2020年8月30日日曜日

「対偶」と「必要条件」と「論語・雍也 一六」。

―「昨日(令和02年08月29日)の記事」を書き直します。―
(01)
(a)
1  (1) A→ B A
 2 (2) A    A
  3(3)   ~B A
12 (4)    B 12MPP
123(5) ~B&B 34&I
1 3(6)~A    25RAA
1  (7)~B→~A 36CP
(b)
1  (1) ~B→~A A
 2 (2) ~B    A
  3(3)     A A
12 (4)    ~A 12MPP
123(5)  A&~A 34&I
1 3(6)~~B    25RAA
1 3(7)  B    6DN
1  (8)  A→ B 37CP
従って、
(01)により、
(02)
(a) A→ B
(b)~B→~A
に於いて、
(a)=(b)
であって、それ故、「対偶(Contrapositions)」は、「互いに、等しい」。
従って、
(02)により、
(03)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
であって、それ故、「対偶(Contrapositions)」は、「互いに、等しい」。
然るに、
(04)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
である。といふことは、
(c)「(Bでないならば、Aでない、が故に、)Aであるためには、Bでなければ、ならない。」
(d)「(Aであるならば、Bである、が故に、)Bでないためには、Aであっては、ならない。」
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(04)により、
(05)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
であるが故に、
(c)「Aであるためには、Bであること」が、「必要」である。
(d)「Bでないためには、Aでないこと」が、「必要」である。
従って、
(05)により、
(06)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
であるが故に、
(c)「Bであることは、Aであるため」の、「必要条件」である。
(d)「Aでないことは、Bでないため」の、「必要条件」である。
然るに、
(07)
(ⅰ)
① 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣⇒
① 〔(祝鮀之佞)有〕不、而(宋朝之美)有、難乎、(於今之世)免矣=
① 〔(祝鮀の佞)有ら〕ずして、而も(宋朝の美)有らば、難いかな、(今に世に)免るること=
① 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有る〕のではなく、而も(宋朝のやうな美貌が)有るだけならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
(ⅱ)
② 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣⇒
② 〔(祝鮀之佞)有、而(宋朝之美)有〕不、難乎、(於今之世)免矣=
② 〔(祝鮀の佞)有りて、而も(宋朝の美)有ら〕ずんば、難いかな、(今の世矣)免るること=
② 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有って、而も(宋朝のやうな美貌が)有る〕といふ、ことではないならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
然るに、
(08)
① の場合、-a+bであると訳すと「弁舌はなくて、ハンサムというのは、あぶない(ハンサムの上に弁舌を兼ねそなえてこそ、はじめてやってゆける)」ということになる。
② の場合、すなわち -(a+b)であると「弁舌があり、その上にハンサムでないかぎり、やってゆけない」ということになる。どちらが正しいか。
 実はどちらも意味が通じるのである。
① のほうは、古注といって、伝統的な解釈であるが、
② のほうは、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325・326頁)
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
に於いて、
① は「古注」であって、
② は「新注」である。
従って、
(09)により、
(10)
A=祝鮀のやうな弁舌が有る。
B=宋朝のやうな美貌が有る。
C=今の時世を無事に送ることは、難しい。
とするならば、
①  ~A&B →C
② ~(A&B)→C
といふ「論理式」は、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」に「等しい」。
然るに、
(10)により、
(11)
①  ~A&B→C
の「対偶」は、
① ~C→~(~A&B)
である。
然るに、
(12)
(ⅰ)
1  (1)~C→~(~A&B) A
 2 (2)~C         A
12 (3)   ~(~A&B) 12MPP
12 (4)     A∨~B  3ド・モルガンの法則
12 (5)     ~B∨A  4交換法則
12 (6)      B→A  5含意の定義
1  (7)~C→  (B→A) 26CP
  3(8)~C&B       A
  3(9)~C         8&E
1 3(ア)      B→A  79MPP
  3(イ)   B       8&I
1 3(ウ)        A  アイMPP
1  (エ)~C&B→A     3ウCP
(〃)
1  (1)~C&B→A     3ウCP
 2 (2)~C         A
  3(3)   B       A
 23(4)~C&B       23&I
123(5)     A     14MPP
12 (6)   B→A     35CP
12 (7)  ~B∨A     6含意の定義
12 (8)  A∨~B     7交換法則
12 (9)~(~A&B)    8ド・モルガンの法則
1  (ア)~C→~(~A&B) 29CP
従って、
(11)(12)により、
(13)
①  ~A&B→C
の「対偶」である、
① ~C→~(~A&B)
といふ「論理式」は、
① ~C&B→A
といふ「論理式」に「等しい」。
然るに、
(14)
② ~(A&B)→C
の「対偶」は、
② ~C→~~(A&B)
といふ「論理式」であるが、
② ~C→~~(A&B)
といふ「論理式」は、「二重否定律(DN)」により、
② ~C→A&B
といふ「論理式」に、「等しい」。
従って、
(03)(13)(14)により、
(15)
①  ~A&B→ C
② ~(A&B)→C
といふ「論理式」は、それぞれ、
① ~C&→A
② ~C→A&
といふ「論理式」に、「等しい」。
従って、
(06)(10)(15)により、
(16)
① ~C&→A
② ~C→A&
に於いて、それぞれ、
①「今の時世で無事でゐることを易しくし、美貌があること」の「必要条件」は、「弁舌があること」である。
②「今の時世で無事でゐることを易しくすること」の「必要条件」は、「弁舌があることと、美貌があること」である。
従って、
(10)(16)により、
(17)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」は、それぞれ、
①「(既に、美貌を備てゐる)宋朝が、今の時世で無事でゐることを易しくしたい」と思ふのであれば、「宋朝は、(祝鮀のやうな)弁舌を身に着ける、必要が有る。」
②「今の時世で無事でゐることを易しくしたいと、ある人が」思ふのであれば、「そのひとは、(祝鮀のやうな)弁舌と、(宋朝のような)美貌の、両方を、必用とする。」
といふ「意味」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」は、両方とも、「結論」としては、
①「弁舌も、美貌も、必要である。」
②「弁舌も、美貌も、必要である。」
といふ風に、述べてゐる。
令和02年08月29日、毛利太。

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