2021年3月30日火曜日

「二項述語における、量記号の変換規則」。

(01)
1(1)∀x(Fx) A
1(2)   Fa  1UE
1(3)∃x(Fx) 1UI
といふ「計算」は、
 (1)すべてのxがFである。 ならば、
 (2)任意のaは、Fであり、
 (〃)任意のaが、Fである。 ならば、
 (3) あるxは、Fである。
といふ「意味」であって、この「計算」は「正しい」。
然るに、
(02)
1 (1)∃x(Fx) A
 (2)   F  A
 2(3)∀x(Fx) UI
1 (4)∀x(Fx) 123EE
といふ「計算」は、
  (1)あるxが、Fである。 ならば、
  (2)あるaは、Fであり、
  (〃)あるaが、Fである。 ならば、
  (3)すべてのxがFである。
といふ「意味」であって、この「計算」は、明らかに、「間違ひ」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
(ⅰ)x(Fx)⇒ ∃x(Fx)
(ⅱ)∃x(Fx)⇒ x(Fx)
といふ「量記号の変換」に於いて、 に於いて、
(ⅰ)は、「正しく」、
(ⅱ)は、「間違ひ」である。
然るに、
(04)
① ∀x∀y(Fxy)
② ∃y∀x(Fxy)
といふ、「二項述語」は、「括弧」を「省略しない場合は、
① ∀x{∀y(Fxy)}
② ∃y{∀x(Fxy)}
といふ「形」をしてゐる。
従って、
(03)(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x(Fx)⇒ ∃x(Fx)
といふ「量記号の変換」が「正しい」のであれば、
(ⅰ)∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}
(ⅱ)∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∃y(Fxy)}
といふ「量記号の変換」も、当然、「正しい」。
従って、
(05)により、
(06)
(ⅰ)
1(1)∀x{∀y(Fxy)} A
1(2)   ∀y(Fay)  1UE
1(3)∃x{∀y(Fxy)} 2EI
といふ「述語計算」は、「正しく」、
(ⅱ)
1 (1)∃x{∀y(Fxy)} A
 2(2)   ∀y(Fay)  A(代表的選言項)
 2(3)      Fab   2UE
 2(4)   ∃y(Fay)  3EI
 2(5)∃x{∃y(Fxy)} 5EI
1 (6)∃x{∃y(Fxy)} 125EE
といふ「述語計算」も、「正しい」。
従って、
(05)(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}
(ⅱ)∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∃y(Fxy)}
であるため、「推移律」により、
(ⅲ)∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∃y(Fxy)}
といふ「量記号の変換」は、「正しい」。
然るに、
(08)
1  (1)∀x{∀y(Fxy)} A
1  (2)   ∀y(Fay)  1UE
1  (3)∃x{∀y(Fxy)} 2EI
 4 (4)   ∀y(Fa)  A(3の代表的選言項で、それ自体は連言。Faであって、Fxではない点に、注意せよ。)
 4 (5)      Fab   4UE(4を&E)
 4 (6)   ∃x(Fxb)  5EI(5に∨I)
 4 (7)∀y{∃x(Fx)} 6UI
1  (8)∀y{∃x(Fxy)} 347EE
1  (9)   ∃x(Fxb)} 8UE
  ア(ア)      Fab   A
  ア(イ)   ∃y(Fay)  アEI
1  (ウ)   ∃y(Fay)  9アイEE
1  (エ)∃x{∃y(Fxy)} ウEI
従って、
(08)により、
(09)
1  (1)∀x{∀y(Fxy)} A
1  (3)∃x{∀y(Fxy)} 2EI
1  (8)∀y{∃x(Fxy)} 347EE
1  (エ)∃x{∃y(Fxy)} ウEI
であって、それ故、
(ⅳ)∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∀y{∃x(Fxy)}⇒ ∃x{∃y(Fxy)}
といふ「量記号の変換」は、「正しい」。
従って、
(07)(09)により、
(10)
すぐに、思ひ付くところの、
(ⅲ)∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}⇒              ∃x{∃y(Fxy)}
といふ「量記号の変換」に加へて、
(ⅳ)∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∀y{∃x(Fxy)}⇒ ∃x{∃y(Fxy)}
といふ「量記号の変換」も、「正しい」。
然るに、
(11)
「沢田允、現代論理学入門、1962年、146頁」によると、
① ∀x{∀y(Fxy)}
② ∀y{∀x(Fxy)}
③ ∃x{∃y(Fxy)}
④ ∃y{∃x(Fxy)}
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(12)
① ∀x{∀y(愛xy)}
② ∀y{∀x(愛xy)}
③ ∃x{∃y(愛xy)}
④ ∃y{∃x(愛xy)}
であるならば、例へば、
① ∀x{∀y(愛xy)}≡すべての人は、すべての人を愛す。
② ∀y{∀x(愛xy)}≡すべての人は、すべての人に愛される。
③ ∃x{∃y(愛xy)}≡ある人は、ある人を愛す。
④ ∃y{∃x(愛xy)}≡ある人は、ある人に愛される。
である。
然るに、
(13)
① すべての人は、すべての人を愛す
といふことは、
② すべての人は、すべての人に愛される
といふことに、他ならない。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① ∀x{∀y(愛xy)}≡すべての人は、すべての人を愛す。
② ∀y{∀x(愛xy)}≡すべての人は、すべての人に愛される。
③ ∃x{∃y(愛xy)}≡ある人は、ある人を愛す。
④ ∃y{∃x(愛xy)}≡ある人は、ある人に愛される。
であるならば、確かに、「命題」としては、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(10)~(14)により、
(15)
二項述語における、量記号変換規則」とは、
∀x{∀y(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∀y{∃x(Fxy)}⇒ ∃x{∃y(Fxy)}
∀y{∀x(Fxy)}⇒ ∃x{∀y(Fxy)}⇒ ∀y{∃x(Fxy)}⇒ ∃y{∃x(Fxy)}
といふ「規則」を、いふ。
令和03年03月30日、毛利太。

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