2020年6月26日金曜日

「鼻は象が長い」の「述語論理」の説明(Ⅱ)。

(01)
{象、兎、馬}であるならば、
① 鼻は象長い。
② 耳は兎長い。
③ 顔は馬長い。
従って、
(02)
{象、兎、馬}であるならば、
① 鼻は象は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くない
② 耳は兎は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くない
③ 顔は馬は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くない
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 鼻は象は長く、象以外で、ある部分が長いのであれば、鼻ではない
② 耳は兎は長く、兎以外で、ある部分が長いのであれば、耳ではない
③ 顔は馬は長く、馬以外で、ある部分が長いのであれば、顔ではない
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 鼻は象長い。⇔
① 鼻は象は長く、象以外で、ある部分が長いのであれば、鼻ではない。⇔
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}⇔
① すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、yが象でなくて、xが長いならば、yはxの鼻ではない}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1   (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)} A
1   (2)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&長a→~鼻ay)} 1UE
 3  (3)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&長a→~鼻ab)  A
 3  (4)      鼻ab&象b→長a                 3&E
 3  (5)                  ~象b&長a→~鼻ab   3&E
  6 (6)                          鼻ab   A
  6 (7)                        ~~鼻ab   6DN
 36 (8)                ~(~象b&長a)       57MTT
 36 (9)                  象b∨~長a        8ド・モルガンの法則
 36 (ア)                  ~長a∨象b        9交換法則
 36 (イ)                   長a→象b        ア含意の定義
 3  (ウ)              鼻ab→(長a→象b)       6イCP
   エ(エ)              鼻ab& 長a           A
   エ(オ)              鼻ab               エ&E
 3 エ(カ)                   長a→象b        ウオMPP
   エ(キ)                   長a           エ&E
 3 エ(ク)                      象b        カキMPP
 3  (ケ)               鼻ab&長a→象b        エクCP
 3  (コ)     (鼻ab&象b→長a)&(鼻ab&長a→象b)    4ケ&I
 3  (サ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)}   コEI
1   (シ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)}   23サEE
1   (ス)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(鼻xy&長x→象y)}   シUI
(ⅱ)
1   (1) ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(鼻xy&長x→象y)}  A
1   (2)   ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)}  1UE
 3  (3)      (鼻ab&象b→長a)&(鼻ab&長a→象b)   A
 3  (4)       鼻ab&象b→長a                3&E
 3  (5)                   鼻ab&長a→象b    3&E
  6 (6)                         ~象b    A
 36 (7)                 ~(鼻ab&長a)      56MTT
 36 (8)                 ~鼻ab∨~長a       7ド・モルガンの法則
 36 (9)                 ~長a∨~鼻ab       8交換法則
 36 (ア)                  長a→~鼻ab       9含意の定義
 3  (イ)             ~象b→(長a→~鼻ab)      6アCP
   ウ(ウ)             ~象b& 長a            A
   ウ(エ)             ~象b                ウ&E
 3 ウ(オ)                  長a→~鼻ab       イエMPP
   ウ(カ)                  長a            ウ&E
 3 ウ(キ)                     ~鼻ab       オカMPP
 3  (ク)              ~象b&長a→~鼻ab       ウキCP
 3  (ケ)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&長a→~鼻ab)  4ク&I
 3  (コ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&長a→~鼻ay)} ケEI
1   (サ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&長a→~鼻ay)} 23コEE
1   (シ)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)} サUI
(06)
(ⅱ)
1   (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(鼻xy&長x→象y)}   A
1   (2)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)}   1UE
 3  (3)     (鼻ab&象b→長a)&(鼻ab&長a→象b)    A
 3  (4)      鼻ab&象b→長a                 3&E
 3  (5)                  鼻ab&長a→象b     3&E
  6 (6)                        ~象b     A
 36 (7)                ~(鼻ab&長a)       56MTT
 36 (8)                ~鼻ab∨~長a        7ド・モルガンの法則
 36 (9)                 鼻ab→~長a        8含意の定義
 3  (ア)            ~象b→(鼻ab→~長a)       69CP
   イ(イ)            ~象b& 鼻ab            A
   イ(ウ)            ~象b                 イ&E
 3 イ(エ)                 鼻ab→~長a        アウMPP
   イ(オ)                 鼻ab            イ&E
 3 イ(カ)                     ~長a        エオMPP
 3  (キ)             ~象b&鼻ab→~長a        イカCP
 3  (ク)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&鼻ab→~長a)  4キ&I
 3  (ケ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&鼻ay→~長a)} クEI
1   (コ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&鼻ay→~長a)} 23ケEE
1   (サ)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)} コUI
(ⅲ)
1      (1) ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)} A
1      (2)   ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&鼻ay→~長a)} 1UE
 3     (3)       (鼻ab&象b→長a)&(~象b&鼻ab→~長a) A
 3     (4)        鼻ab&象b→長a                3&E
 3     (5)                    ~象b&鼻ab→~長a  3&E
  6    (6)                             長a  A
  6    (7)                           ~~長a  6DN
 36    (8)                  ~(~象b&鼻ab)     57MTT
 36    (9)                    象b∨~鼻ab      8ド・モルガンの法則
   ア   (ア)                    象b           A
   ア   (イ)                  ~~象b           アDN
   ア   (ウ)                  ~~象b∨~鼻ab      イ∨I
    エ  (エ)                       ~鼻ab      A
    エ  (オ)                  ~~象b∨~鼻ab      エ∨I
 36    (カ)                  ~~象b∨~鼻ab      9アウエオ∨EE
 36    (キ)                   ~象b→~鼻ab      カ含意の定義
     ケ (ケ)                        鼻ab      A
     ケ (コ)                      ~~鼻ab      ケDN
 36  ケ (サ)                  ~~象b           キコMTT
 36  ケ (シ)                    象b           サDN
 36    (ス)                    鼻ab→象b       ケシCP
 3     (セ)                長a→(鼻ab→象b)      6スCP
      ソ(ソ)                鼻ab&長b           A
      ソ(タ)                    長b           ソ&E
 3    ソ(チ)                    鼻ab→象b       セタMPP
      ソ(ツ)                鼻ab              ソ&E
 3    ソ(テ)                        象b       チツMPP
 3     (ト)                鼻ab&長b→ 象b       ソテCP
 3     (ナ)     (鼻ab&象b→長a)&(鼻ab&長a→象b)     4ト&I
 3     (ニ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)}    ナEI
1      (ヌ)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)}    23ヌEE
1      (ネ)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(鼻xy&長x→象y)}    ヌUI
従って、
(05)(06)により、
(07)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(  鼻xy&長x→  象y)}
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、yが象でなくて、xが長いならば、yはxの鼻ではない}。
② すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、長いならば、yは象である}。
③ すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、yが象でなくて、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(  鼻xy&長x→  象y)}
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}
に於いて、すなはち、
① 鼻は象は長く、象以外で、ある部分が長いのであれば、鼻ではない。
② 鼻は象は長く、鼻が長いならば、象である。
③ 鼻は象は長く、象以外の鼻は、長くない。
に於いて、
①=②=③ である。
cf.
「対偶(Contraposition)」。
従って、
(08)により、
(09)
(ⅰ)
1    (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)} A
1    (2)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&長a→~鼻ay)} 1UE
 3   (3)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&長a→~鼻ab)  A
 3   (4)                  ~象b&長a→~鼻ab   3&E
  5  (5)∃x∃y(兎y&~象y&鼻xy)                A
   6 (6)  ∃y(兎y&~象y&鼻ay)                A
    7(7)     兎b&~象b&鼻ab                 A
    7(8)     兎b&                        7&E
    7(9)        ~象b                     7&E
    7(ア)            鼻ab                 7&E
    7(イ)          ~~鼻ab                 アDN
 3  7(ウ)                ~(~象b& 長a)      4イMPP
 3  7(エ)                 ~~象b∨~長a       ウ、ド・モルガンの法則
 3  7(オ)                  ~象b→~長a       エ含意の定義
 3  7(カ)                      ~長a       9オMPP
    7(キ)     兎b&鼻ab                     8ア&I
 3  7(ク)     兎b&鼻ab&~長a                 カキ&I
 3  7(ケ)  ∃y(兎y&鼻ay&~長a)                クEI
 3 6 (コ)  ∃y(兎y&鼻ay&~長a)                67ケEE
 3 6 (サ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)                コEI
 35  (シ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)                56サEE
1 5  (ス)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)                23シEE
といふ「述語計算(Predicate calculus)」と、
(ⅱ)
1    (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(鼻xy&長x→象y)} A
1    (2)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(鼻ay&長a→象y)} 1UE
 3   (3)     (鼻ab&象b→長a)&(鼻ab&長a→象b)  A
 3   (4)                  鼻ab&長a→象b   3&E
  5  (5)∃x∃y(兎y&~象y&鼻xy)              A
   6 (6)  ∃y(兎y&~象y&鼻ay)              A
    7(7)     兎b&~象b&鼻ab               A
    7(8)     兎b&                      7&E
    7(9)        ~象b                   7&E
    7(ア)            鼻ab               7&E
 3  7(イ)                ~(鼻ab&長a)     49MTT
 3  7(ウ)                ~鼻ab∨~長a      イ、ド・モルガンの法則
 3  7(エ)                 鼻ab→~長a      ウ、含意の定義
 3  7(オ)                     ~長a      アエMPP
 3  7(カ)     兎b&鼻ab                   8イ&I
 3  7(キ)     兎b&鼻ab&~長a               オカ&I
 3  7(ク)  ∃y(兎y&鼻ay&~長a)              キEI
 3 6 (ケ)  ∃y(兎y&鼻ay&~長a)              67クEE
 3 6 (コ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)              ケEI
 35  (サ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)              56コEE
1 5  (シ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)              23サEE
といふ「述語計算(Predicate calculus)」と、
(ⅲ)
1    (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)} A
1    (2)  ∃y{(鼻xb&象b→長x)&(~象b&鼻xb→~長x)  1UE
 3   (3)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&鼻ab→~長a)  A
 3   (4)                  ~象b&鼻ab→~長a   3&E
  5  (5)∃x∃y(兎y&~象y&鼻xy)                A
   6 (6)  ∃y(兎y&~象y&鼻ay)                A
    7(7)     兎b&~象b&鼻ab                 A
    7(8)     兎b&                        7&E
    7(9)        ~象b                     7&E
    7(ア)            鼻ab                 7&E
    7(イ)        ~象b&鼻ab                 9ア&I
 3  7(ウ)                          ~長a   4イMPP
 3  7(エ)     兎b&鼻ab                     8ア&I
 3  7(オ)     兎b&鼻ab&~長a                 ウエ&I
 3  7(カ)  ∃y(兎y&鼻ay&~長a)                オEI              
 3 6 (キ)  ∃y(兎y&鼻ay&~長a)                67カEE             
 3 6 (ク)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)                キEI           
 35  (ケ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)                56クEE      
1 5  (コ)∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)                23ケEE         
といふ「述語計算(Predicate calculus)」が、成立する。
然るに、
(10)
② ある兎は、象ではないが鼻が有る。⇔
② ∃x∃y(兎y&~象y&鼻xy)⇔
② あるxとあるyについて(yは兎であって、象ではなく、xはyの鼻である)。
然るに、
(11)
③ ある兎の鼻は長くない。⇔
③ ∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)⇔
② あるxとあるyについて(yは兎であって、xはyの鼻であって、xは長くない)。
従って、
(08)~(11)により、
(12)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}。然るに、
② ∃x∃y(兎y&~象y&鼻xy)。               従って、
③ ∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
① 鼻は象は長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
② ある兎は、象ではないが鼻が有る。  従って、
③ ある兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当(Valid)」である。
従って、
(01)(02)(03)(12)により、
(13)
① 鼻は象長い。         然るに、
② ある兎は、象ではないが鼻が有る。従って、
③ ある兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}。然るに、
② ∃x∃y(兎y&~象y&鼻xy)。               従って、
③ ∃x∃y(兎y&鼻xy&~長x)。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当(Valid)」である。
従って、
(09)~(13)により、
(14)
① 象は鼻長い。⇔
① 鼻は象は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
① すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、yが象でなくて、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふ「等式」が、「妥当(Valid)」であるならば、そのときに限って、
① 鼻は象長い。         然るに、
② ある兎は、象ではないが鼻が有る。従って、
③ ある兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(15)
① 鼻は象長い。         然るに、
② ある兎は、象ではないが鼻が有る。従って、
③ ある兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当(Valid)」である。
従って、
(14)(15)により、
(16)
① 鼻は象長い。⇔
① 鼻は象は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
① ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&鼻xy→~長x)}⇔
① すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、yが象でなくて、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふ「等式」が、成立する。
令和02年06月26日、毛利太。

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