(01)
2 次の論証の妥当性を示せ。
(e)鯨は哺乳類である。ある魚は鯨である。すべての魚は尻尾をもっている。故にある魚の尻尾は哺乳類の尻尾である。
(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、174頁)。
(02)
2 Show the validity of the following arguments:
(e)A whale is a mammal; some fish are whales; All fish have tails; therefore The some fishes' tails are mammals' tails.
(E.J.Lemmon, Beginning Logic, First published in Great Britain 1965)
然るに、
(03)
1 (1)∀x(鯨x→哺乳類x) A
2 (2)∃x(魚x&鯨x) A
3 (3)∀x{魚x→∃y(尻尾yx)} A
1 (4) 鯨a→哺乳類a 1UE
5(5) 魚a&鯨a A
3 (6) 魚a→∃y(尻尾ya) 3UE
5(7) 魚a 5&E
35(8) ∃y(尻尾ya) 67MPP
5(9) 鯨a 5&E
1 5(ア) 哺乳類a 49MPP
1 5(イ) 魚a&哺乳類a 7ア&I
1 35(ウ) 魚a&哺乳類a&∃y(尻尾ya) 8イ&I
1 35(エ)∃x{魚x&哺乳類x&∃y(尻尾yx)} ウEI
123 (オ)∃x{魚x&哺乳類x&∃y(尻尾yx)} 25エEE
123 (〃)あるxは魚であり、哺乳類であって、あるyはxの尻尾である。25エEE
123 (〃)ある魚の尻尾は、 哺乳類の尻尾である。 25エEE
123 (〃)Some fishes' tails are mammals' tails. 25エEE
然るに、
(04)
「E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年」といふ「翻訳」を読んで、
「E.J.Lemmon, Beginning Logic, First published in Great Britain 1965」といふ「原著」に出てゐる「練習問題」が解けるようになる。
といふことは、「論理(Logic)」そのものは、「すべての自然言語」に於いて、「共通」であるといふことの「証左」である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① すべての魚は尻尾をもっている。
② All fish have tails.
といふ「日本語と英語」に「相当」する、「すべての自然言語」は、
③ ∀x{魚x→∃y(尻尾yx)}
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
然るに、
(06)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)兎は象でない。
といふ「推論(三段論法)」は、明らかに「妥当」である。
従って、
(07)
2 次の論証の妥当性を示せ。
(g)象は鼻が長い。然るに、兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、兎は象でない。
といふ「問題」を、出題することが、出来る。
然るに、
(08)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
1 6 (8) ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z) 47MPP
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y) 8&E
ア (ア) 鼻ba&長b A
ア (イ) 長b ア&E
1 6 (ウ) ~∃z(~鼻za&長z) 8&E
1 6 (エ) ∀z~(~鼻za&長z) ウ量化子の関係
1 6 (オ) ~(~鼻ba&長b) エUE
1 6 (カ) ~~鼻ba∨~長b オ、ド・モルガンの法則
1 6 (キ) ~鼻ba→~長b カ含意の定義
6 (ク) 兎a 6&E
2 6 (ケ) ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) 5クMPP
2 6 (コ) ∃y(耳ya&長y) ケ&E
サ(サ) 耳ba&長b A
サ(シ) 耳ba サ&E
2 6 (ス) ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) ケ&E
2 6 (セ) ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba スUE
2 6 (ソ) 耳ba→~鼻ba ス&E
2 6 サ(タ) ~鼻ba シソMPP
12 6 サ(チ) ~長b キタMPP
12 6アサ(ツ) 長b&~長b イチ&I
12 6ア (テ) 長b&~長b コサツEE
12 6 (ト) 長b&~長b 9アテEE
123 (ナ) 長b&~長b 36トEE
12 (ニ)~∃x(象x&兎x) 3ナRAA
12 (ヌ)∀x~(象x&兎x) ニ量化子の関係
12 (ネ) ~(象a&兎a) ヌUE
12 (ノ) ~象a∨~兎a ネ、ド・モルガンの法則
12 (ハ) 象a→~兎a ノ含意の定義
12 (ヒ)∀x(象x→~兎x) ハUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ハUI
12 (〃)兎は象ではない(Rabbits cannot be elephants)。 ハUI
従って、
(05)~(08)により、
(09)
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」に「相当」する、「すべての自然言語」は、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
然るに、
(10)
② All elephants have long noses. And the other parts of the elephant are not long.
といふ「英語」は、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 象は鼻が長い。
② All elephants have long noses. And the other parts of the elephant are not long.
といふ「日本語と英語」に「相当」する、「すべての自然言語」は、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
従って、
(05)(11)により、
(12)
① すべての魚は尻尾をもっている。
② All fish have tails.
といふ「日本語と英語」に「相当」する、「すべての自然言語」は、
③ ∀x{魚x→∃y(尻尾yx)}
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
と「同時」に、
① 象は鼻が長い。
② All elephants have long noses. And the other parts of the elephant are not long.
といふ「日本語と英語」に「相当」する、「すべての自然言語」は、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
従って、
(01)(03)(04)(07)(08)(12)により、
(13)
(e)鯨は哺乳類である。ある魚は鯨である。すべての魚は尻尾をもっている。故にある魚の尻尾は哺乳類の尻尾である。
(g)象は鼻が長い。然るに、兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、兎は象でない。
といふ「論証(arguments)」を、「妥当(valid)」であるとする一方で、
(e)すべての魚は尻尾をもっている≡∀x{魚x→∃y(尻尾yx)}。
(g) 象は鼻が長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
といふ「等式」を「否定」することは、『「論理(Logic)」そのものは、「すべての自然言語」に於いて、「共通」である。』といふことの、「否定」に、他ならない。
従って、
(14)
『「論理(Logic)」そのものは、「すべての自然言語」に於いて、「共通」である。』といふことを「否定」しないのであれば、
(e)すべての魚は尻尾をもっている≡∀x{魚x→∃y(尻尾yx)}。
(g) 象は鼻が長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「等式」を「否定」することは、出来ない。
然るに、
(15)
伝統的論理学を速水滉『論理学』(16)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九刷一万部中の一冊で、なお引続き刊行だろうから、前後かなり多く読者を持つ論理学書と考えられる。新興の記号論理学の方は、沢田充茂の『現代論理学入門』(62)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
「三上章、日本語の論理、1963年」を書いた、三上章 先生が、
『「論理(Logic)」そのものは、「すべての自然言語」に於いて、「共通」である。』とするのであれば、三上章 先生は、
(e)魚は尻尾をもっている≡∀x{魚x→∃y(尻尾yx)}。
(g) 象は鼻が長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
といふ「等式」を「否定」することは、出来ない。
然るに、
(17)
日本語には、「象は鼻が長い」や「日本は温泉が多い」など、「○○は××が……」のように二重に主語があるように見える文が多くあります。また、主語だけでなく、「この本は、父が買ってくれました」の「この本は」のように「買う」という動詞の目的語が「は」で示されているように見える文もあります。三上章のこの本は、そのような複雑な性質を持つ「…は…が…」の文(後にこの本の題名にちなんで「象鼻文」とよく呼ばれるようになりました)の性質を、助詞「は」の「代行」の性質を使って明確に説明することでわかりやすく解説していくものです(読書ガイド - 青山学院大学 文学部日本文学科 高校生のみなさんへ)。
従って、
(16)(17)により、
(18)
そのような複雑な性質を持つ「…は…が…」の文(後にこの本の題名にちなんで「象鼻文」とよく呼ばれるようになりました)の性質を、助詞「は」の「代行」の性質を使って明確に説明することでわかりやすく解説していくものです。
といふのであれば、その場合の 三上章 先生は、
(g)象は鼻が長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
といふ「等式」を、無視することは、あってはならない。
然るに、
(19)
「三上章、日本語の論理、1963年」等に、目を通す限り、三上章 先生は、
① 象は鼻は長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 象は鼻が長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
③ 象の鼻が長い≡∀x∃y{(象x&鼻yx)→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}。
④ 鼻は象が長い≡∀y∃x{(鼻yx&象x→長y)&(~象x&長y→~鼻yx)}。
といふ「等式」等に、気付いては、ゐない。
(20)
日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。そこに含まれている仕事は翻訳の仕事に違いないけれども、しかしそこへ翻訳が行われる形式言語は、自然言語のシンタックスとは幾らか違ったシンタックスをもっており、また限られた述語―論理的結合記号、変数、固有名、述語文字、および2つの量記号―しかももたない。その言語のおもな長所は、記法上の制限にもかかわらず、非常に広範な表現能力をもっていることである(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、130頁)。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① 象は鼻は長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 象は鼻が長い≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
③ 象の鼻が長い≡∀x∃y{(象x&鼻yx)→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}。
④ 鼻は象が長い≡∀y∃x{(鼻yx&象x)→長y&(~象x&長y)→~鼻yx}。
といふ「述語論理式」には、「なんら確定的な規則があるわけでなく、それが書けるようになるには、量記号に十分に馴れるまで、練習を積むことが必要である。」
令和02年06月24日、毛利太。
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