(― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html)
(β)「返り点」と「括弧」の条件。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html)
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html)
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html)
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html)
(ζ)「返り点・モドキ」について。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html)
(θ)「括弧」の「順番」。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)
(ι)「返り点」と「括弧」の関係 :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)
等々、「その他」を、お読み下さい。―
(01)
ラッセルの確定記述の理論を用いて、次の論証の健全性を確立せよ。
(a)マイン・カンプの著者は1945年に死んだ。ヒトラーはマイン・カンプを書いた。故にヒトラー1945年に死んだ。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、215頁)
(02)
〔私の解答〕
1 (1)∃x(我が闘争x&45年死x) A
2 (2) 我が闘争a&45年死a A
3 (3)∃y{ヒトラーy&∀x(我が闘争x→x=y)} A
4(4) ヒトラーb&∀x(我が闘争x→x=b) A
4(5) ∀x(我が闘争x→x=b) 4&E
4(6) 我が闘争a→a=b 5UE
2 (7) 我が闘争a 2&E
2 4(8) a=b 67MPP
4(9) ヒトラーb 4&E
2 4(ア) ヒトラーa 89=E
2 (イ) 45年死a 2&E
2 4(ウ) ヒトラーa&45年死a アイ&I
2 4(エ)∃x(ヒトラーx&45年死x) ウEI
23 (オ)∃x(ヒトラーx&45年死x) 34エEE
1 3 (カ)∃x(ヒトラーx&45年死x) 12オEE
1 3 (〃)あるxはヒトラーであって1945年に死んだ。 12オEE
1 3 (〃)Therefore Hitler died in 1945. 12オEE
従って、
(01)(02)により、
(03)
「ラッセルの確定記述の理論(definite description)」により、
① ヒトラー=マイン・カンプの著者.
といふことは、
② ヒトラーはマイン・カンプの著者であり、マイン・カンプの著者はヒトラーである。
③ ヒトラーはマイン・カンプの著者であり、ヒトラー以外はマイン・カンプの著者ではない。
といふことに、他ならない。
従って、
(03)により、
(04)
① A=B.
といふことは、
② AはBであり、BはAである。
③ AはBであり、A以外はBではない。
といふことに、他ならない。
然るに、
(05)
逆は必ずしも、真ではない。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① AはBである。
からと言って、
① BはAである。
とは、限らない。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① AはBである。
からと言って、
① A=B
とは、限らない。
従って、
(07)により、
(08)
① AはBである(A is B)。
には、
② A=B
③ A≠B
といふ、「2通り」があることになる。
然るに、
(09)
Consider the six English sentences below.
(1)Socrates is a philosopher.
(2)Paris is a city.
(3)Courage is a virtue.
(4)Socrates is the philosopher who taught Plato.
(5)Paris is the capital of France.
(6)Courage is the virtue I most admire.
(E.J.Lemmon, Beginning Logic,1978/6/1,p160)
(10)
つぎの6つの日本語の文を考えてみよう。
(1)ソクラテスは哲学者である。
(2)パリは都市である。
(3)勇気は徳である。
(4)ソクラテスはプラトンを教えた哲学者である。
(5)パリはフランスの首都である。
(6)勇気はわたしが最も賛美する徳である。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、204頁)
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
① AはBである(A is B)。
には、
② A=B(A is the B).
③ A≠B(A is a B).
といふ、「2通り」があることになる。
然るに、
(12)
①{ソクラテス、プラトン、アリストテレス}
を{対象}とする際に、
① ソクラテスは哲学者である。
② ソクラテスが哲学者である。
に於いて、
① は、「正しく」、
② は、「間違ひ」である。
然るに、
(13)
①{ソクラテス、プラトン、アリストテレス}
を{対象}とする際に、
① ソクラテスはプラトンを教えた哲学者である。
② ソクラテスがプラトンを教えた哲学者である。
に於いて、
① は、「正しく」、
② も、「正しい」。
然るに、
(14)
①{ソクラテス、プラトン、アリストテレス}
を{対象}とする際に、
① ソクラテスは哲学者である。
③ 哲学者はソクラテスである。
に於いて、
① は、「正しく」であるが、
③ は、「間違ひ」である。
然るに、
(15)
①{ソクラテス、プラトン、アリストテレス}
を{対象}とする際に、
① ソクラテスはプラトンを教えた哲学者である。
③ プラトンを教えた哲学者はソクラテスである。
に於いて、
① は、「正しく」、
③ も、「正しい」。
従って、
(12)~(15)により、
(16)
① ソクラテスは哲学者である。
② ソクラテスが哲学者である。
③ 哲学者はソクラテスである。
であれば、
① 以外は「間違ひ」であって、
① ソクラテスはプラトンを教えた哲学者である。
② ソクラテスがプラトンを教えた哲学者である。
③ プラトンを教えた哲学者はソクラテスである。
であれば、
① は「正しく」、
② も「正しく」、
③ も「正しい」。
従って、
(16)により、
(17)
① AはBであって、
③ BはAである。
ならば、そのときに限って、
① AはBである。は、
② AがBである。
と、「言ひ得る」といふ、ことになる。
従って、
(09)(17)により、
(18)
Consider the six English sentences below.
(1)Socrates is a philosopher.
(2)Paris is a city.
(3)Courage is a virtue.
(4)Socrates is the philosopher who taught Plato.
(5)Paris is the capital of France.
(6)Courage is the virtue I most admire.
(E.J.Lemmon, Beginning Logic,1978/6/1,p160)
であるならば、
(1,2,3)A is a B.
(4,5,6)A is the B.
に於いて、
(1,2,3)は、「AはBである。」の「1通り」しかなく、
(4,5,6)は、「AはBである。」&「AがBである。」の「2通り」がある。
といふ、ことになる。
従って、
(17)(18)により、
(19)
(2)Paris is a city.
(5)Paris is the capital of France.
であれば、
(2)ではなく、
(5)の場合は、
(5)Paris is the capital of France.であると同時に、
(〃)the capital of France is Paris.であるが故に、
(5)パリはフランスの首都である。 と同時に、
(〃)パリがフランスの首都である。 といふ、ことなる。
然るに、
(20)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(19)(20)により、
(21)
(7)I am the 理事長 of タゴール記念会. であると同時に、
(〃)the 理事長 of タゴール記念会 is me. であるが故に、
(7)私はタゴール記念会の理事長である。 と同時に、
(〃)私がタゴール記念会の理事長である。 といふ、ことなる。
令和元年09月24日、毛利太。
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