2019年10月13日日曜日

「EI(存在量記号導入の規則)」について。

― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―
(01)
任意の名前が、結論Cをうるために用いられた(代表的選言項以外の)仮定の中に現われてはならないということを理解するために、つぎの「証明」を考えてみよう。
  ()   F     A
 2 (2)    ∃xGx  A
  3(3)      G  A(代表的選言項
 3(4)   Fa&Ga  13&I
1 3()∃x(Fx&Gx) 4EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
あるものがFとGをもつという結論が、ここでは2つの仮定、任意に選ばれた対象はFをもつと、あるものがGをもつ、からえられている。さて、Fを偶数であること、Gを奇数であることとしよう。すると、偶数である数aを選ぶことはできるから、Faは真となる。また奇数は存在するから∃xGxもまた真である。しかるに、任意の数が偶数であって奇数であるというのはである。()の行における結論は「」を含む()に依存しているので、EEの適用は不健全なのである。
(論理学初歩、E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、147・148頁改)
然るに、
(02)
1  (1)   F     A
 2 (2)    ∃xGx  A
  3(3)      G  A(代表的選言項)
1 3(4)   Fa&Ga  13&I
1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
に対して、
0   (0) ∃xFx     A
を加へて、
0   (0) ∃xFx     A
 1  (1)   F     A(代表的選言項
  2 (2)    ∃xGx  A
   3(3)      Ga  A(代表的選言項)
 1 3(4)   Fa&Ga  13&I
 1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
 12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
0 2 (7)∃x(Fx&Gx) 016EE
とするならば、
 1  (1)   F     A
   3(3)      G  A(代表的選言項)
ではなく、
 1  (1)   F     A(代表的選言項
   3(3)      G  A(代表的選言項)
であるため、「任意の名前は、Cをうるために用いられた(代表的選言項以外の)仮定の中に現われてはいない。」
従って、
(01)(02)により、
(03)
「任意の名前は、Cをうるために用いられた(代表的選言項以外の)仮定の中に現われていてもいなくとも」、
0   (0) ∃xFx     A
 1  (1)   F     A(代表的選言項)
  2 (2)    ∃xGx  A
   3(3)      G  A(代表的選言項)
 1 3(4)   Fa&Ga  13&I
 1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
 12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
0 2 (7)∃x(Fx&Gx) 016EE
といふ「推論」、すなはち、
0   (0) ∃x偶数x      A
 1  (1)   偶数a      A(代表的選言項)
  2 (2)     ∃x奇数x  A
   3(3)       奇数a  A(代表的選言項)
 1 3(4)   偶数a&奇数a  13&I
 1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
 12 (6)∃x(偶数x&奇数x) 235EE
0 2 (7)∃x(偶数x&奇数x) 016EE
0 2 (〃)ある数は、偶数であって、奇数である。016EE
といふ「推論」は「妥当」ではない
然るに、
(04)
 1  (1)   偶数      A(代表的選言項)
   3(3)       奇数  A(代表的選言項)
とするからこそ、
① 偶数&奇数=「偶数であって、尚且つ。奇数である。」
といふ「矛盾」が生じるのであって、
 1  (1)   偶数      A(代表的選言項)
   3(3)       奇数  A(代表的選言項)
とするならば、
② 偶数a&奇数b=「偶数であって、奇数である。」
であるため、「矛盾」しない
従って、
(04)により、
(05)
 1  (1)   偶数      A(代表的選言項)
   3(3)       奇数  A(代表的選言項)
とはせずに、
 1  (1)   偶数      A(代表的選言項)
   3(3)       奇数  A(代表的選言項)
とした「結果」として、
 1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
といふ「矛盾した行」が、成立する。
従って、
(05)により、
(06)
 1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
といふ「行」の、
 を見て、
   ()   偶数      A(代表的選言項)
   )       奇数  A(代表的選言項)
を「チェック」した際に、このやうに、「」が「2つある」といふことが、「確認」出来れば、その時点で、
  (5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
は、「妥当」ではない
といふことを、「知ること」が出来る。
令和元年10月13日、毛利太。

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