2022年5月23日月曜日

「恒真式」としての「パースの法則」。

(01)
 ―「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」を用ひる場合。―
(ⅰ)
1  (1) (P→Q)→P    A
1  (2)~(P→Q)∨P    1含意の定義
 2 (3)~(P→Q)      A
 2 (4)~(~P∨Q)     3含意の定義
 2 (5)  P&~Q      4ド・モルガンの法則
 2 (6)  P         2&E
  7(7)        P   A
1  (8)        P   12577∨E
   (9)((P→Q)→P)→P 18CP
(02)
 ―「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」を用ひない場合。―
(ⅰ)
1       (1)   (P→ Q)→ P   A
 2      (2)  ~(P&~Q)&~P   A
 2      (3)  ~(P&~Q)      2&E
  4     (4)    P          A
   5    (5)      ~Q       A
  45    (6)    P&~Q       45&I
 245    (7)  ~(P&~Q)&
              (P&~Q)      36&I
 24     (8)     ~~Q       57RAA
 24     (9)       Q       8DN
 2      (ア)    P→ Q       49CP
12      (イ)           P   1アMPP
 2      (ウ)          ~P   2&E
12      (エ)        P&~P   イウ&I
1       (オ)~(~(P&~Q)&~P)  2エRAA
   カ    (カ) ~((P&~Q)∨ P)  A
    キ   (キ)   (P&~Q       A
    キ   (ク)   (P&~Q)∨ P   キ∨I
   カキ   (ケ) ~((P&~Q)∨ P)&
             ((P&~Q)∨ P)  カク&I
   カ    (コ)  ~(P&~Q)      キケRAA
     サ  (サ)           P   A
     サ  (シ)   (P&~Q)∨ P   サ∨I
   カ サ  (ス) ~((P&~Q)∨ P)&
             ((P&~Q)∨ P)  カシ&I
   カ    (セ)          ~P   サスRAA
   カ    (ソ)  ~(P&~Q)&~P   コセ&I
1  カ    (タ)~(~(P&~Q)&~P)&
            (~(P&~Q)&~P)  オソ&I
1       (チ)~~((P&~Q)∨ P)  カタRAA
1       (ツ)   (P&~Q)∨ P   チDN
      テ (テ)    P&~Q       A
      テ (ト)    P          ト&I
       ナ(ナ)           P   A
1       (ニ)    P          ツテトナナ∨E
従って、
(01)(02)により、
(03)
いづれにせよ、
①├((P→Q)→P)→P
といふ「連式」は「妥当」である。
然るに、
(04)
1  (1) (P→~Q)→P    A
1  (2)~(P→~Q)∨P    1含意の定義
 2 (3)~(P→~Q)      A
 2 (4)~(~P∨~Q)     3含意の定義
 2 (5)  P&  Q      4ド・モルガンの法則
 2 (6)  P          2&E
  7(7)        P    A
1  (8)        P    12577∨E
   (9)((P→~Q)→P)→P 18CP
従って、
(04)により、
(05)
②├((P→~Q)→P)→P
といふ「連式」も「妥当」である。
然るに、
(06)
1  (1)  (P→P)→P   A
1  (2) ~(P→P)∨P   1含意の定義
 3 (3) ~(P→P)     A
 3 (4)~(~P∨P)     3含意の定義
 3 (5)  P&~P      4ド・モルガンの法則
 3 (6)  P         5&E
  7(7)        P   A
1  (8)  P         13677
   (9)((P→P)→P)→P 18CP
従って、
(06)により、
(07)
③├((P→P)→P)→P
従って、
(03)(05)(07)により、
(08)
①├((P→ Q)→P)→P
②├((P→~Q)→P)→P
③├((P→ P)→P)→P
といふ「連式」は、3つとも「妥当」である。
然るに、
(08)により、
(09)
①((P→ Q)→P)→P
②((P→~Q)→P)→P
③((P→ P)→P)→P
に於いて、
① は「仮定の数が0である連式の結論」である。
② は「仮定の数が0である連式の結論」である。
③ は「仮定の数が0である連式の結論」である。
然るに、
(10)
「恒真式(トートロジー)」とは、
「仮定の数が0である連式の結論」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
①((PならばQである)ならばP)ならばPである。
②((PならばQでない)ならばP)ならばPである。
③((PならばPである)ならばP)ならばPである。
といふ「日本語」は、「恒に真」である。
然るに、
(12)
①((PならばQである)ならばP)ならばPである。
②((PならばQでない)ならばP)ならばPである。
③((PならばPである)ならばP)ならばPである。
といふことは、
④((PならばQであらうとQでなからうと)P)ならばPである。
といふことに、他ならならない。
従って、
(09)~(11)により、
(12)
①((P→ Q)→P)→P
②((P→~Q)→P)→P
③((P→ P)→P)→P
④((PならばQであらうとQでなからうと)P)ならばPである。
とふ「4つ」は、「セット」として「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(13)
命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
従って、
(12)(13)により、
(14)
①((P→ Q)→P)→P
といふ「パースの法則」は、
①((P→ Q)→P)→P
②((P→~Q)→P)→P
③((P→ P)→P)→P
④((PならばQであらうとQでなからうと)P)ならばPである。
といふ「4つのセット」として「恒真式(トートロジー)」である。
といふことを、忘れてはならない。
従って、
(14)により、
(15)
排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
任意の命題P, Qについて、
((P→ Q)→P)→P
が成り立つ『「PならばQ」ならばP』ならばP
なんか、パズルのような命題ですね(Qiita)。
とはいふものの、
④((PならばQであらうとQでなからうと)P)ならばPである。
といふことは、少しも「変」ではなく、それ故、「パースの法則」は、「変」ではない。
(16)
(ⅰ)
  1(1)P   A
   (2)P→P 1CP
(ⅱ)
  1(1)  P&~P  A
   (2)~(P&~P) 1RAA
(ⅲ)
 1 (1) ~(~P∨P)  A
  2(2)   ~P     A
  2(3)   ~P∨P   2∨I
 12(4) ~(~P∨P)&
        (~P∨P)  13&I
 1 (5)  ~~P     24RAA
 1 (6)    P     5DN
 1 (7) ~P∨P     6∨I
 1 (8) ~(~P∨P)&
        (~P∨P)
 17&I
   (9)~~(~P∨P)  18RAA
   (ア)   ~P∨P   9DN
従って、
(16)により、
(17)
①   P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
は、3つとも「仮定の数が0である連式の結論」である。
従って、
(10)(16)(17)により、
(18)
① Pであるならば、Pである(同一律)。
② Pであって、Pでない。といふことはない(矛盾律)。
③ Pでないか、または、Pである(排中律)。
は、3つとも「恒真式(トートロジー)」である。
(19)
①   P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
に於いて、
①=③ は、「含意の定義」であって、
②=③ は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(20)
① Pであるならば、Pである(同一律)。
② Pであって、Pでない。といふことはない(矛盾律)。
③ Pでないか、または、Pである(排中律)。
に於いては、
①=②=③ である。
令和04年05月23日、毛利太。

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