2019年12月1日日曜日

「象は鼻が長い」の「述語論理(計算)」(Ⅱ)。

― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―

(01)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(02)
① Aは鼻以外は長くない。
② Bは耳以外は長くない。
とするならば、
① Aの鼻は長く
② Bの鼻は長くない
といふことになり、そのため、
③ AとBは、「同じ対象」では、有り得ない
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、その実、
① 象は鼻以外は長くない。然るに、
② 兎は耳以外は長くなく、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」に、「等しい」。
然るに、
(04)
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
② 兎は耳は長く、耳以外は長くなく、兎の耳は鼻ではない。
といふ「日本語」は。
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)}
といふ「論理式」に、相当する。
然るに、
(05)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   兎a                                   6&E
   6  (8)      兎a                                6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)                        9&E
    ウ (ウ)         鼻ba&長b                         A
1  6  (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)           9&E
1  6  (オ)                    ~鼻ba→~長b            エUE
 2 6  (カ)      ∃y(耳ya&長y)                        ア&E
     キ(キ)         耳ba&長b                         A
 2 6  (ク)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   クUE
 2 6  (コ)                             耳ba→~鼻ba   ケ&E
     キ(サ)         耳ba                            キ&E
 2 6 キ(シ)                                 ~鼻ba   コサMPP
12 6 キ(ス)                         ~長b            オシMPP
    ウ (セ)             長b                         ウ&E
12 6ウキ(ソ)             長b&~長b                     シス&I 
12 6ウ (タ)             長b&~長b                     カキソEE 
12 6  (チ)             長b&~長b                     イウタEE
123   (ツ)             長b&~長b                     36チEE
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
12    (ト)∀x~(象x&兎x)                              テ量化子の関係
12    (ナ)  ~(象a&兎a)                              トUE
12    (ニ)  ~象a∨~兎a                               ナ、ド・モルガンの法則
12    (ヌ)  ~兎a∨~象a                               ニ交換法則
12    (ネ)   兎a→~象a                               ヌ含意の定義
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ネUI
12    (〃)兎は象ではない。                                ネUI
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。然るに、
② 兎は耳は長く、耳以外は長くなく、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)}。従って、
③ ∀x(兎x→~象x)。
といふ「述語論理」としても、「妥当」である。
従って、
(03)(06)により、
(07)
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」であるとする一方で、
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない
然るに、
(09)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、明らかに、「妥当」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 象は鼻長い。
② 兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」が「妥当」である以上、三上章先生であらうと、金谷武洋先生であらうと、田中智恵子先生であらうと、誰であらうと、
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない
従って、
(10)により、
(11)
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」の「第一の、意味」は、「述語論理」で書けば、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「意味」、すなはち、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ、「意味」である。
然るに、
(12)
「三上章、象は鼻が長い、1960年」
「三上章、日本語の論理、1963年」
「竹林一志、主語・題目語をめぐる三上章の論」等を読む限り、三上章先生は、
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ「等式」に、気付いてゐないか、気付いてはゐても、そのことを、無視してゐると、言はざるを得ない。
令和元年12月01日、毛利太。

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