2020年9月19日土曜日

「(E.J.レモンの)メタ定理Ⅱ」と「真理表」について。

(01)
1  (1) P→ Q A
 2 (2) P→~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
 23(5)   ~Q 23MPP
123(6) Q&~Q 45&I
12 (7)~P    36RAA
といふ「計算」は、
1  (1)Pであるならば、Qである。と「仮定」し、
 2 (2)Pであるならば、Qでない。と「仮定」し、その上、
  3(3)Pである。        と「仮定」したところ、
1 3(4)        Qである。となって、その上、
 23(5)        Qでない。となって、
123(6)Qであると、Qでない。とが、「同時に、真」になってしまったので、止むを得ず、
123 といふ「3つの仮定」の内の、取り敢へず、
  3 を「除いて」、
12だけを「残して」、同時に、
   (7)Pである。を、「否定」して、Pでない。とした。
といふ「意味」である。
従って、
(01)により、
(02)
1  (1) P→ Q A
 2 (2) P→~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
 23(5)   ~Q 23MPP
123(6) Q&~Q 45&I
12 (7)~P    36RAA
といふ「命題計算」は、「日常言語による推論」が、「ベース」にあるため、「自然演繹(natural deducation)」と言ふに、十分に値する
然るに、
(03)
Goo辞書
しんりち‐ひょう〔‐ヘウ〕【真理値表】 の解説
数学や論理学で、いくつかの命題を論理演算子で合成して新しい命題を作ったとき、もとの命題と合成された命題の真偽の関係を示す表。真理表。真偽表。
従って、
(02)(03)により、
(04)
1  (1) P→ Q A
 2 (2) P→~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
 23(5)   ~Q 23MPP
123(6) Q&~Q 45&I
12 (7)~P    36RAA
といふ「計算」は、その一方で、【真理表】を用ひても、「(機械的に)証明」出来る。
然るに、
(01)~(04)により、
(05)
「日常言語」で、「自然に演繹」出来る「事柄」を、「(機械的に)証明」する「必要」は無い。
といふ「意味」では、この場合、【真理表】は、「不要」である。
然るに、
(06)
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的 Wff(論理式) は定理として導出可能である。
証明のアウトライン。仮定により、「真理表テスト」のもとにおいて トートロージーであるような wffA を選ぶ。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、107頁改)
(07)
1 証明を発見する練習の追加として、またつぎの節でその結果が必要となるので、つぎの連式を証明せよ。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、105頁)

 ―「E.J.レモン、論理学初歩」には、「解答」が載ってゐないので、私による、証明。―
(a)P&Q├ P→Q
1(1) P&Q A
1(2)   Q 1&E
1(3)~P∨Q 1∨I
1(4) P→Q 3含意の定義

(b)~P&Q├ P→Q
1(1)~P&Q A
1(2)~P   1&E
1(3)~P∨Q 2∨I
1(4) P→Q 3含意の定義

(c)~P&~Q├ P→Q
1(1)~P&~Q A
1(2)~P    1&E
1(3)~P∨ Q 2∨I
1(4) P→ Q 3含意の定義

(d)P&~Q├ ~(P&Q)
1 (1) P&~Q  A
 2(2) P& Q  A
1 (3)   ~Q  1&E
 2(4)    Q  2&E
12(5) ~Q&Q  34&I
1 (6)~(P&Q) 25RAA

(e)~P&Q├ ~(P&Q)
1 (1) ~P&Q  A
 2(2)  P&Q  A
1 (3) ~P    1&E
 2(4)  P    2&E
12(5) ~P&P  34&I
1 (6)~(P&Q) 25RAA

(f)~P&~Q├ ~(P&Q)
1 (1) ~P&~Q  A
 2(2)  P& Q  A
1 (3) ~P     1&E
 2(4)  P     2&E
12(5) ~P&P   34&I
1 (6)~(P& Q) 25RAA

(g)P&~Q├ P∨Q
1(1)P&~Q A
1(2)P    1&E
1(3)P∨Q  2∨I

(h)~P&Q├ P∨Q
1(1)~P&Q A
1(2)   Q 1&E
1(3) P∨Q 2∨I

(i)P&Q├ P⇔Q
(1) P&Q   A
(2)   Q   1&E
(3)~P∨Q   2∨I
(4) P→Q   3含意の定義
(5) P     1&E
(6)~Q∨P   5∨I
(7) Q→P   6含意の定義
(8)(P→Q)&
   (Q→P)  47&I
(9) P⇔Q   8Df.⇔

(j)P&~Q├ ~(P⇔Q)
1 (1)  P&~Q  A
 2(2)  P⇔ Q  A
 2(3) (P→ Q)&
      (Q→ P) 2Df.⇔
 2(4)  P→ Q  3&E
1 (5)    ~Q  1&E
12(6) ~P     45MTT
1 (7)  P     1&E
12(8) ~P&P   67&I
1 (9)~(P⇔ Q) 28CP

(k)~P&Q├ ~(P⇔Q)
1 (1)  ~P&Q  A
 2(2)   P⇔Q  A
 2(3)  (P→Q)&
       (Q→P) 2Df.⇔
 2(4)   Q→P  3&E
1 (5)    ~P  1&E
12(6)  ~Q    45MTT
1 (7)     Q  1&E
12(8)  ~Q&Q  67&I
1 (9) ~(P⇔Q) 28RAA

(l)~P&~Q├ P⇔Q
1(1)~P&~Q  A
1(2)~P     1&E
1(3)~Q     1&E
1(4) P→Q   2含意の定義
1(5) Q→P   3含意の定義
1(6)(P→Q)&
    (Q→P)  45&I
1(7) P⇔Q   6Df.⇔

従って、
(06)(07)により、
(08)
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的 Wff(論理式) は定理として導出可能である。
といふ「メタ定理」を「理解」するためには、「命題計算」と、「真理表」の、両方を、「理解してゐる」必要が有る。
然るに、
(09)
真理表は習熟しやすいものなので、この節でのわれわれの取り扱いは手早くやれるだろう。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、105頁)
然るに、
(10)
特に第2章の第4、第5節と、第4章第2節は、本書の他の部分よりも遥かに難しい。普通の読者はとばす(つまり早く読み通す)のが賢明であろう。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、序ⅱ)
従って、
(11)
幸いに、私自身は、
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的 Wff(論理式) は定理として導出可能である。
といふ「メタ定理」を「理解」してゐる、つもりでゐるものの、確かに、私自身の「経験」から言っても、
「①真理表」<「②命題計算」<「③メタ定理Ⅱ」
の「順」で、「左から右へ行く程、難しい」。
(12)
以下の証明はややこみあっている(The proof that follows is rather involved)。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、107頁)
といふくらひなので、
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的 Wff(論理式) は定理として導出可能である。
といふことに関する「証明」は、「いくぶん、複雑である」。
令和02年09月19日、毛利太。

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