2020年10月1日木曜日

∃x(Fx&Gx)├ ∃x(Fx)&∃x(Gx)

(01)
{a,b,c}のみを含む、「3つの対象」から成る「世界」に於いて、
111
1 (1)∃x(Fx&Gx)     A
 2(2)   Fa&Ga      A
 2(3)   Fa         2&E
 2(4)∃x(Fx)        3EI
 2(5)      Ga      2&E
 2(6)   ∃x(Ga)     5EI
 2(7)∃x(Fx)&∃x(Gx) 46&I
1 (8)∃x(Fx)&∃x(Gx) 127EE
といふ「述語計算(Predicate calculus)」は、
1    (1)(Fa&Ga)∨ (Fb&Gb)∨(Fc&Gc)  A
1    (2)(Fa&Ga)∨{(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)} 1結合法則
 3   (3)(Fa&Ga)                   A
 3   (4) Fa                       3&E
 3   (5) Fa∨Fb                    4∨I
 3   (6) Fa∨Fb∨Fc                 5∨I
 3   (7)    Ga                    3&E
 3   (8)    Ga∨Gb                 7∨I
 3   (9)    Ga∨Gb∨Gc              8∨I
 3   (ア)(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)     69&I
  イ  (イ)         (Fb&Gb)∨(Fc&Gc)  A
   ウ (ウ)          Fb&Gb           A
   ウ (エ)          Fb              ウ&E
   ウ (オ)          Fa∨Fb           エ∨I
   ウ (カ)          Fa∨Fb∨Fc        オ∨I
   ウ (キ)             Gb           ウ&E
   ウ (ク)          Ga∨Gb           キ∨I
   ウ (ケ)          Ga∨Gb∨Gc        ク∨I
   ウ (コ)(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)     カケ&I
    サ(サ)                  Fc&Gc   A
    サ(シ)     Fc      サ&E
    サ(ス)               Fb∨Fc      シ∨I
    サ(セ)            Fa∨Fb∨Fc      ス∨I
    サ(ソ)                     Gc   サ&E
    サ(タ)                  Gb∨Gc   ソ∨I
    サ(チ)               Ga∨Gb∨Gc   タ∨I
    サ(ツ)(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)     セチ&I
  イ  (テ)(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)     イウコサツ∨E
1    (ト)(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)     23アイテ∨E
といふ「命題計算(Propositional calculus)」に、「等しい」。
cf.
「述語計算」は「命題計算」の「拡張」であるが、「(1)~(ト)」は、「命題計算規則」だけを用ひてゐる。従って、以上に示した「(1)~(ト)」は「命題計算」である。
従って、
(01)により、
(02)
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(03)
①(F&G)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
③(F       &    G   )
に於いて、
①(F&G)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
といふ「3つの選言支」の中に、
③(F&G
といふ「選言支」は無い
従って、
(03)により、
(04)
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
③(F       &    G   )
に於いて、
①と③ が、「同時に、真になる」ことはない。
然るに、
(05)
「∨のマトリックス(真理表)」と、「&のマトリックス(真理表)」により、
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
③(Fa       &    Gb   )
に於いて、
②と③ が、「同時に、真になる」ことは、「可能」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
③(Fa       &    Gb   )
に於いて、
①と③ は、「同時にになる」ことが、「可能」であるが、
②と③ は、「同時にになる」ことが、「 可能」である。
従って、
(06)により、
(07)
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
に於いて、
② ならば、① である。
とは、限らない
従って、
(02)(05)(06)(07)により、
(08)
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない
然るに、
(09)
{a,b,c}のみを含む、「3つの対象」から成る「世界」に於いて、
①(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
②(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
といふ「式」は、
① ∃x(Fx&Gx)
② ∃x(Fx)&∃x(Gx)
といふ「述語論理式」に、相当する。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ∃x(Fx&Gx)
② ∃x(Fx)&∃x(Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない
然るに、
(11)
 111 ∃x(Fx&Gx)├ ∃x(Fx)&∃x(Gx)
に対して、
逆の連式 ∃x(Fx)&∃x(Gx)├ ∃x(Fx&Gx) は妥当ではない。
― 中略、―
この連式を証明しようとする自然な試みが、EE に対する制限に照らして、どのようにして失敗に帰するかを見ておくことは有益である。われわれは次のように証明をはじめるであろう。
1  (1)∃x(Fx)&∃x(Gx) A
1  (2)∃x(Fx)        1&E
1  (3)       ∃x(Gx) 1&E
 4 ()   F         A
  5()          G  A
 45(6)   Fa&Ga      45&I
 45()∃x(Fx&Gx)     6EI
存在命題(2)および(3)に対して、われわれは代表的選言項(4)および(5)を仮定して、それらから結論 ∃x(Fx&Gx) を導出した。しかし EE を適用するどのようなくわだても、(2)を用いるにせよ(3)を用いるにせよ、こんどはうまく行かない。()の行の結論は()と()に依存し、そのいずれも「」が現れているからである。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、154頁改)
従って、
(01)~(11)により、
(12)
いづれにせよ、
① ∃x(Fx&Gx)≡(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
② ∃x(Fx)&∃x(Gx)≡(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない
然るに、
(13)
F=フランス人
G=学生
とするならば、
① ∃x(Fx&Gx)≡(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
② ∃x(Fx)&∃x(Gx)≡(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
といふ「式」は、それぞれ、
① あるフランス人は、学生である。
② フランス人がゐて、学生もゐる。
といふ「意味」である。
然るに、
(14)
① あるフランス人(ギイ)は、学生である。
とするならば、当然、
② フランス人(ギイ)がゐて、学生(ギイ)もゐる。
然るに、
(15)
② フランス人(ギイ)がゐて、学生(カトリーヌ)もゐる。
としても、
② ギイカトリーヌ
であって、
② ギイカトリーヌ
ではないのであれば、
① あるフランス人(ギイ)は、学生である。
といふことには、ならない。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
① ∃x(Fx&Gx)≡(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
② ∃x(Fx)&∃x(Gx)≡(Fa∨Fb∨Fc)&(Ga∨Gb∨Gc)
といふ「式」が、例へば、
① あるフランス人は、学生である。
② フランス人がゐて、学生もゐる。
といふ「意味」であったとしても、
① ならば、② であるが、
② ならば、① ではない
令和02年10月01日、毛利太。

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