2021年3月5日金曜日

「幾らかのフランス人は寛大である。」の「述語論理」(Ⅳ)。

(01)
(ⅰ)
1  (1)∃x(Fx→Gx)     A
 2 (2)   Fa→Ga      A
  3(3)∀x(Fx)        A
  3(4)   Fa         3UE
 23(5)      Ga      24MPP
 23(6)   ∃x(Gx)     5EI
1 3(7)   ∃x(Gx)      126EE
1  (8)∀x(Fx)→∃x(Gx) 37CP
(ⅱ)
1    (1) ∀x(Fx)→∃x(Gx) A
1    (2)~∀x(Fx)∨∃x(Gx) 1含意の定義
 3   (3)~∀x(Fx)        A
 3   (4)∃x(~Fx)        3量化子の関係
  5  (5)   ~Fa         A
  5  (6)   ~Fa∨Ga      5∨I
 3   (7)   ~Fa∨Ga      356EE
   8 (8)        ∃x(Gx) A
    9(9)           Ga  A
    9(ア)       ~Fa∨Ga  9∨I
   8 (イ)       ~Fa∨Ga  89アEE
1    (ウ)       ~Fa∨Ga  2378イ∨E
1    (エ)    Fa→Ga      ウ含意の定義
1    (オ) ∃x(Fx→Gx)     エEI
従って、
(01)により、
(02)
① ∃x(Fx→Gx)
② ∀x(Fx)→∃x(Gx)
に於いて、
①=② である。
(03)
(ⅱ)
1      (1) ∀x(Fx)→∃x(Gx) A
1      (2)~∀x(Fx)∨∃x(Gx) 1含意の定義
 3     (3)~∀x(Fx)        A
 3     (4)∃x(~Fx)        3量化子の関係
  4    (5)   ~Fa         A
  4    (6)   ~Fa∨Ga      5∨I
 3     (7)   ~Fa∨Ga      456EE
   8   (8)        ∃x(Gx) A
    9  (9)           Ga  A
    9  (ア)       ~Fa∨Ga  8∨I
   8   (イ)       ~Fa∨Ga  89アEE
1      (ウ)   ~Fa∨Ga      2378イ∨E
     エ (エ)   ~Fa         A
     エ (オ)∃x(~Fx)        エEI
     エ (カ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) オ∨I
      キ(キ)       Ga      A
      キ(ク)        ∃x(Gx) キEI
      キ(ケ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) ク∨I
1      (コ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) ウエカキケ∨E
(ⅲ)
1      (1)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) A
 2     (2)∃x(~Fx)        A
  3    (3)   ~Fa         A
  3    (4)   ~Fa∨Ga      3∨I
 2     (5)   ~Fa∨Ga      234EE
   6   (6)        ∃x(Gx) A
    7  (7)           Ga  A
    7  (8)   ~Fa∨Ga      7∨I
1      (9)   ~Fa∨Ga      12578∨E
     ア (ア)   ~Fa         A
     ア (イ)∃x(~Fx)        アEI
     ア (ウ)~∀x(Fx)        イ量化子の関係
     ア (エ)~∀x(Fx)∨∃x(Gx) ウ∨I
      オ(オ)        Ga     A
      オ(カ)        ∃x(Gx) オEI
      オ(キ)~∀x(Fx)∨∃x(Gx) カEI
1      (ク)~∀x(Fx)∨∃x(Gx) クアエオキ∨E
従って、
(03)により、
(04)
② ∀x( Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① ∃x( Fx→Gx)
② ∀x( Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
F=フランス人である。
G=寛大である。
として、
① フランス人であるならば、寛大であるxが存在する。
② すべてのxがフランス人であるならば、あるxは寛大である。
③ フランスではないxが存在するか、または、寛大なxが存在する。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(07)
③ フランス人ではないxが存在する。
といふ「命題」が、「真」であるならば、いふまでもなく、
フランスではないxが存在するか、または、寛大なxが存在する。
といふ「命題」は、「」である。
然るに、
(08)
フランス人であるxは存在せずに、イギリス人であるxが、存在するならば、
フランス人ではないxが存在する
従って、
(05)~(08)により、
(09)
「幾らかのフランス人は寛大である(Some Frenchmen are generous.」を、正しく、
① ∃x(Fx&Gx)と記号化するかわりに、むしろ、
① ∃x(Fx→Gx)とするのは、よくある間違い(common mistake)である。しかし、
① ∃x(Fx→Gx)は、
それがフランス人であるならば、寛大であるようなものが存在することを主張するのであって、
これは、かりにフランス人が存在しないとしても真であろう。しかるに、
幾らかのフランス人は寛大である」は決してそうではない(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、124頁改)。
といふ、ことになる。
令和03年03月05日、毛利太。

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