2020年6月11日木曜日

「象は鼻が長い」の「述語論理」(其の?)。

(01)
(ⅰ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)} A
1     (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 3    (3)   象a                           A
13    (4)      ∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  23MPP
13    (5)      ∃y(鼻ya&長y)                4&E
13    (6)                 ~∀z(~鼻za→~長z)  4&E
13    (7)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  6量化子の関係
  8   (8)                   ~(~鼻ca→~長c)  A
   9  (9)                      鼻ca∨~長c   A
    ア (ア)                      鼻ca       A
    ア (イ)                    ~~鼻ca       アDN
    ア (ウ)                    ~~鼻ca∨~長c   イ∨I
     エ(エ)                          ~長c   A
     エ(オ)                    ~~鼻ca∨~長c   エ∨I
   9  (カ)                    ~~鼻ca∨~長c   9アウエオ∨E
   9  (キ)                     ~鼻ca→~長c   カ含意の定義
  89  (ク)                   ~(~鼻ca→~長c)&
                             (~鼻ca→~長c)  8キ&I
  8   (ケ)                    ~(鼻ca∨~長c)  9ク
  8   (コ)                     ~鼻ca& 長c   ケ、ド・モルガンの法則
  8   (サ)                  ∃z(~鼻za& 長z)  コEI
13    (シ)                  ∃z(~鼻za& 長z)  78サEE
13    (ス)       ∃y(鼻ya&長y)&∃z(~鼻za& 長z)  5シ&I
1     (セ)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∃z(~鼻za& 長z)  3スCP
1     (ソ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)} セUI
(ⅱ)
1     (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)} A
1     (2)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∃z(~鼻za& 長z)  1UE
 3    (3)    象a                          A
13    (4)       ∃y(鼻ya&長y)&∃z(~鼻za& 長z)  23MPP
13    (5)       ∃y(鼻ya&長y)               4&E
13    (6)                  ∃z(~鼻za& 長z)  4&E
  7   (7)                     ~鼻ca& 長c   A
   8  (8)                     ~鼻ca→~長c   A
  7   (9)                     ~鼻ca       7&E
  78  (ア)                          ~長c   89MPP
  7   (イ)                           長c   7&E
  78  (ウ)                       ~長c&長c   アイ&I
13 8  (エ)                       ~長c&長c   67ウEE
13    (オ)                   ~(~鼻ca→~長c)  8エRAA
13    (カ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  オEI
13    (キ)                 ~∀z(~鼻za→~長z)  カ含意の定義
13    (ク)      ∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  5キ&I
1     (ケ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∀z(~鼻za→~長z)  3クCP
1     (コ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)  ケUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)により、
(03)
① ~∀z(~鼻zx→~長z)}
②  ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② であるため、
① ~~∀z(~鼻zx→~長z)}
②  ~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いても、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
「二重否定律(DN)」により、
①  ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)により、
(06)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
② ~∃z(~鼻zx& 長z)}
③  ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
②と③は、「矛盾」する。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② であるが、
②と③ は「矛盾」する。
然るに、
(08)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
「① ② ③」は、それぞれが「等しく」はないもののと、
①と② は「矛盾」せず、
①と③ も「矛盾」せず、
②と③ は「矛盾」する。
従って、
(08)により、
(09)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長い}。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではない、長いzは、存在しない}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではない、長いzは、存在する}。
に於いて、
①と② は「矛盾」せず、
①と③ も「矛盾」せず、
②と③ は「矛盾」する。
然るに、
(10)
③{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではない、長いzが、存在する}。
といふのであれば、
③ 象は、鼻と、鼻以外も長い。
といふことになる。
然るに、
(11)
③ 象は、鼻と、鼻以外も長い。
といふことは、
③ 象は、鼻長い。
といふことである。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
③ 象は、鼻長い。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃z(~鼻zx& 長z)}⇔
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではない、長いzは、存在する}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(13)
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長い}。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではない、長いzは、存在しない}。
であるならば、
① 象は、鼻は長い。
② 象は、鼻長い。
であって、
① 象は、鼻長い。
② 象は、鼻は長い。
ではない。
従って、
(09)(12)(13)により、
(14)
② 象は、鼻が長い。⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}⇔
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではない、長いzは、存在しない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
① 象は鼻は長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 象は鼻長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
③ 象は鼻も長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(16)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   象a                                   6&E
1  6  (8)      ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)           47MPP
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)                        8&E
    ア (ア)         鼻ba&長b                         A
    ア (イ)             長b                         ア&E
1  6  (ウ)                 ~∃z(~鼻za&長z)           8&E
1  6  (エ)                 ∀z~(~鼻za&長z)           ウ量化子の関係
1  6  (オ)                   ~(~鼻ba&長b)           エUE
1  6  (カ)                   ~~鼻ba∨~長b            オ、ド・モルガンの法則
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b            カ含意の定義
   6  (ク)   兎a                                   6&E
 2 6  (ケ)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  5クMPP
 2 6  (コ)      ∃y(耳ya&長y)                        ケ&E
     サ(サ)         耳ba&長b                         A
     サ(シ)         耳ba                            サ&E
 2 6  (ス)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ケ&E
 2 6  (セ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   スUE
 2 6  (ソ)                             耳ba→~鼻ba   ス&E
 2 6 サ(タ)                                 ~鼻ba   シソMPP
12 6 サ(チ)                         ~長b            キタMPP
12 6アサ(ツ)             長b&~長b                     イチ&I
12 6ア (テ)             長b&~長b                     コサツEE
12 6  (ト)             長b&~長b                     9アテEE
123   (ナ)             長b&~長b                     36トEE
12    (ニ)~∃x(象x&兎x)                              3ナRAA
12    (ヌ)∀x~(象x&兎x)                              ニ量化子の関係
12    (ネ)  ~(象a&兎a)                              ヌUE
12    (ノ)  ~象a∨~兎a                               ネ、ド・モルガンの法則
12    (ハ)   象a→~兎a                               ノ含意の定義
12    (ヒ)∀x(象x→~兎x)                              ハUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ハUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits cannot be elephants)。                 ハUI
従って、
(15)(16)により、
(17)
(1)象は鼻長い。然るに、
(2)兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)兎は象である。と「仮定(A)」すると、
(ツ)「矛盾」する。故に、「背理法(RAA)」により、
(ニ)象であって、同時に、兎である。といふ、そのやうなxは存在しない。故に、
(ヒ)象は兎ではない(Elephants cannot be rabbits )。 
といふ『推論』は「妥当(Valid)」である。
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
(1)象は鼻長い。然るに、
(2)兎は耳長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論(三段論法)』は、
(1)象は鼻は長く、鼻以外は長くない。然るに、
(2)兎は耳は長く、耳以外は長くなく、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論(三段論法)』に、他ならない。
従って、
(15)~(18)により、
(19)
(1)象は鼻長い。然るに、
(2)兎は耳長い。故に、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論(三段論法)』を、「妥当(Valid)」である。
とする一方で、
① 象は鼻長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
② 兎は耳長い≡∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&~∃z(~耳zx&長z)}。
といふ「等式」を、すなはち、
① 象は鼻長い≡象は鼻は長く、鼻以外は長くない
② 兎は耳長い≡兎は耳は長く、耳以外は長くない
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない
然るに、
(20)
(1)象は鼻長い。然るに、
(2)兎は耳長い。故に、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論(三段論法)』は、明らかに、「妥当(Valid)」である。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① 象は鼻長い≡象は鼻は長く、鼻以外は長くない
② 兎は耳長い≡兎は耳は長く、耳以外は長くない
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない
(22)
 三、主語から主題へ
「主語」を廃止しようというのは、この用語のままでは困るからである。困ることが前提である。だから、まず困ってもらわないと、困るのである。困ったことには、まず困るというところへも行かない人がかなり多いらしいのである(三上章、日本語の論理、1963年、148頁)。
然るに、
(23)
困ることが前提である。だから、まず困ってもらわないと、困るのである。
と言はれても、
私の場合は、「主語」といふ「用語」が無ければ、むしろ、その方が、困ることになる。
(24)
例へば、
1.主格 これは動詞主語としてつかわれ、日本語の「は」、「が」(従属節では「の」までもはいる)にあたる。
(村松正俊、ラテン語四週間、1961年、18頁)
ではなく、
1.主格 これは動詞主題としてつかわれ、・・・・・・・・。
と書かれてゐたとしたら、「動詞主題」とは「何か(?)」といふことで、「悩まずには、ゐられない」。
令和02年06月11日、毛利太。

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