2019年9月13日金曜日

「象は鼻が長い」の「2通りの論理式」。

―「一昨日(令和元年09月12日)の記事」を書き直します。―
― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―

(01)
① 象は鼻は長く、象は鼻以外は長くない。然るに、
② 兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
兎は象ではない
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(02)
1     (1)象は鼻長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。              A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)有る兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
  3   (〃)あるxは兎であって象である。                 A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)   兎a                          6&E
   6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  48MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  57MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba~長b   カUE
 2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
    オ (コ)                    耳ba        オ&E
 2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサMPP
    オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ナUI
12    (〃)兎は象ではない。                       ナUI
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}然るに、
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}故に、
③ ~∃x(兎x&象x)=兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
(04)
1    (1)象は鼻長い。                          A
1    (〃)∀x∀y{(象x&鼻yx)→長y&(象x&~鼻yx)→~長y)} A
 2   (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。               A
 2   (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}   A
  3  (3)ある兎は象である。                        A
  3  (〃)∃x(兎x&象x)                        A
  3  (〃)あるxは兎であって象である。                   A
1    (4)  ∀y{(象a&鼻ya)→長y&(象a&~鼻ya)→~長y)} 1UE
1    (5)     (象a&鼻ba)→長b&(象a&~鼻ba)→~長b   1UE
1    (6)     (象a&鼻ba)→長b                 5&E
1    (7)                 (象a&~鼻ba)→~長b   5&E
 2   (8)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)    2UE
   9 (9)   兎a&象a                         A
   9 (ア)   兎a                            9&E
   9 (イ)      象a                         9&E
 2 9 (ウ)      ∃y(耳ya&長y)                 8アMPP
    エ(エ)         耳ba&長b                  A
    エ(オ)         耳ba                     エ&E
    エ(カ)             長b                  エ&E
 2   (キ)                 ∀z(耳za→~鼻za)    8&E
 2   (ク)                    耳ba→~鼻ba     キUE
 2  エ(ケ)                        ~鼻ba     オクMPP
 2 9エ(コ)                     象a&~鼻ba     イケ&I
12 9エ(サ)                           ~長b   7コMPP
12 9エ(シ)             長b&~長b              カサ&I
12 9 (ス)             長b&~長b              ウエシEE
123  (セ)             長b&~長b              39スEE
12   (ソ)~∃x(兎x&象x)                       3セRAA
12   (タ)∀x~(兎x&象x)                       ソ量化子の関係
12   (チ)  ~(兎a&象a)                       タUE
12   (ツ)  ~兎a∨~象a                        チ、ド・モルガンの法則
12   (テ)   兎a→~象a                        ツ含意の定義
12   (ト)∀x(兎x→~象x)                       テUI
12   (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。     テUI
12   (〃)兎は象ではない。                         テUI
従って、
(04)により、
(05)
① ∀x∀y{(象x&鼻yx)→長y&(象x&~鼻yx)→~長y)}然るに、
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}故に、
③ ~∃x(兎x&象x)=兎は象ではない。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 象は鼻長い。
② 象は鼻長い。
といふ場合が、さうであるように、
① AはBCである=AはBはCであり、B以外はCでない
② AはBCである=AはBはCであり、B以外はCでない
といふ「日本語」は、少なくとも、
①   ∀x{Ax→∃y(Byx&Cy)&∀z(~Bzx→~Cz)}
② ∀x∀y{(Ax&Byx)→Cy&(Ax&~Byx)→~Cy)}
といふ、「2通りの、論理式」に、対応する。
然るに、
(07)
② ∀x∀y{(象x&鼻yx)→長y&(象x&~鼻yx)→~長y)}⇔
② すべてのxとyについて、xが象であって、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象であって、yがxの鼻でないならば、yは長くない。
ではなく、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
に於ける、
すべてのxについて、xが象であるならば
といふことは、
これから象についてのことを述べますよ
といふ、ことである。
然るに、
(08)
「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。
(三上文法! : wrong, rogue and log)
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
②   ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x∀y{(象x&鼻yx)→長y&(象x&~鼻yx)→~長y)}
といふ、「2通りの論理式」に、対応するものの、
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」に、「より近い」のは、
③ ではなく、
② である。
といふ、ことになる。
令和元年09月13日、毛利太。

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