2021年3月24日水曜日

├ ∀x(Fx∨Gx)の「なるほど、分かったぞ!(エウレカ)」。

(01)
112 ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
1  (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2 (2)∀x(Fx)        A
 2 (3)   Fa         1UE
 2 (4)   Fa∨Ga      3∨I
 2 (5)∀x(Fx∨Gx)     4UI
  6(6)       ∀x(Gx) A
  6(7)          Ga  6UE
  6(8)       Fa∨Ga  7∨I
  6(9)    ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1  (ア)∀x(Fx∨Gx)     12569∨E
「すべてのものがFをもつか、あるいはすべてのものがGをもつ。」ならば、「すべてのものはFあるいはGをもつ。」
証明は ∨E による。(5)と(9)の行において、UIを用いる際に、仮定された選言(1)のいずれの選言項にも「」が含まれず、
従って、制限が満たされていることに注意する。
 逆の連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx) は妥当ではない。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155頁改)
従って、
(01)により、
(02)
E.J.レモンが述べてゐるやうに、「結論」として、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない
然るに、
(03)
{すべてのもの}={a,b,c}
であるとする。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)∀x(Fx)≡「すべてのもの(a,b,c)が性質Fを持つ。」といふことは、
(〃)∀x(Fx)≡「はFを持ち、もFを持ち、もFを持つ。」といふことである。
従って、
(04)により、
(05)
(ⅱ)「は性質Fを持たない(aはFでない)。」
とするならば、それだけで
(ⅱ)~∀x(Fx)≡「すべてのもの,b,c)が、性質Fを持つ。」といふわけではない
従って、
(05)により、
(06)
(ⅰ)「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「は性質Fを持たない。」 従って、
(ⅲ)「すべてのもの()が、性質Gを持つ。」
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
然るに、
(07)
(ⅲ)「すべてのもの()が、性質Gを持つ。」といふのであれば、必然的に
(ⅳ)「は性質Gを持つ。」
従って、
(06)(07)により、
(08)
(ⅰ)「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「は性質Fを持たない。」 従って、「選言三段論法」により、
(ⅲ)「すべてのもの(,b,c)が、性質Gを持つ。」が故に、「は性質Gを持つ。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)により、
(09)
(ⅰ)「すべてのもの(b,a,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(b,a,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「は性質Fを持たない。」 従って、「選言三段論法」により、
(ⅲ)「すべてのもの(,a,c)が、性質Gを持つ。」が故に、「は性質Gを持つ。」
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
(ⅰ)「すべてのもの(c,a,b)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(c,a,b)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「は性質Fを持たない。」 従って、「選言三段論法」により、
(ⅲ)「すべてのもの(,a,b)が、性質Gを持つ。」が故に、「は性質Gを持つ。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
(ⅰ)「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「aか、bか、cの、いづれかが、性質Fを持たない。」 が故に、
(ⅲ)「すべてのもの(a,b,c)が、性質Gを持つ。」
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(11)により、
(12)
①「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
②「aか、bか、cの、いづれかが、性質Fを持たない。」ならば、「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(02)(12)により、
(13)
「記号」で書くと、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(~Fx→Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(14)
1    (1)  ∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2   (2)  ∀x(Fx)        A
 2   (3)~~∀x(Fx)        2DN
 2   (4)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 3∨I
  5  (5)         ∀x(Gx) A
  5  (6)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 5∨I
1    (7)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 12456∨E
1    (8) ~∀x(Fx)→∀x(Gx) 7含意の定義
   9 (9) ∃x(~Fx)        A
   9 (ア) ~∀x(Fx)        9量化子の関係
1  9 (イ)         ∀x(Gx) 8アMPP
1    (ウ) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 9イCP
    エ(オ)    ~Fa         A
    エ(カ) ∃x(~Fx)        オEI
1   エ(キ)         ∀x(Gx) ウカMPP
1   エ(ク)            Ga  キUE
1    (ケ)    ~Fa→Ga      エクCP
1    (コ) ∀x(~Fx→Gx)     ケUI
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(~Fx→Gx)
に於いて、すなはち、
①「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
②「aか、bか、cの、いづれかが、性質Fを持たない。」ならば、「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
に於いて、
① ならば、② である。
といふことは、「述語計算(Predicate calculus)」としても、「正しい」。
然るに、
(16)
(ⅰ)
1     (1)∀x(~Fx→Gx)  A
1     (2)   ~Fa→Ga   1UE
 3    (3)  ~(Fa∨Ga)  A
  4   (4)    Fa      A
  4   (5)    Fa∨Ga   4∨I
 34   (6)  ~(Fa∨Ga)&
            (Fa∨Ga)  35&I
 3    (7)   ~Fa      46RAA
13    (8)       Ga   27MPP
13    (9)    Fa∨Ga   8∨I
13    (ア)  ~(Fa∨Ga)&
            (Fa∨Ga)  39&I
1     (イ) ~~(Fa∨Ga)  3アRAA
1     (ウ)   (Fa∨Ga)  イDN
1     (オ) ∀x(Fx∨Gx)  ウUI
(ⅱ)
1     (1)∀x(Fx∨ Gx)  A
1     (2)   Fa∨ Ga   1UE
 3    (3)  ~Fa&~Ga   A
  4   (4)   Fa       A
 3    (5)  ~Fa       3&E
 34   (6)   Fa&~Ga   45&I
  4   (7)~(~Fa&~Ga)  36RAA
   8  (8)       Ga   A
 3    (9)      ~Ga   3&E
 3 8  (ア)   Ga&~Ga   89&I
   8  (イ)~(~Fa&~Ga)  3アRAA
1     (ウ)~(~Fa&~Ga)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~Fa       A
     オ(オ)      ~Ga   A
    エオ(カ)  ~Fa&~Ga   エオ&I
1   エオ(キ)~(~Fa&~Ga)&
          (~Fa&~Ga)  ウカ&I
1   エ (ク)     ~~Ga   オキRAA
1   エ (ケ)       Ga   クDN
1     (コ)   ~Fa→Ga   エケCP
1     (サ)∀x(~Fx→Gx)  コUI
従って、
(16)により、
(17)
① ∀x(~Fx→Gx)
② ∀x( Fx∨Gx)
に於いて、
①=② である(含意の定義)。
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
といふことは、「述語計算(Predicate calculus)」としても、「正しい」。
然るに、
(19)
② ∀x(Fx∨Gx)
といふことは、
② すべてのもの(x)は、Fであるか、または、Gである。
といふ、ことである。
従って、
(03)(19)により、
(20)
② ∀x(Fx∨Gx)
②「すべてのもの(x)は、であるか、または、Gである。」
といふのであれば、例へば、
① aはではあるが、Gではなく、
① bはではあるが、Gではなく、
① cはではあるが、Gではない。
といふ場合には、「真(本当)」である。
然るに、
(21)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
①「すべてのもの(x)は、Fである。」か、または「すべてのもの(x)は、Gである。」
といふのであれば、この場合も
① aはではあるが、Gではなく、
① bはではあるが、Gではなく、
① cはではあるが、Gではない。
といふ場合には、「真(本当)」である。
然るに、
(22)
② aはではあるが、Gではなく、
② bはではあるが、Fではなく、
② cはではあるが、Fではない。
であるならば、
② ∀x(Fx∨Gx)
②「すべてのもの(a,b,c)は、Fであるか、または、Gである。」
としては、「真(本当)」であるが、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
①「すべてのもの(a,b,c)は、Fである。」か、または「すべてのもの(a,b,c)は、Gである。」
としては、「偽(ウソ)」である。
従って、
(18)~(21)により、
(22)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない
従って、
(01)(02)(22)により、
(23)
E.J.レモンが述べてゐるやうに、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない
然るに、
(24)
112 ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
1  (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2 (2)∀x(Fx)        A
 2 (3)   Fa         1UE
 2 (4)   Fa∨Ga      3∨I
 2 (5)∀x(Fx∨Gx)     4UI
  6(6)       ∀x(Gx) A
  6(7)          Ga  6UE
  6(8)       Fa∨Ga  7∨I
  6(9)    ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1  (ア)∀x(Fx∨Gx)     12569∨E
「すべてのものがFをもつか、あるいはすべてのものがGをもつ。」ならば、「すべてのものはFあるいはGをもつ。」
証明は ∨E による。(5)と(9)の行において、UIを用いる際に、仮定された選言(1)のいずれの選言項にも「」が含まれず、
従って制限が満たされていることに注意する。
 逆の連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx) は妥当ではない
なぜなら、
「すべての正の整数は、偶数であるか、または、奇数である」が、
「すべての正の整数が偶数であるか、または、すべての正の整数が奇数である」というわけではない。
この場合には、
この連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx)を証明しようとする自然な試みをさしとめるのは、UIに対する制限である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2)   Fa∨Ga  1UE
 3(3)   F     A
        Fa∨Gaを(1)から結論し、そして第1の選言項 Fa を(3)の行に仮定する。しかし(3)は を含む故、ここで、
     ∀x(Fx)を結論することをさしとめられる。この段階が許されるとするならば、
     ∀x(Fx)∨∀x(Gx)を ∨I によって結論し、つぎに Ga からも同じことを結論することができるであろう。
     そして ∨E によって不当な連式が作り出されるであろう。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155・156頁改)
従って、
(24)により、
(25)
E.J.レモンも、述べてゐる通り、
1  (1)∀x(Fx∨Gx)     A
1  (2)   Fa∨Ga      1UE
 3 (3)   F         A
 3 (4)∀x(F)        3UI
 3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
  6(6)      G      A
  6(7)       ∀x(G) 6UI
  6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
1  (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E
といふ「計算(11)」は、実際には、「 マチガイ」である。
従って、
(01)~(25)により、
(26)
(a)
1  (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2 (2)∀x(Fx)        A
 2 (3)   Fa         1UE
 2 (4)   Fa∨Ga      3∨I
 2 (5)∀x(Fx∨Gx)     4UI
  6(6)       ∀x(Gx) A
  6(7)          Ga  6UE
  6(8)       Fa∨Ga  7∨I
  6(9)    ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1  (ア)∀x(Fx∨Gx)     12569∨E
(b)
1    (1)  ∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2   (2)  ∀x(Fx)        A
 2   (3)~~∀x(Fx)        2DN
 2   (4)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 3∨I
  5  (5)         ∀x(Gx) A
  5  (6)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 5∨I
1    (7)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 12456∨E
1    (8) ~∀x(Fx)→∀x(Gx) 7含意の定義
   9 (9) ∃x(~Fx)        A
   9 (ア) ~∀x(Fx)        9量化子の関係
1  9 (イ)         ∀x(Gx) 8アMPP
1    (ウ) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 9イCP
    エ(オ)    ~Fa         A
    エ(カ) ∃x(~Fx)        オEI
1   エ(キ)         ∀x(Gx) ウカMPP
1   エ(ク)            Ga  キUE
1    (ケ)    ~Fa→Ga      エクCP
1    (コ) ∀x(~Fx→Gx)     ケUI
(c)
1     (1)∀x(~Fx→Gx)  A
1     (2)   ~Fa→Ga   1UE
 3    (3)  ~(Fa∨Ga)  A
  4   (4)    Fa      A
  4   (5)    Fa∨Ga   4∨I
 34   (6)  ~(Fa∨Ga)&
            (Fa∨Ga)  35&I
 3    (7)   ~Fa      46RAA
13    (8)       Ga   27MPP
13    (9)    Fa∨Ga   8∨I
13    (ア)  ~(Fa∨Ga)&
            (Fa∨Ga)  39&I
1     (イ) ~~(Fa∨Ga)  3アRAA
1     (ウ)   (Fa∨Ga)  イDN
1     (オ) ∀x(Fx∨Gx)  ウUI
(d)
1     (1)∀x(Fx∨ Gx)  A
1     (2)   Fa∨ Ga   1UE
 3    (3)  ~Fa&~Ga   A
  4   (4)   Fa       A
 3    (5)  ~Fa       3&E
 34   (6)   Fa&~Ga   45&I
  4   (7)~(~Fa&~Ga)  36RAA
   8  (8)       Ga   A
 3    (9)      ~Ga   3&E
 3 8  (ア)   Ga&~Ga   89&I
   8  (イ)~(~Fa&~Ga)  3アRAA
1     (ウ)~(~Fa&~Ga)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~Fa       A
     オ(オ)      ~Ga   A
    エオ(カ)  ~Fa&~Ga   エオ&I
1   エオ(キ)~(~Fa&~Ga)&
          (~Fa&~Ga)  ウカ&I
1   エ (ク)     ~~Ga   オキRAA
1   エ (ケ)       Ga   クDN
1     (コ)   ~Fa→Ga   エケCP
1     (サ)∀x(~Fx→Gx)  コUI
といふ「計算」が「正しい」。といふことと、
(e)
1  (1)∀x(Fx∨Gx)     A
1  (2)   Fa∨Ga      1UE
 3 (3)   F         A
 3 (4)∀x(F)        3UI
 3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
  6(6)      G      A
  6(7)       ∀x(G) 6UI
  6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
1  (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E
といふ「計算」が「マチガイ」である。
といふこととに関しては、今の私は、「少しの疑ひ」も、持ってはゐない。
令和03年03月24日、毛利太。

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