2020年8月9日日曜日

∀x(Fx→Gx)├ ∀x(Fx)→∀x(Gx)(そのⅡ)

(01)
(ⅰ)
1(1)Fa         A
1(2)Fa∨Fb      1∨I
 (3)Fa→(Fa∨Fb) 12CP
従って、
(01)により、
(02)
① Fa→(Fa∨Fb)
然るに、
(03)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
②(Fa∨Fb)⇔ ∃x(Fx)
従って、
(02)(03)により、
(04)
① Fa→(Fa∨Fb)
②    (Fa∨Fb)⇔ ∃x(Fx)
従って、
(01)(04)により、
(05)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
③ Fa→ ∃x(Fx)
然るに、
(06)
、b}を、{xの変域}とすると、
③ F→ ∃x(Fx)
であるならば、当然
{a、}を、{xの変域}とすると、
④ F→ ∃x(Fx)
でなければ、ならない
然るに、
(07)
③ F→ ∃x(Fx)
④ F→ ∃x(Fx)
であるならば、あるいは、
③ ∃x(Fx)→F
であるのかも知れないし、
④ ∃x(Fx)→F
であるのかも知れない。 然るに、
(08)
こうした「事情」は、
{a、b}    を、{xの変域}とする「場合」だけでなく、
{a、b、c}  を、{xの変域}とする「場合」であっても、「同様」であり、
{a、b、c、d}を、{xの変域}とする「場合」であっても、「同様」である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
連式 F├ ∃x(Fx) は妥当であるとして受け入れるが、連式 ∃x(Fx)├ F は妥当とは考えず、は任意に選ばれているが、与えられたFを持つ対象の1つではないかも知れないから、
連式 ∃x(Fx)├ F を受け入れないのである(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、149頁)。
という、「E.J.レモンの説明」は、「正しい」。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1(1)Fa         A
1(2)Fa∨Fb      1∨I
 (3)Fa→(Fa∨Fb) 12CP
に対して、固より、
(ⅱ)
1(1)Fa         A
1(2)Fa&Fb      1&I
 (3)Fa→(Fa&Fb) 12CP
という「計算」は、無い
cf.
「任意のa、偶数である。」としても、
「任意のb、偶数である。」とは、限らない
然るに、
(11)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
②(Fa&Fb)⇔ ∀x(Fx)
従って、
(10)(11)により、
(12)
① Fa→(Fa&Fb)
②    (Fa&Fb)⇔ ∀x(Fx)
に於いて、
① ではないが、
② ではある。
従って、
(12)により
(13)
③ Fa→ ∀x(Fx)
ではないので、
③ Fa→ ∀x(Fx)
という「反則」を、『UIに関する反則』と、呼ぶことにする。
然るに、
(14)
(e)
1 (1)∀x(Fx→Gx)     A
1 (2)   Fa→Ga      1UE
 3(3)∀x(Fx)        A
 3(4)   Fa         1UE
13(5)      Ga      24MPP
13(5)   ∀x(Gx)     5UI
1 (6)∀x(Fx)→∀x(Gx) 35CP
然るに、
(15)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
(1)∀x(Fx→Gx)
(2)∀x(Fx)
(ア)∀x(Fx)→∀x(Gx)
という「式」は、
(1)(Fa→Ga)&(Fb→Gb)
(2)(Fa&Fb)
(ア)(Fa&Fb)→(Ga&Gb)
という「式」に、相当する。
然るに、
(16)
(e)
1 (1)(Fa→Ga)&(Fb→Gb) A
 2(2)(Fa&Fb)         A
1 (3) Fa→Ga          1&E
1 (4) Fb→Gb          1&E
 2(5) Fa             2&E
 2(6) Fb             2&E
12(7)    Ga          35MPP
12(8)    Gb          46MPP
12(9)(Ga&Gb)         78&I
1 (ア)(Fa&Fb)→(Ga&Gb) 29CP
従って、
(15)(16)
(17)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
(e)∀x(Fx→Gx)├ ∀x(Fx)→∀x(Gx)
という「連式(Sequent)」、すなわち、
(e)(Fa→Ga)&(Fb→Gb)├(Fa&Fb)→(Ga&Gb)
という「連式(Sequent)」は、「妥当」である
然るに、
(18)
(f)
1 (1)∀x(Fx)→∀x(Gx) A
 2(2)   Fa         A
 2(3)∀x(Fx)        2UI(は間違い)
12(4)       ∀x(Gx) 12MPP
12(5)          Ga  4UE
1 (6)   Fa→Ga      25CP
1 (7)∀x(Fx→Gx)     6UI
という「計算」は、『UIに関する反則』を犯しているため、「間違い」である。
然るに、
(19)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
(f)は、(20)のように、書くことが、出来る。
(20)
(f)
1  (1)(Fa&Fb)→(Ga&Gb) A
 2 (2) Fa             A
 2 (3)(Fa&Fb)         2&I(は間違い)
12 (4)        (Ga&Gb) 13MPP
12 (5)         Ga     4&E
1  (6) Fa→Ga          25CP
  7(7)    Fb          A
  7(8)(Fa&Fb)         2&I(は間違い)
1 7(9)        (Ga&Gb) 18MPP
1 7(ア)            Gb  9&E
1  (イ)    Fb→Gb       7ア
1  (ウ)(Fa→Ga)&(Fb→Gb) 6イ&I
然るに、
(21)
 2 (2) Fa             A
 2 (3)(Fa&Fb)         2&I(は間違い)
といふ「計算(デタラメ)」と、
  7(7)    Fb          A
  7(8)(Fa&Fb)         2&I(は間違い)
といふ「計算(デタラメ)」は、『UIに関する反則』に、「相当」する。
従って、
(18)~(21)
(22)
{a、b}を、{xの変域}とすると、
(f)∀x(Fx)→∀x(Gx)├ ∀x(Fx→Gx)
という「連式(Sequent)」、すなわち、
(f)(Fa&Fb)→(Ga&Gb)├ (Fa→Ga)&(Fb→Gb)
という「連式(Sequent)」は、「妥当」ではない
従って、
(17)(22)
(23)
(e)∀x(Fx→Gx)├ ∀x(Fx)→∀x(Gx)
(〃)「すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。」故に、「すべてのxがFであるならば、すべてのxはGである。」
という「推論」は、「妥当」であるが、その一方で、
(f)∀x(Fx)→∀x(Gx)├ ∀x(Fx→Gx)
(〃)「すべてのxがFであるならば、すべてのxはGである。」故に、「すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。」
という「推論」は、「妥当」ではない
然るに、
(24)
言葉(日本語)」で考える限り、
(e)「すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。」故に、「すべてのxがFであるならば、すべてのxはGである。」
(f)「すべてのxがFであるならば、すべてのxはGである。」故に、「すべてのxについて、xがFであるならば、xはGである。」
に於いて、
(e)は「妥当」であるが、
(f)は「妥当」ではない
という「理屈」は、「大変、分りにくい」。
然るに、
(25)
(e)
1 (1)(Fa→Ga)&(Fb→Gb) A
 2(2)(Fa&Fb)         A
1 (3) Fa→Ga          1&E
1 (4) Fb→Gb          1&E
 2(5) Fa             2&E
 2(6) Fb             2&E
12(7)    Ga          35MPP
12(8)    Gb          46MPP
12(9)(Ga&Gb)         78&I
1 (ア)(Fa&Fb)→(Ga&Gb) 29CP
(f)
1  (1)(Fa&Fb)→(Ga&Gb) A
 2 (2) Fa             A
 2 (3)(Fa&Fb)         2&I(は間違い)
12 (4)        (Ga&Gb) 13MPP
12 (5)         Ga     4&E
1  (6) Fa→Ga          25CP
  7(7)    Fb          A
  7(8)(Fa&Fb)         2&I(は間違い)
1 7(9)        (Ga&Gb) 18MPP
1 7(ア)            Gb  9&E
1  (イ)    Fb→Gb       7ア
1  (ウ)(Fa→Ga)&(Fb→Gb) 6イ&I
を見れば
(e)∀x(Fx→Gx)├ ∀x(Fx)→∀x(Gx)
(f)∀x(Fx)→∀x(Gx)├ ∀x(Fx→Gx)
に於いて、
(e)は「妥当」であるが、
(f)は「妥当」ではない
という「理屈」は、「一目瞭然(明々白々)」である。
令和02年08月09日、毛利太。

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