」。
従って、
(09)(19)(27)により、
(28)
1     (1)     P   A
1     (2)  ~Q∨P   1∨I
 3    (3)  ~P&Q   A
  4   (4)  ~Q     A
 3    (5)     Q   3&E
 34   (6)  ~Q&Q   45&I
  4   (7)~(~P&Q)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)  ~P     3&E
 3 8  (ア)  ~P&P   89&I
   8  (イ)~(~P&Q)  3アRAA
1     (ウ)~(~P&Q)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~P     A
     オ(オ)     Q   A
    エオ(カ)  ~P&Q   エオ&I
1   エオ(キ)~(~P&Q)&
          (~P&Q)  ウカ&I
1    オ(ク)   ~~P   オキRAA
1    オ(ケ)     P   クDN
1     (コ)   Q→P   オケCP
      (サ)P→(Q→P)  1コCP
といふ「計算」が「証明」してゐるのは、
      (サ)→(Q→) といふ「恒真式」であって、
      (〃)→(Q→) といふ「恒真式」ではない
令和02年11月06日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿