2020年10月15日木曜日

「自然演繹」で言ふ所の「定理」ついて。

(01)
公理(こうり、英: axiom)は、その他の命題を導きだすための前提として導入される最も基本的な仮定のことである。一つの形式体系における議論の前提として置かれる一連の公理の集まりを公理系(英語版) (axiomatic system) という[1] 。公理を前提として演繹手続きによって導きだされる命題は定理とよばれる(ウィキペディア)。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1(1)P        A
 (2)P→P      11CP
 (〃)PならばPである。11CP
従って、
(02)により、
(03)
①├ P→P
である。
然るに、
(04)
①├ P→P
に於いて、
①  P→P
は、「仮定の数がゼロである証明可能な連式の結論である(論理学初歩、E.J.レモン、64頁)。」
然るに、
(05)
このかたちで証明される連式の結論を、定理(theorem)とよぶのである。故に仮定の数がゼロである証明可能な連式の結論である。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、64頁)
従って、
(01)~(05)により、
(06)
①├ P→P
①├ PならばPである(同一律)。
は、「論理学初歩、E.J.レモン」で言ふ所の、「定理(theorem)」であって、「ウィキペディア」で言ふ「公理(axiom)」ではない
然るに、
(07)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
に於いて、「A,CP」は、「規則(rules)」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
「論理学初歩、E.J.レモン」に於ける、
① PならばPである(同一律)。
といふ「恒真式(トートロジー)」は、「規則」によって、「証明」される所の「定理」である。
従って、
(09)
「ウィキペディア」で言ふ所の、「公理」は、
「論理学初歩、E.J.レモン」で言ふ所の「規則」に「対応」し、
「論理学初歩、E.J.レモン」で言ふ所の「定理」は、「普通の言い方」では、「恒真式(トートロジー)」に「相当」する。
然るに、
(10) (ⅰ)
1  (1)     Na&(a=b)      A
1  (2)     Na            1&E
1  (3)         a=b       1&E
1  (4)     Nb            23=E
   (5)     Na&(a=b)→Nb   14CP
 6 (6)             ~Nb   A
 6 (7)   ~{Na&(a=b)}     56MTT
 6 (8)    ~Na∨(a≠b)      7ド・モルガンの法則
 6 (9)     Na→(a≠b)      8含意の定義
   (ア)~Nb→{Na→(a≠b)}     69CP
  イ(イ) Na&~Nb            A
  イ(ウ)~Nb                イ&E
  イ(エ)    {Na→(a≠b)}     アウMPP
  イ(オ)     Na            イ&E
  イ(カ)        (a≠b)      エオMPP
   (キ)     Na&~Nb→(a≠b)  イカCP
   (ク)  ∀y{Na&~Ny→(a≠y)} キUI
   (ケ)∀x∀y{Nx&~Ny→(x≠y)} クUI
   (〃)すべてxとすべてのyについて{xが日本人であって、yが日本人でないならば、xとyは同一人物ではない}。
(ⅱ)
1    (1)     Na&(a=b)      A
1    (2)     Na            1&E
1    (3)         a=b       1&E
1    (4)     Nb            23=E
     (5)     Na&(a=b)→Nb   14CP
 6   (6)             ~Nb   A
 6   (7)   ~{Na&(a=b)}     56MTT
 6   (8)    ~Na∨(a≠b)      7ド・モルガンの法則
 6   (9)     Na→(a≠b)      8含意の定義
     (ア)~Nb→{Na→(a≠b)}     69CP
  イ  (イ) Na&~Nb            A
  イ  (ウ)~Nb                イ&E
  イ  (エ)    {Na→(a≠b)}     アウMPP
  イ  (オ)     Na            イ&E
  イ  (カ)        (a≠b)      エオMPP
     (キ)     Na&~Nb→(a≠b)  イカCP
   ク (ク)            (a=b)  A
   ク (ケ)           ~(a≠b)  クDN
   ク (コ)   ~(Na&~Nb)       キケMTT
   ク (サ)    ~Na∨ Nb        コ、ド・モルガンの法則
   ク (シ)     Na→ Nb        サ含意の定義
     (ス)    (a=b)→(Na→Nb)  クシCP
    セ(セ)    (a=b)& Na      A
    セ(ソ)    (a=b)          セ&E
    セ(タ)           Na→Nb   スソMPP
    セ(チ)           Na      セ&E
    セ(ツ)              Nb   タチMPP
     (テ)     (a=b)&Na→Nb   セツCP      (ト)  ∀y{(a=y)&Na→Ny}  テUI
     (ナ)∀x∀y{(x=y)&Nx→Ny}  トUI
     (〃)すべてxとすべてのyについて{xとyが同一人物あって、xが日本人であるならば、yも日本人である}。
従って、
(04)(05)(06)(08)により、
(11)
②├ ∀x∀y{Nx&~Ny→(x≠y)}
③├ ∀x∀y{(x=y)&Nx→Ny}
といふ「定理」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(11)により、
(12)
例へば、
①「xが日本人であって、yが日本人でない。」ならば、「xとyは、同一人物ではない。」
②「xとyが、同一人物であって、xが日本人である。」ならば、「yも日本人である。」
といふ『自明の理』は、「恒真式(トートロジー)」である。
令和02年10月15日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿