2020年8月6日木曜日

「象は鼻は(が)長い」の「述語論理」(其の?)。

(01)
(ⅰ)
1     (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2) ∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)}              A
  3   (3) ∃x(兎x&象x)                       A
1     (4)    象a→∃y(鼻ya& 長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)    兎a→∃y(鼻ya&~長y)               2UE
   6  (6)    兎a&象a                        A(3の代表的選言項)
   6  (7)       象a                        6&E
1  6  (8)       ∃y(鼻ya& 長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
1  6  (9)       ∃y(鼻ya& 長y)               8&E
    ア (ア)          鼻ba& 長b                A(9の代表的選言項)
    ア (イ)               長b                ア&E
   6  (ウ)    兎a                           6&E
 2 6  (エ)       ∃y(鼻ya&~長y)               5ウMPP
     オ(オ)          鼻ba&~長b                A(エの代表的選言項)
     オ(カ)              ~長b                オ&E
    アオ(キ)           長b&~長b                イカ&I
 2 6ア (ク)           長b&~長b                エオキEE
12 6  (ケ)           長b&~長b                9アクEE
123   (コ)           長b&~長b                36ケEE
12    (サ)~∃x(兎x&象x)                       3コRAA
12    (シ)∀x~(兎x&象x)                       サ量化子の関係
12    (ス)  ~(兎a&象a)                       シUE
12    (セ)  ~兎a∨~象a                        ス、ド・モルガンの法則
12    (ソ)   兎a→~象a                        セ、含意の定義
12    (タ)∀x(兎x→~象x)                       ソUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
② ∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)}。従って、
③ ∀x(兎x→~象x)。
という「推論」、すなわち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。然るに、
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの鼻であって長くない。従って、
③ すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。
という「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
  2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
   3   (3)∃x(兎x&象x)                      A
1      (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
  2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
    6  (6)   兎a&象a                       A(3の代表的選言項)
    6  (7)   兎a                          6&E
    6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
  2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
  2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
     エ (エ)         鼻ba&長b                A(イの代表的選言項)
      オ(オ)         耳ba&長b                A(ウの代表的選言項)
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b   カUE
  2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
  2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
     オ (コ)                    耳ba        オ&E
  2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサコMPP
     オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
従って、
(03)により、
(04)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。従って、
③ ∀x(兎x→~象x)。
という「推論」、すなわち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。   然るに、
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない。従って、
③ すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。
という「推論」は、「妥当」である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
という「仮定」により、
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの鼻であって長くない。従って、
③ すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。
という「推論」は、「妥当」であり、
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない。従って、
③ すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。
という「推論」も、「妥当」である。
従って、
(05)により、
(06)
②「兎の鼻が長くない」ならば「兎は、象ではない。」
③「兎の鼻以外が長い」ならば「兎は、象ではない。」
従って、
(05)(06)により、
(07)
①「象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。」従って、
②「兎の鼻が長くない」ならば「兎は、象ではない。」
③「兎の鼻以外が長い」ならば「兎は、象ではない。」
という、ことになる。
従って、
(07)により、
(08)
①「象は鼻( )長い。」従って、
③「兎の鼻以外が長い」ならば「兎は、象ではない。」
に於いて、
①「象は、鼻()長い。」従って、
③「兎の鼻以外が長い」ならば「兎は、象ではない。」
という「言い方」の方が、
①「象は、鼻(は)長い。」従って、
③「兎の鼻以外が長い」ならば「兎は、象ではない。」
という「言い方」よりも、「相応しい」と「感じられる」のであれば、
①「象は、鼻長い。」
③「象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。」
に於いて、
①=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
「同様」に、
①「私( )理事長です。」従って、
③「私以外に理事長はいない。」
に於いて、
①「私()理事長です。」従って、
③「私以外に理事長はいない。」
という「言い方」の方が、
①「私(は)理事長です。」従って、
③「私以外に理事長はいない。」
という「言い方」よりも、「相応しい」と「感じられる」のであれば、
①「私が理事長です。」
③「私以外に理事長はいない。」
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(10)
②「理事長は私です。」
③「私以外に理事長はいない。」
に於いて、
②=③ は「対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(11)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会、私理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(10)(11)により、
(12)
①「私理事長です。」
②「理事長は私です。」
③「私以外に理事長はいない。」
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(12)により、
(13)
①「タゴール記念会は、私理事長です。」
②「タゴール記念会は、理事長は私です。」
③「タゴール記念会は、私以外に理事長はいない。」
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(13)により、
(14)
①「象は、鼻長いです。」
②「象で、長いのは鼻です。」
③「象は、鼻以外に長くない。」
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)(04)(14)により、
(15)
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない
という「等式」が、成立する。
然るに、
(16)
1     (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1     (2)   T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  1UE
 3    (3)   T会の会員a                             A
13    (4)          ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  34MPP
  5   (5)             私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z)   A
  5   (6)             私b&理事長ba                 5&E
  5   (7)                      ∀z(理事長za→b=z)   5&E
  5   (8)                         理事長ca→b=c    7UE
   9  (9)       ∃z(小倉z&~私z)                      A
    ア (ア)          小倉c&~私c                       A
    ア (イ)          小倉c                           ア&E
    ア (ウ)              ~私c                       ア&E
     エ(エ)                b=c                     A
    アエ(オ)            ~私b                       ウエ=E
  5   (カ)             私b                       6&E
  5 アエ(キ)            ~私b&私b                    オカ&I
  5 ア (ク)              b≠c                     エキRAA
  5 ア (ケ)                        ~理事長ca        8クMTT
  5 ア (コ)        小倉c&~理事長ca                    イケ&I
  5 ア (サ)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   コEI
  59  (シ)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   9アサEE
13 9  (ス)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   45シEE
1  9  (セ)   T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za)              3スCP
1  9  (シ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}             セUI
1  9  (〃)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。                セUI
従って、
(16)により、
(17)
(1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。然るに、
(9)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(シ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(1)すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、yはxの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yとzは「同一」である。然るに、
(9)あるzは小倉氏であって、zは私ではない。従って、
(シ)すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるzは小倉氏であって、zはxの理事長ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(13)(16)(17)により、
(18)
①「タゴール記念会は、私理事長です。」
であれば、
① タゴール記念会は、私理事長です。⇔
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}⇔
① すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、yはxの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yとzは「同一」である。
という「等式」が、成立する。
令和02年08月06日、毛利太。

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