2019年12月9日月曜日

「兎は象ではないが、鼻がある」の「述語論理」。

― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―

(01)
1   (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(~象x&鼻yx)→~長y} A
1   (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&(~象a&鼻ya)→~長y} 1UE
1   (3)     象a&鼻ba→長b&(~象a&鼻ba)→~長b  1UE
1   (4)     象a&鼻ba→長b                3&E
1   (5)               (~象a&鼻ba)→~長b  3&E
 6  (6)  ∀x{兎x→~象x&∃y(鼻yx)}          A
 6  (7)     兎a→~象a&∃y(鼻ya)           1UE
  8 (8)     兎a                       A
 68 (9)        ~象a&∃y(鼻ya)           78MPP
 68 (ア)        ~象a                   9&E
 68 (イ)            ∃y(鼻ya)           9&E
   ウ(ウ)               鼻ba            A
 68ウ(エ)        ~象a&鼻ba               アウ&I
168ウ(オ)                         ~長b  5エMPP
168ウ(カ)           鼻ba&~長b            ウオ&I
168ウ(キ)        ∃y(鼻ya&~長y)           カEI
168 (ク)        ∃y(鼻ya&~長y)           イウキEE
16  (ケ)     兎a→∃y(鼻ya&~長y)           8クCP
16  (コ)  ∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)}          ケUI
従って、
(01)により、
(02)
(1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}
(6)  ∀x{兎x→~象x&∃y(鼻yx)}
(コ)  ∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)} 
といふ「推論」、すなはち、
(1)すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
(6)すべてのxについて、  xが兎であるならば、xは象ではなく、あるyはxの鼻である。
(コ)すべてのxについて、  xが兎であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(03)
(1)象の鼻_長い。 然るに、
(6)兎は象ではないが、鼻がある。 従って、
(コ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(04)
Q:Which nose is longer, an elephant or a rabbit ?
A:象の鼻長い。
であって、
Q:Which nose is longer, an elephant or a rabbit ?
A:象の鼻長い。
ではない
従って、
(03)(04)により、
(05)
(1)象の鼻長い。 然るに、
(6)兎は象ではないが、鼻がある。 従って、
(コ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 象の鼻長い。⇔
① 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
① ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}⇔
① すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(06)により、
(07)
① 象の鼻長い=象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
であって、
② 象の鼻長い=象の鼻 is long.
ではない。
然るに、
(08)
 象は 鼻長い。
「象」はこの文の主題です。「鼻は長い」は全体で「象の説明」を行っているという構造をしています。これがもし「象の鼻が長い」であれば、単に「象の鼻=長い」といっているだけで、「象」が主題となっているとは言えません。ところが、「象は鼻が長い」にすると、「象について言えば、鼻が長い」という意味になります。
(橋本陽介、日本語の謎を解く、2016年、141・142頁)
然るに、
(09)
橋本陽介先生が言ふ「象の鼻=長い」といふのは、「象の鼻 is long.」といふことであると、思はれる。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
橋本陽介先生の言ふ、
これがもし「象の鼻長い」であれば、単に「象の鼻長い」といっているだけである。
といふ言ひ方は、「正しく」はない。
令和元年12月09日、毛利太。

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