(01)
112 ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
1 (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
2 (2)∀x(Fx) A
2 (3) Fa 1UE
2 (4) Fa∨Ga 3∨I
2 (5)∀x(Fx∨Gx) 4UI
6(6) ∀x(Gx) A
6(7) Ga 6UE
6(8) Fa∨Ga 7∨I
6(9) ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1 (ア)∀x(Fx∨Gx) 12569∨E
「すべてのものがFをもつか、あるいはすべてのものがGをもつ。」ならば、「すべてのものはFあるいはGをもつ。」
証明は ∨E による。(5)と(9)の行において、UIを用いる際に、仮定された選言(1)のいずれの選言項にも「a」が含まれず、
従って、制限が満たされていることに注意する。
逆の連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx) は妥当ではない。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155頁改)
従って、
(01)により、
(02)
E.J.レモンが述べてゐるやうに、「結論」として、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない。
然るに、
(03)
{すべてのもの}={a,b,c}
であるとする。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)∀x(Fx)≡「すべてのもの(a,b,c)が性質Fを持つ。」といふことは、
(〃)∀x(Fx)≡「aはFを持ち、bもFを持ち、cもFを持つ。」といふことである。
従って、
(04)により、
(05)
(ⅱ)「aは性質Fを持たない(aはFでない)。」
とするならば、それだけで、
(ⅱ)~∀x(Fx)≡「すべてのもの(a,b,c)が、性質Fを持つ。」といふわけではない。
従って、
(05)により、
(06)
(ⅰ)「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「aは性質Fを持たない。」 従って、
(ⅲ)「すべてのもの(a,b,c)が、性質Gを持つ。」
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
然るに、
(07)
(ⅲ)「すべてのもの(a,b,c)が、性質Gを持つ。」といふのであれば、必然的に、
(ⅳ)「aは性質Gを持つ。」
従って、
(06)(07)により、
(08)
(ⅰ)「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「aは性質Fを持たない。」 従って、「選言三段論法」により、
(ⅲ)「すべてのもの(a,b,c)が、性質Gを持つ。」が故に、「aは性質Gを持つ。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)により、
(09)
(ⅰ)「すべてのもの(b,a,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(b,a,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「bは性質Fを持たない。」 従って、「選言三段論法」により、
(ⅲ)「すべてのもの(b,a,c)が、性質Gを持つ。」が故に、「bは性質Gを持つ。」
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
(ⅰ)「すべてのもの(c,a,b)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(c,a,b)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「cは性質Fを持たない。」 従って、「選言三段論法」により、
(ⅲ)「すべてのもの(c,a,b)が、性質Gを持つ。」が故に、「cは性質Gを持つ。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
(ⅰ)「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」 然るに、
(ⅱ)「aか、bか、cの、いづれかが、性質Fを持たない。」 が故に、
(ⅲ)「すべてのもの(a,b,c)が、性質Gを持つ。」
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(11)により、
(12)
①「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
②「aか、bか、cの、いづれかが、性質Fを持たない。」ならば、「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(02)(12)により、
(13)
「記号」で書くと、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(~Fx→Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(14)
1 (1) ∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
2 (2) ∀x(Fx) A
2 (3)~~∀x(Fx) 2DN
2 (4)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 3∨I
5 (5) ∀x(Gx) A
5 (6)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 5∨I
1 (7)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 12456∨E
1 (8) ~∀x(Fx)→∀x(Gx) 7含意の定義
9 (9) ∃x(~Fx) A
9 (ア) ~∀x(Fx) 9量化子の関係
1 9 (イ) ∀x(Gx) 8アMPP
1 (ウ) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 9イCP
エ(オ) ~Fa A
エ(カ) ∃x(~Fx) オEI
1 エ(キ) ∀x(Gx) ウカMPP
1 エ(ク) Ga キUE
1 (ケ) ~Fa→Ga エクCP
1 (コ) ∀x(~Fx→Gx) ケUI
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(~Fx→Gx)
に於いて、すなはち、
①「すべてのもの(a,b,c)は、性質Fを持つ。」か、あるいは「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
②「aか、bか、cの、いづれかが、性質Fを持たない。」ならば、「すべてのもの(a,b,c)は、性質Gを持つ。」
に於いて、
① ならば、② である。
といふことは、「述語計算(Predicate calculus)」としても、「正しい」。
然るに、
(16)
(ⅰ)
1 (1)∀x(~Fx→Gx) A
1 (2) ~Fa→Ga 1UE
3 (3) ~(Fa∨Ga) A
4 (4) Fa A
4 (5) Fa∨Ga 4∨I
34 (6) ~(Fa∨Ga)&
(Fa∨Ga) 35&I
3 (7) ~Fa 46RAA
13 (8) Ga 27MPP
13 (9) Fa∨Ga 8∨I
13 (ア) ~(Fa∨Ga)&
(Fa∨Ga) 39&I
1 (イ) ~~(Fa∨Ga) 3アRAA
1 (ウ) (Fa∨Ga) イDN
1 (オ) ∀x(Fx∨Gx) ウUI
(ⅱ)
1 (1)∀x(Fx∨ Gx) A
1 (2) Fa∨ Ga 1UE
3 (3) ~Fa&~Ga A
4 (4) Fa A
3 (5) ~Fa 3&E
34 (6) Fa&~Ga 45&I
4 (7)~(~Fa&~Ga) 36RAA
8 (8) Ga A
3 (9) ~Ga 3&E
3 8 (ア) Ga&~Ga 89&I
8 (イ)~(~Fa&~Ga) 3アRAA
1 (ウ)~(~Fa&~Ga) 2478イ∨E
エ (エ) ~Fa A
オ(オ) ~Ga A
エオ(カ) ~Fa&~Ga エオ&I
1 エオ(キ)~(~Fa&~Ga)&
(~Fa&~Ga) ウカ&I
1 エ (ク) ~~Ga オキRAA
1 エ (ケ) Ga クDN
1 (コ) ~Fa→Ga エケCP
1 (サ)∀x(~Fx→Gx) コUI
従って、
(16)により、
(17)
① ∀x(~Fx→Gx)
② ∀x( Fx∨Gx)
に於いて、
①=② である(含意の定義)。
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
といふことは、「述語計算(Predicate calculus)」としても、「正しい」。
然るに、
(19)
② ∀x(Fx∨Gx)
といふことは、
② すべてのもの(x)は、Fであるか、または、Gである。
といふ、ことである。
従って、
(03)(19)により、
(20)
② ∀x(Fx∨Gx)
②「すべてのもの(x)は、Fであるか、または、Gである。」
といふのであれば、例へば、
① aはFではあるが、Gではなく、
① bはFではあるが、Gではなく、
① cはFではあるが、Gではない。
といふ場合には、「真(本当)」である。
然るに、
(21)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
①「すべてのもの(x)は、Fである。」か、または「すべてのもの(x)は、Gである。」
といふのであれば、この場合も、
① aはFではあるが、Gではなく、
① bはFではあるが、Gではなく、
① cはFではあるが、Gではない。
といふ場合には、「真(本当)」である。
然るに、
(22)
② aはFではあるが、Gではなく、
② bはGではあるが、Fではなく、
② cはGではあるが、Fではない。
であるならば、
② ∀x(Fx∨Gx)
②「すべてのもの(a,b,c)は、Fであるか、または、Gである。」
としては、「真(本当)」であるが、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
①「すべてのもの(a,b,c)は、Fである。」か、または「すべてのもの(a,b,c)は、Gである。」
としては、「偽(ウソ)」である。
従って、
(18)~(21)により、
(22)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
従って、
(01)(02)(22)により、
(23)
E.J.レモンが述べてゐるやうに、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない。
然るに、
(24)
112 ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
1 (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
2 (2)∀x(Fx) A
2 (3) Fa 1UE
2 (4) Fa∨Ga 3∨I
2 (5)∀x(Fx∨Gx) 4UI
6(6) ∀x(Gx) A
6(7) Ga 6UE
6(8) Fa∨Ga 7∨I
6(9) ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1 (ア)∀x(Fx∨Gx) 12569∨E
「すべてのものがFをもつか、あるいはすべてのものがGをもつ。」ならば、「すべてのものはFあるいはGをもつ。」
証明は ∨E による。(5)と(9)の行において、UIを用いる際に、仮定された選言(1)のいずれの選言項にも「a」が含まれず、
従って制限が満たされていることに注意する。
逆の連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx) は妥当ではない。
なぜなら、
「すべての正の整数は、偶数であるか、または、奇数である」が、
「すべての正の整数が偶数であるか、または、すべての正の整数が奇数である」というわけではない。
この場合には、
この連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx)を証明しようとする自然な試みをさしとめるのは、UIに対する制限である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3(3) Fa A
Fa∨Gaを(1)から結論し、そして第1の選言項 Fa を(3)の行に仮定する。しかし(3)は a を含む故、ここで、
∀x(Fx)を結論することをさしとめられる。この段階が許されるとするならば、
∀x(Fx)∨∀x(Gx)を ∨I によって結論し、つぎに Ga からも同じことを結論することができるであろう。
そして ∨E によって不当な連式が作り出されるであろう。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155・156頁改)
従って、
(24)により、
(25)
E.J.レモンも、述べてゐる通り、
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3 (3) Fa A
3 (4)∀x(Fx) 3UI
3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
6(6) Ga A
6(7) ∀x(Gx) 6UI
6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
1 (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E
といふ「計算(11)」は、実際には、「 マチガイ」である。
従って、
(01)~(25)により、
(26)
(a)
1 (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
2 (2)∀x(Fx) A
2 (3) Fa 1UE
2 (4) Fa∨Ga 3∨I
2 (5)∀x(Fx∨Gx) 4UI
6(6) ∀x(Gx) A
6(7) Ga 6UE
6(8) Fa∨Ga 7∨I
6(9) ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1 (ア)∀x(Fx∨Gx) 12569∨E
(b)
1 (1) ∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
2 (2) ∀x(Fx) A
2 (3)~~∀x(Fx) 2DN
2 (4)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 3∨I
5 (5) ∀x(Gx) A
5 (6)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 5∨I
1 (7)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 12456∨E
1 (8) ~∀x(Fx)→∀x(Gx) 7含意の定義
9 (9) ∃x(~Fx) A
9 (ア) ~∀x(Fx) 9量化子の関係
1 9 (イ) ∀x(Gx) 8アMPP
1 (ウ) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 9イCP
エ(オ) ~Fa A
エ(カ) ∃x(~Fx) オEI
1 エ(キ) ∀x(Gx) ウカMPP
1 エ(ク) Ga キUE
1 (ケ) ~Fa→Ga エクCP
1 (コ) ∀x(~Fx→Gx) ケUI
(c)
1 (1)∀x(~Fx→Gx) A
1 (2) ~Fa→Ga 1UE
3 (3) ~(Fa∨Ga) A
4 (4) Fa A
4 (5) Fa∨Ga 4∨I
34 (6) ~(Fa∨Ga)&
(Fa∨Ga) 35&I
3 (7) ~Fa 46RAA
13 (8) Ga 27MPP
13 (9) Fa∨Ga 8∨I
13 (ア) ~(Fa∨Ga)&
(Fa∨Ga) 39&I
1 (イ) ~~(Fa∨Ga) 3アRAA
1 (ウ) (Fa∨Ga) イDN
1 (オ) ∀x(Fx∨Gx) ウUI
(d)
1 (1)∀x(Fx∨ Gx) A
1 (2) Fa∨ Ga 1UE
3 (3) ~Fa&~Ga A
4 (4) Fa A
3 (5) ~Fa 3&E
34 (6) Fa&~Ga 45&I
4 (7)~(~Fa&~Ga) 36RAA
8 (8) Ga A
3 (9) ~Ga 3&E
3 8 (ア) Ga&~Ga 89&I
8 (イ)~(~Fa&~Ga) 3アRAA
1 (ウ)~(~Fa&~Ga) 2478イ∨E
エ (エ) ~Fa A
オ(オ) ~Ga A
エオ(カ) ~Fa&~Ga エオ&I
1 エオ(キ)~(~Fa&~Ga)&
(~Fa&~Ga) ウカ&I
1 エ (ク) ~~Ga オキRAA
1 エ (ケ) Ga クDN
1 (コ) ~Fa→Ga エケCP
1 (サ)∀x(~Fx→Gx) コUI
といふ「計算」が「正しい」。といふことと、
(e)
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3 (3) Fa A
3 (4)∀x(Fx) 3UI
3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
6(6) Ga A
6(7) ∀x(Gx) 6UI
6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
1 (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E
といふ「計算」が「マチガイ」である。
といふこととに関しては、今の私は、「少しの疑ひ」も、持ってはゐない。
令和03年03月24日、毛利太。
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