―「昨日(令和元年09月05日)の記事」を書き直します。―
― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html)
(β)「返り点」と「括弧」の条件。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html)
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html)
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html)
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html)
(ζ)「返り点・モドキ」について。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html)
(θ)「括弧」の「順番」。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)
(ι)「返り点」と「括弧」の関係 :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)
等々、「その他」を、お読み下さい。―
(01)
(ⅰ)
1 (1) P→(Q& R) A
2 (2) ~Q& R A
3(3) P A
1 3(4) Q& R 13MPP
1 3(5) Q 4&E
2 (6) ~Q 2&E
123(7) Q&~Q 56&I
12 (8)~P 37MTT
1 (9)(~Q&R)→~P 28CP
(ⅱ)
1 (1) P→(Q& R) A
2 (2) Q&~R A
3(3) P A
1 3(4) Q& R 13MPP
1 3(5) R 4&E
2 (6) ~R 2&E
123(7) R&~R 56&I
12 (8)~P 37MTT
1 (9)(Q&~R)→~P 28CP
(ⅲ)
1 (1) P→(Q& R) A
2 (2) ~Q&~R A
3(3) P A
1 3(4) Q& R 13MPP
1 3(5) Q 4&E
2 (6) ~Q 2&E
123(7) Q&~Q 56&I
12 (8)~P 37RAA
1 (9)(~Q&~R)→~P 28CP
(ⅳ)
1 (1) P→(Q& R) A
2 (2) ~Q&~R A
3(3) P A
1 3(4) Q& R 13MPP
1 3(5) R 4&E
2 (6) ~R 2&E
123(7) R&~R 56&I
12 (8)~P 37RAA
1 (9)(~Q&~R)→~P 28CP
然るに、
(02)
1(1)~( Q& R) A
1(2) ~Q∨~R 1ド・モルガンの法則
1(〃) ~Qと~Rの、どちらか一方、もしくは、両方である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① P→( Q& R)
② ~( Q& R)→~P
③ (~Q∨~R)→~P
に於いて、
①=②=③ は、「対偶(contraposition)」である。
従って、
(03)により、
(04)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~[∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x}
③ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨~∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x}
に於いて、
①=②=③ は、「対偶(contraposition)」である。
然るに、
(05)
1 (1)象は鼻が長い。 A
1 (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。 A
2 (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)ある兎は象である。 A
3 (〃)∃x(兎x&象x) A
3 (〃)あるxは兎であって象である。 A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 2UE
6 (6) 兎a&象a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 象a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 48MPP
2 6 (ア) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 57MPP
1 6 (イ) ∃y(鼻ya&長y) 9&E
2 6 (ウ) ∃y(耳ya&長y) ア&E
エ (エ) 鼻ba&長b A
オ(オ) 耳ba&長b A
1 6 (カ) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (キ) ~鼻ba→~長b カUE
2 6 (ク) ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
2 6 (ケ) 耳ba→~鼻ba クUE
オ (コ) 耳ba オ&E
2 6オ (サ) ~鼻ba ケコMPP
12 6オ (シ) ~長b キサMPP
オ (ス) 長b オ&E
12 6オ (セ) 長b&~長b シス&I
12 6 (ソ) 長b&~長b ウオセEE
123 (タ) 長b&~長b 36ソEE
12 (チ)~∃x(兎x&象x) 3タRAA
12 (ツ)∀x~(兎x&象x) チ量化子の関係
12 (テ) ~(兎a&象a) ツUE
12 (ト) ~兎a∨~象a テ、ド・モルガンの法則
12 (ナ) 兎a→~象a ト含意の定義
12 (ニ)∀x(兎x→~象x) ナUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ナUI
12 (〃)兎は象ではない。 ナUI
(06)
1 (1)象は鼻が長い(の対偶)。 A
1 (〃)∀x{~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x} A
2 (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。 A
2 (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)ある兎は象である。 A
3 (〃)∃x(兎x&象x) A
3 (〃)あるxは兎であって象である。 A
1 (4)~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]→~象a 1UE
2 (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 2UE
6 (6) 兎a&象a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 象a 6&E
6 (9) ~~象a 8DN
1 6 (ア) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 49MTT
2 6 (イ) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 57MPP
1 6 (ウ) ∀z(~鼻za→~長z) ア&E
2 6 (エ) ∃y(耳ya&長y) イ&E
2 6 (オ) ∀z(耳za→~鼻za) イ&E
1 6 (カ) ~鼻ba→~長b ウUE
キ(キ) 耳ba&長b A
キ(ク) 耳ba キ&E
キ(ケ) 長b ク&E
2 6 (コ) 耳ba→~鼻ba オUI
2 6キ(サ) ~鼻ba クコMPP
12 6キ(シ) ~長b カサMPP
12 6キ(ス) 長b&~長b ケシ&I
12 6 (セ) 長b&~長b エキスEE
123 (ソ) 長b&~長b 36セEE
12 (タ)~∃x(兎x&象x) 3ソRAA
12 (チ)∀x~(兎x&象x) タ量化子の関係
12 (ツ) ~(兎a&象a) チUE
12 (テ) ~兎a∨~象a ツ、ド・モルガンの法則
12 (ト) 兎a→~象a テ含意の定義
12 (ナ)∀x(兎x→~象x) トUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 トUI
12 (〃)兎は象ではない。 トUI
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
② ∀x{ ~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
② すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くないとすると、xは象ではない。
といふ「等式」が、「正しい」とすると、
③ 象は鼻が長い。然るに、兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、兎は象ではない。
といふ「推論」も、「正しい」。
然るに、
(08)
「象は鼻が長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
象は 鼻が長い。
主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
(09)
沢田充茂の『現代論理学入門』(一九六ニ年)には楽しい解説が載っています。
・・・・・・たとえば「象は鼻が長い」というような表現は、象が主語なのか、鼻が主語なのかはっきりしないから、このままではその論理的構造が明示されていない。いわば非論理的な文章である、というひともある。しかしこの文の論理的な構造をはっきりと文章にあらわして「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」といえば・・・・・・たとえば動物園で象をはじめて見た小学生が、父親にむかってこのような文章で話しかけたとすれば、その子供は論理的であるといって感心されるまえに社会人としての常識をうたがわれるにきまっている。常識(すなはち共通にもっている情報)でわかっているものはいちいち言明の中にいれないで、いわば暗黙の了解事項として、省略し、できるだけ短い記号の組み合せで、できるだけ多くの情報を伝えることが日常言語の合理性の一つである。・・・・・・
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、214頁)
然るに、
(10)
③「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」
といふ「言ひ方」は、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}
といふ「論理式」の「翻訳」であって、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「論理式」の「翻訳」ではない。
然るに、
(11)
③ 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
であって、
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
ではないとすると、
③ 象の耳は、長いのか、長くないのかが、「不明」であり、そのため、
③ 象は鼻が長い。然るに、兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、兎は象ではない。
といふ「推論」は、「正しくない」。
従って、
(12)
③ 象は鼻が長い。然るに、兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、兎は象ではない。
といふ「推論」が、「正しい」とすると、
③ 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
といふ「翻訳」は、「マチガイ」である。
(13)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~[∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x}
③ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨~∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x}
であるため、
「鼻が長くないか、鼻以外が長いか、もしくは、その両方であるならば、xは象ではない。」ものの、
「兎の鼻は長くないし、兎の耳は、鼻ではなく、尚且つ、兎の耳は長いため、兎は象ではない。」
(14)
「沢田充茂の『現代論理学入門』(一九六ニ年)」の中で、沢田先生が、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ風に、されてゐたならば、
① 象は鼻が長い=象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふ「解釈」が、「一般的(有名)」になってゐたものと、思はれる。
令和元年09月06日、毛利太。
0 件のコメント:
コメントを投稿