2019年10月8日火曜日

「無不知愛其親者」の「述語論理」。

―「昨日(令和元年10月07日)の記事」を書き直します。―
― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―
(01)
① 孩提之童不知愛其親者=
① 孩提之童無其親
① 孩提之童無{不[知〔愛(其親)〕]者}⇒
① 孩提之童{[〔(其親)愛〕知]不者}無=
① 孩提の童も{[〔(其の親を)愛するを〕知ら]不る者}無し=
① 二、三歳の幼児でも自分の親を愛することを知らない者はゐない(孟子、盡心章句上、十五)。
然るに、
(02)
A不一レB [読み]AトシテBセざルハなシ :Aは体言、Bは用言の未然形
(天野 成之、漢文子本語辞典、1999年、324頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
孩提之童不知愛其親者=
② 無孩提之童不其親
② 無{孩提之童不[知〔愛(其親)〕]者}⇒
② {孩提之童[〔(其親)愛〕知]不者}無=
② {孩提の童として[〔(其の親を)愛するを〕知ら]不り者}無し=
② 二、三歳の幼児でも自分の親を愛することを知らない者はゐない。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 孩提之童{不[知〔愛(其親)〕]者}= 孩提の童も、  其の親を愛するを知ら不る者無し
{孩提之童不[知〔愛(其親)〕]者}= 孩提の童として、其の親を愛するを知ら不る者無し
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1) ∀x{Fx→~∃y(Gyx&~Hxy)} A
1 (2)    Fa→~∃y(Gya&~Hay)  1UE
 3(3)    Fa& ∃y(Gya&~Hay)  A
13(4)    Fa                3&E
13(5)       ~∃y(Gya&~Hay)  24MPP
 3(6)        ∃y(Gya&~Hay)  3&E
13(7)       ~∃y(Gya&~Hay)&
             ∃y(Gya&~Hay)  56&I
1 (8)  ~{Fa& ∃y(Gya&~Hay)} 37RAA
1 (9)∀x~{Fx& ∃y(Gyx&~Hxy)} 8UI
1 (ア)~∃x{Fx& ∃y(Gyx&~Hxy)} 9量化子の関係
(ⅱ)
1 (1)~∃x{Fx& ∃y(Gyx&~Hxy)} A
1 (2)∀x~{Fx& ∃y(Gyx&~Hxy)} 1量化子の関係
1 (3)  ~{Fa& ∃y(Gya&~Hay)} 2UE
1 (4)   ~Fa∨~∃y(Gya&~Hay)  3ド・モルガンの法則
1 (5)    Fa→~∃y(Gya&~Hay)  4含意の定義
1 (6) ∀x{Fx→~∃y(Gyx&~Hxy)} 5UI
従って、
(05)により、
(06)
①   ∀x{Fx→~∃y(Gyx&~Hxy)}
② ~∃x{Fx& ∃y(Gyx&~Hxy)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
①   ∀x{Fx→~∃y(Gyx&~Hxy)}
② ~∃x{Fx& ∃y(Gyx&~Hxy)}
に於いて、
F=孩提之童
G=親
H=知愛
とすると、
①  ∀x{孩提之童x→~∃y(親yx&~知愛xy)}
~∃x{孩提之童x& ∃y(親yx&~知愛xy)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが二歳や三歳の幼児であるならば、あるyがxの親であって、xがyを愛することを知らない、といふことは無い
② xが二歳や三歳の幼児であって、あるyがxの親であって、xがyをyを愛することを知らないといふ、そのやうなxは存在しない(無い)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(07)により、
(08)
① 孩提之童{不[知〔愛(其親)〕]者}
{孩提之童不[知〔愛(其親)〕]者}
といふ「語順」の「漢文」は、
①  ∀x{孩提之童x→~∃y(親yx&~知愛xy)}
~∃x{孩提之童x& ∃y(親yx&~知愛xy)}
といふ「語順」の「述語論理式」に相当する。
令和元年10月08日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿