(01)
(高校数学の美しい物語)
然るに、
(02)
『左辺(aa)は、2で偶数回、右辺(2bb)は、2で奇数回割り切れることになる。つまりそのような整数 a,b は存在しない。』といふのであれば、
『xが偶数であり、yが偶数でないならば、xとyは「同じ数」ではない。』といふ「命題」が、「偽」ではない。
といふことを、「証明」しなければ、ならない。
然るに、
(03)
『xが偶数であり、yが偶数でないならば、xとyは「同じ数」ではない。』といふ「命題」を、「証明」しようとする高校教師は、おそらくは、多くはゐないはずである。
然るに、
(04)
公理(こうり、英: axiom)は、その他の命題を導きだすための前提として導入される最も基本的な仮定のことである。
(ウィキペディア)
従って、
(01)~(04)により、
(05)
「(01)の証明」は、事実上、
『xが偶数であり、yが偶数でないならば、xとyは「同じ数」ではない。』といふ「命題」を、「公理」として、用ひてゐる。
然るに、
(06)
1 (1) 偶a&(a=b) A
1 (2) 偶a 1&E
1 (3) a=b 1&E
1 (4) 偶b 23=E
(5) 偶a&(a=b)→偶b 14CP
6 (6) ~偶b A
6 (7) ~[偶a&(a=b)] 56MTT
6 (8) ~偶a∨(a≠b) 7ド・モルガンの法則
6 (9) 偶a→(a≠b) 8含意の定義
(ア)~偶b→[偶a→(a≠b)] 69CP
イ(イ) 偶a&~偶b A
イ(ウ)~偶b イ&E
イ(エ) [偶a→(a≠b)] アウMPP
イ(オ) 偶a イ&E
イ(カ) (a≠b) エオMPP
(キ) 偶a&~偶b→(a≠b) イカCP
(ク) ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} キUI
(ケ)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} クUI
従って、
(06)により、
(07)
∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)}⇔
すべてのxとすべてのyについて{xが偶数であり、yが偶数でないならば、xとyは、「同じ数」ではない}。
といふ「述語論理式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(07)により、
(08)
『xが偶数であり、yが偶数でない(奇数である)ならば、xとyは「同じ数」ではない。』
といふ「命題」は、「恒に真」である。
然るに、
(09)
誤謬の最も直接的な形は、次の「証明」に見られる。
1(1) Fa A
1(2)∀xFx 1UI
たとえば、F を奇数であると解釈し、数の世界において、任意に奇数、たとえば3を選ぶとしよう。その結果は Fa は真となる。しかしここから、すべての数は奇数であるということ―これは偽であるが―明らかに帰結しない。(1)から(2)への進みは、制限によってはばまれる。なぜなら、(1)はそれ自身に依存し、そしてそのなかには「a」が現われるからである。
(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、140頁)
然るに、
(10)
1(1) Fa A
(2) Fa→Fa 11CP
(3)∀x(Fx→Fx) 2UI
(4)すべてのxについて(xが奇数であるならば、xは奇数である)。
に於いて、(2)は、「いかなる仮定にも、依存してゐない」ので、(2)が依存する「仮定」の中に、「a」は現れない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
1(2)∀xFx 1UI
に於ける「UI」は、「ルール違反」であるが、
(3)∀x(Fx→Fx) 2UI
に於ける「UI」は、「ルール違反」ではない。
従って、
(06)(11)により、
(12)
(ク) ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} キUI
(ケ)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} クUI
に於ける「UI」も、「ルール違反」ではない。
従って、
(06)(12)により、
(13)
∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)}≡すべてのxとすべてのyについて{xが偶数であり、yが偶数でないならば、xとyは、「同じ数」ではない}。
∀x(奇x→奇x)≡すべてのxについて(xが奇数であるならば、xは奇数である)。
といふ「述語論理式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
令和02年06月28日、毛利太。
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