(01)
P≡兎を得る。
Q≡兎を得る。
とする。
従って、
(01)により、
(02)
P&Q≡兎を得て、兎を得る。
従って、
(02)により、
(03)
P&Q≡兎を二度得る。
従って、
(03)により、
(04)
~(P&Q)≡(兎を二度得る)といふことはない。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1)~(P&Q) A
2 (2) P A
3(3) Q A
23(4) P&Q 23&I
123(5)~(P&Q)&
(P&Q) 14&I
12 (6) ~Q 35RAA
1 (7) P→~Q 26CP
(ⅱ)
1 (1) P→~Q A
2 (2) P& Q A
2 (3) P 2&E
12 (4) ~Q 13MPP
2 (5) Q 2&E
12 (6) ~Q&Q 45&I
1 (7)~(P&Q) 26RAA
従って、
(05)により、
(06)
① ~(P& Q)
② P→~Q
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
① ~(P& Q)≡(兎を二度得る)といふことはない。
② P→~Q ≡(前に)兎を得ているならば、(次に)兎を得ることはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(08)
[二] 守株(韓非子)
① 宋人有 耕田者。
② 田中有株、兎走觸株、折頸而死。
③ 因釋其耒而守株、冀復得兎。
④ 兎不可復得、而身爲宋國笑。
従って、
(08)により、
(09)
「括弧」を加へると、
① 宋人有〔耕(田)者〕。
② 田中有(株)、兎走觸(株)、折(頸)而死。
③ 因釋(其耒)而守(株)、冀〔復得(兎)〕。
④ 兎不〔可(復得)〕、而身爲(宋國笑)。
従って、
(09)により、
(10)
□( )⇒( )□
□〔 〕⇒( )□
といふ「移動」を行ふと、
① 宋人〔(田)耕者〕有。
② 田中(株)有、兎走(株)觸、(頸)折而死。
③ 因(其耒)釋而(株)守、〔復(兎)得〕冀。
④ 兎〔(復得)可〕不、而身(宋國笑)爲。
従って、
(10)により、
(11)
「平仮名」を加へると、
① 宋人に〔(田を)耕す者〕有り。
② 田中に(株)有り、兎走りて(株に)觸れ、(頸を)折りて死す。
③ 因りて(其の耒)釋て(株を)守り、〔復た(兎を)得んことを〕冀ふ。
④ 兎〔(復た得)可から〕ずして、身は(宋國の笑ひと)爲れり。
従って、
(07)~(11)により、
(12)
④ 兎不可復得=
④ 兎不〔可(復得)〕⇒
④ 兎〔(復た得)可から〕ず。
といふことは、
④ 一度目は、兎を得たが、二度目には、兎を得なかった。
といふことに、他ならない。
従って、
(12)により、
(13)
⑤ 不復返=
⑤ 不(復返)⇒
⑤ (復た返ら)ず=
⑤ 一度目は、返ったが、二度目には、返らなかった。
といふ、ことになる。
然るに、
(14)
崔顥の「黄鶴楼」詩の「黄鶴一去不二復返一」の場合は、
「前には一度返ったことがあるのか」と質問されると返答に窮し、「部分否定」とすることはできない。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、156頁改)
従って、
(13)(14)により、
(15)
⑤ 昔人已乗黄鶴去(昔人已に黄鶴に乗りて去り、)
⑤ 此地空餘黄鶴楼(此地空しく餘す黄鶴楼。)
⑤ 黄鶴一去不復返(黄鶴一たび去りて復た返らず。)
に於ける、
⑤ 黄鶴一去不復返(黄鶴一たび去りて復た返らず。)
の場合は、「理詰めで(論理的に)」考へれば、
⑤ 黄鶴一去、不返(黄鶴一たび去りて、返らず。)
でなければ、ならない。
従って、
(12)~(15)により、
(16)
④ 兎不可復得=
④ 兎不〔可(復得)〕⇒
④ 兎〔(復た得)可から〕ず。
といふ「漢文」は、「論理的」であるが、
⑤ 不復返=
⑤ 不(復返)⇒
⑤ (復た返ら)ず=
といふ「漢文」は、「論理的」ではない。
然るに、
(17)
「この副詞は、どういう意味なのか?」と理づめで考えても、わからない箇所も多い。漢文の原文を中国語で読むと、それらの字は、音読のリズムを作るための「字数稼ぎ」や「箸休め」であることも多い。
(加藤徹、白文攻略 漢文法ひとり学び、2013年、18頁改)
従って、
(16)(17)
(18)
昔人已乗黄鶴去(昔人已に黄鶴に乗りて去り、)
此地空餘黄鶴楼(此地空しく餘す黄鶴楼。)
黄鶴一去不復返(黄鶴一たび去りて復た返らず。)
白雲千載空悠悠(白雲千載空しく悠悠。)
晴川歴歴漢陽樹(晴川歴歴たり漢陽の樹。)
芳艸萋萋鸚鵡洲(芳艸萋萋たり鸚鵡洲。)
日暮郷関何處是(日暮郷関何れの處か是なる。)
煙波江上使人愁(煙波江上人をして愁へしむ。)
といふ「七言律詩」に於ける、
⑤ 不復返(復た返らず。)
といふ「漢文」を、「論理的」に「読解」しようとしも、「無駄」である。
令和02年08月15日、毛利太。
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