2020年8月13日木曜日

「千里馬常有、而伯楽不常有。」の「述語論理」。

(01)
(ⅰ)
1 (1)~∀x{千里馬x→ ∃y(伯楽y&食yx)} A
1 (2)∃x~{千里馬x→ ∃y(伯楽y&食yx)} 1量化子の関係
 3(3)  ~{千里馬a→ ∃y(伯楽y&食ya)} A
 3(4) ~{~千里馬a∨ ∃y(伯楽y&食ya)} 3含意の定義
 3(5)    千里馬a&~∃y(伯楽y&食ya)  4ド・モルガンの法則
 3(6)    千里馬a               5&E
 3(7)         ~∃y(伯楽y&食ya)  5&E
 3(8)         ∀y~(伯楽y&食ya)  7量化子の関係
 3(9)           ~(伯楽b&食ba)  8UE
 3(ア)           ~伯楽b∨~食ba   9ド・モルガンの法則
 3(イ)            伯楽b→~食ba   ア含意の定義
 3(ウ)         ∀y(伯楽y→~食ya)  イUI
 3(エ)    千里馬a&∀y(伯楽y→~食ya)  6ウ&I
 3(オ) ∃x{千里馬x&∀y(伯楽y→~食yx)} エEI
1 (カ) ∃x{千里馬x&∀y(伯楽y→~食yx)} 23オEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x{千里馬x&∀y(伯楽y→~食yx)} A
 2(2)    千里馬a&∀y(伯楽y→~食ya)  A
 2(3)    千里馬a               2&E
 2(4)         ∀y(伯楽y→~食ya)  2&E
 2(5)            伯楽b→~食ba   4UE
 2(6)           ~伯楽b∨~食ba   5含意の定義
 2(7)           ~(伯楽b&食ba)  6ド・モルガンの法則
 2(8)         ∀y~(伯楽y&食ya)  7UI
 2(9)         ~∃y(伯楽y&食ya)  8量化子の関係
 2(ア)    千里馬a&~∃y(伯楽y&食ya)  39&I
 2(イ) ~{~千里馬a∨ ∃y(伯楽y&食ya)} ア、ド・モルガンの法則
 2(ウ)  ~{千里馬a→ ∃y(伯楽y&食ya)} イ含意の定義
 2(エ)∃x~{千里馬a→ ∃y(伯楽y&食ya)} ウEI
1 (オ)∃x~{千里馬a→ ∃y(伯楽y&食ya)} 12エEE
1 (カ)~∀x{千里馬x→ ∃y(伯楽y&食yx)} オ量化子の関係
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽y& 食yx)}
② ∃x{千里馬x&∀y(伯楽y→~食yx)}
に於いて、すなはち、
すべてのxについて{xが千里の馬であるならば、あるyは伯楽であって、yはxを養ふ}といふわけではない
②   あるxについて{xは千里の馬であって、すべてのyについて(yが伯楽であるならば、yはxを養はない)}。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
① すべてのxについて{xが千里の馬であるならば、あるyは伯楽であって、yはxを養ふ}といふわけではない。
②     あるxについて{xは千里の馬であって、すべてのyについて(yが伯楽であるならば、yはxを養はない)}。
といふことは、
③(千里の馬がゐるならば、その、すべての千里の馬に対して、伯楽がゐる)といふわけではない。
といふ、ことである。
然るに、
(04)
①   ∃x(千里馬)⇔「千里の馬は存在する。」
②  ~∃x(千里馬)⇔「千里の馬は存在しない。」
③ ~~∃x(千里馬)⇔「千里の馬は存在しない、といふことはない。」
に於いて、
①=③ は、「二重否定律(DN)」である。
然るに、
(05)
③「千里の馬は存在しない、といふことはない。」
④「千里の馬は、常にゐる。」
に於いて、
③=④ である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∃x(千里馬)⇔「千里の馬は常にゐる。」
従って、
(02)(03)(06)により、
(07)
① ∃x(千里馬)&~∀x{千里馬x→∃y(伯楽y&食yx)}
といふ「述語論理式」は、
① 千里の馬は常にゐるが、(千里の馬がゐるならば、その、すべての千里の馬に対して、伯楽がゐる)といふわけではない
といふ、「意味」である。
然るに、
(08)
① 千里馬常有、而伯楽不常有
① 千里の馬は常に有れども、伯楽は常にはあらず。
① 一日に千里走る名馬はいつでもいるのであるが(これを見わける)伯楽はいつもいるとはかぎらないのである。
(赤塚忠・遠藤哲夫、漢文の基礎、1973年、154頁)
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 千里馬常有、而伯楽不常有
といふ「漢文(部分否定形)」は、
① ∃x(千里馬)&~∀x{千里馬x→∃y(伯楽y&食yx)}
といふ「述語論理式」に、「相当」する。
令和02年08月13日、毛利太。

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