2019年12月4日水曜日

「象は鼻が長い」の「象」は「主語」である。と「述語論理」。

― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―

(01)
 象は 鼻長い。
「象」はこの文の主題です。「鼻は長い」は全体で「象の説明」を行っているという構造をしています。これがもし「象の鼻が長い」であれば、単に「象の鼻=長い」といっているだけで、「象」が主題となっているとは言えません。ところが、「象は鼻が長い」にすると、「象について言えば、鼻が長い」という意味になります。
(橋本陽介、日本語の謎を解く、2016年、141・142頁)
然るに、
(02)
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物である。⇔
① すべての象について、象をxとするならば、xは動物である。⇔
① ∀x(象x→動物x)⇔
① 象動物である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
   「象は」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
「∀x{象x」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
然るに、
(04)
② Elephants are animals.      ⇔
② ∀x(ELEPHANTx→ANIMALx)⇔
② For all x, if x is an elephant then x is an animal.⇔
② すべての象について、象をxとするならば、xは動物である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
   「象は」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
「Elephants」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
従って、
(01)(05)により、
(06)
   「象は」が「主題」であるならば、
「Elephants」も「主題」である。
然るに、
(07)
② Elephants are animals.
に於いて、
② Elephants は「主語」である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 象は動物である。
② Elephants are animals.
に於いて、
「Elephants」が「主語」であるならば、
   「象は」も「主語」である。
(09)
(ⅲ)
1  (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y} A
1  (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&~象a&鼻ya→~長y} 1UE
1  (3)     象a&鼻ba→長b&~象a&鼻ba→~長b  2UE
1  (4)               ~象a&鼻ba→~長b  3&E
 5 (5)                        長b  A
 5 (6)                      ~~長b  5DN
15 (7)             ~(~象a&鼻ba)     46MTT
15 (8)               象a∨~鼻ba      7ド・モルガンの法則
15 (9)               ~鼻ba∨象a      8交換法則
15 (ア)                鼻ba→象a      9含意の定義
1  (イ)             長b→鼻ba→象a      5アCP
  ウ(ウ)             長b&鼻ba         A
  ウ(エ)             長b             ウ&E
1 ウ(オ)                鼻ba→象a      イエMPP
  ウ(カ)                鼻ba         ウ&E
1 ウ(キ)                    象a      オカMPP
1  (ク)             長b&鼻ba→象a      ウキCP
1  (ケ)     象a&鼻ba→長b              3&E
1  (コ)     象a&鼻ba→長b&長b&鼻ba→象a    クケ&I
1  (サ)  ∀y{象a&鼻ya→長y&長y&鼻ya→象a}   コUI
1  (シ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y&鼻yx→象x}   サUI
1  (〃)すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長く、yがxの鼻ならば、xは象である。 サUI
1  (〃)象の鼻ならば長く、長い鼻ならば、象である。       サUI
(ⅳ)
1  (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y&鼻yx→象x}   A
1  (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&長y&鼻ya→象a}   1UE
1  (3)     象a&鼻ba→長b&長b&鼻ba→象a    2UE
1  (4)               長b&鼻ba→象a    3&E
 5 (5)                     ~象a    A
15 (6)             ~(長b&鼻ba)      45MTT
15 (7)             ~長b∨~鼻ba       6ド・モルガンの法則
15 (8)             ~鼻ba∨~長b       7交換法則
15 (9)              鼻ba→~長b       8含意の定義
1  (ア)          ~象a→鼻ba→~長b       59CP
  イ(イ)          ~象a&鼻ba           A
  イ(ウ)          ~象a               イ&E
1 イ(エ)              鼻ba→~長b       アウMPP
  イ(オ)              鼻ba           イ&E
1 イ(カ)                  ~長b       エオMPP
1  (キ)          ~象a&鼻ba→~長b       イカCP
1  (ク)     象a&鼻ba→長b              3&E
1  (ケ)     象a&鼻ba→長b&~象a&鼻ba→~長b  キク&I
1  (コ)  ∀y{象a&鼻ya→長y&~象a&鼻ya→~長y} ケUI
1  (サ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y} コUI
1  (〃)すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
従って、
(09)により、
(10)
③ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}
④ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y& 長y&鼻yx→ 象x}
に於いて、すなはち、
③ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長く、yがxの鼻ならば、xは象である。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(10)により、
(11)
③ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長く、yがxの鼻ならば、xは象である。
に於いて、すなはち、
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
④ 象の鼻は長く、長い鼻ならば象である。
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(12)
{馬、兎、象}であるならば、
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
④ 象の鼻は長く、長い鼻ならば象である。
然るに、
(13)
{馬、兎、象}であるならば、
① 顔は、馬は長く、馬以外(兎と象)は長くない
② 耳は、兎は長く、兎以外(馬と象)は長くない
③ 鼻は、象は長く、象以外(馬と兎)は長くない
従って、
(13)により、
(14)
{馬、兎、象}であるならば、
① 馬の顔長く、
② 兎の耳長く、
③ 象の鼻長い。
従って、
(10)~(14)により、
(15)
③ 象の鼻長い。⇔
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
③ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}⇔
③ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(15)により、
(16)
④ 象の鼻は長い。⇔
④ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y}⇔
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長い。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(15)(16)により、
(17)
「番号」を付け直すと、
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
といふ「等式」が成立する。
従って、
(14)(17)により、
(18)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
に於いて、
① の{変域(ドメイン)}は{象}だけであって、
② の{変域(ドメイン)}は{馬}&{兎}&{象}である。
従って、
(19)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
に於いて、
① は、「象」だけを「取り上げてゐる」が、
② は、「象、兎、馬」に「言及」してゐる。
従って、
(19)により、
(20)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
に於いて、
① は、「象の鼻」を「話題(主題)」にしてゐるが、
② は、「象の鼻と、その他の鼻」を「話題(主題)」にしてゐる。
従って、
(20)により、
(21)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
に於いて、「象の鼻」を「主題」にしてゐるのは、「どちらか」と問はれるならば、
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
が、さうである。
然るに、
(08)により、
(22)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
に於いても、
①「象の鼻」は、「主語(Subject)」である。
然るに、
(23)
② 象の鼻長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
であるが故に、
③   鼻長い。⇔   鼻は長く、鼻以外は長くない
でなければ、ならない。
従って、
(23)により、
(24)
③   鼻長い。⇔   鼻は長く、鼻以外は長くない
であるが故に、
③ 象は鼻長い。⇔ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
でなければ、ならない。
従って、
(24)により、
(25)
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(26)
② 兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。⇔
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)}⇔
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳でないならば、zは長くないが、zはxの鼻ではない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(27)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   兎a                                   6&E
   6  (8)      兎a                                6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)                        9&E
    ウ (ウ)         鼻ba&長b                         A
1  6  (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)           9&E
1  6  (オ)                    ~鼻ba→~長b            エUE
 2 6  (カ)      ∃y(耳ya&長y)                        ア&E
     キ(キ)         耳ba&長b                         A
 2 6  (ク)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   クUE
 2 6  (コ)                             耳ba→~鼻ba   ケ&E
     キ(サ)         耳ba                            キ&E
 2 6 キ(シ)                                 ~鼻ba   コサMPP
12 6 キ(ス)                         ~長b            オシMPP
    ウ (セ)             長b                         ウ&E
12 6ウキ(ソ)             長b&~長b                     シス&I 
12 6ウ (タ)             長b&~長b                     カキソEE 
12 6  (チ)             長b&~長b                     イウタEE
123   (ツ)             長b&~長b                     36チEE
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
12    (ト)∀x~(象x&兎x)                              テ量化子の関係
12    (ナ)  ~(象a&兎a)                              トUE
12    (ニ)  ~象a∨~兎a                               ナ、ド・モルガンの法則
12    (ヌ)  ~兎a∨~象a                               ニ交換法則
12    (ネ)   兎a→~象a                               ヌ含意の定義
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ネUI
12    (〃)兎は象ではない。                                ネUI
従って、
(25)(26)(27)により、
(28)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
といふ「推論」、すなはち、
      (1)象は鼻長い。然るに、
      (2)兎は耳長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
      (3)兎は象ではない。 
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(25)~(28)により、
(29)
「逆」に言へば、
      (1)象は鼻長い。然るに、
      (2)兎は耳長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
      (3)兎は象ではない。 
といふ「推論」は、「妥当」であるが故に、
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」は、「正しい」。
従って、
(29)により、
(30)
仮に、
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、「マチガイ」であるならば、「述語論理(Predicate logic)そのもの」が、「正しくはない」。
然るに、
(31)
「一階述語論理の完全性定理」によれば、「述語論理(Predicate logic)」は、「完全」である。
従って、
(30)(31)により、
(32)
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」は、「正しい」。
令和元年12月05日、毛利太。

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