2020年2月5日水曜日

「パースの法則」と「含意の定義(Ⅰ・Ⅱ)」

(01)
(ⅰ)P→Q├ ~(P&~Q)
1 (1)  P→ Q  A
 2(2)  P&~Q  A
 2(3)  P     2&E
 2(4)    ~Q  2&E
12(5)     Q  13MPP
12(6)  ~Q&Q  45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)~(P&~Q)├ P→Q
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
従って、
(01)により、
(02)
①   P→ Q ≡Pならば、 Qである(如P則Q)。
② ~(P&~Q)≡Pであって、Qでない。といふことはない(無P而不Q)。
に於いて、
①=② であって、この「等式」を、「含意の定義(Ⅰ)」とする。
然るに、
(03)
(ⅲ)P→Q├ ~P∨Q
1  (1)    P→Q   A
 2 (2) ~(~P∨Q)  A
  3(3)   ~P     A
  3(4)   ~P∨Q   3∨I
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q)  24&I
 2 (6)  ~~P     35RAA
 2 (7)    P     6DN
12 (8)      Q   17MPP
12 (9)   ~P∨Q   8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q)  29&I
1  (イ)~~(~P∨Q)  2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q   イDN
(ⅳ)~P∨Q├ P→Q
1     (1) ~P∨ Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   A
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
1     (ウ)  P→ Q   イ含意の定義(Ⅰ)
従って、
(03)により、
(04)
③   P→Q≡Pならば、 Qである(如P則Q)。  
④ ~P∨Q≡Pでないか、Qである(不P如Q)。
に於いて、
③=④ であって、この「等式」を、「含意の定義(Ⅱ)」とする。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① P→Q≡~(P&~Q)
② P→Q≡  ~P∨ Q
といふ「等式」に於いて、
① は、「含意の定義(Ⅰ)」であって、
② は、「含意の定義(Ⅱ)」である。
cf.
「上田泰治、論理学、1967年、86頁」を見ると、「①と②」は、まとめて、「含意の定義」とされてゐる。
然るに、
(06)
① P→Q≡~(P&~Q)
② P→Q≡  ~P∨ Q
であるならば、
③ ~(P&~Q)≡~P∨Q
であるものの、
③ は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
「含意の定義(Ⅰ・Ⅱ)」は、「ド・モルガンの法則」を介して、成立する。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1   (1)   (P→ Q)→P A
 2  (2)  ~(P&~Q)   A
 2  (3)   (P→ Q)   2含意の定義(Ⅰ)
12  (4)          P 13MPP
1   (5)  ~(P&~Q)→P 24CP
1   (6) ~~(P&~Q)∨P 5含意の定義(Ⅱ)
  7 (7) ~~(P&~Q)   A
  7 (8)    P&~Q    7DN
  7 (9)    P       8&E
   ア(ア)          P A
1   (イ)          P 679アア∨E
    (ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
    (〃)((PならばQ)ならばP)ならばP。
然るに、
(09)
系Ⅰ:任意の連式は、それがトートロジー的であるときまたそのときに限って導出可能である。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、114頁)
従って、
(08)(09)により、
(10)
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばP)ならばPである。
といふ「パースの法則」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(11)
(ⅱ)
1  (1) P∨(P&~Q)    A
 2 (2) P           A
  3(3)    P&~Q     A
  3(4)    P        3&E
1  (5)    P        12234∨E
   (6)(P∨(P&~Q))→P 15CP
従って、
(10)(11)により、
(12)
②(P∨(P&~Q))→P
②(Pであるか、または(Pであって、Qでない))ならばPである。
といふ「式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(13)
(ⅰ)
1   (1)  ((P→ Q)→ P)→P A
1   (2) ~((P→ Q)→ P)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
 3  (3) ~((P→ Q)→ P)   A
  4 (4) ~((P→ Q)&~P)   A
  4 (5)   (P→ Q)→ P    4含意の定義(Ⅰ)
 34 (6) ~((P→ Q)→ P)&
         ((P→ Q)→ P)   35&I
 3  (7)~~((P→ Q)&~P)   46RAA
 3  (8)  ((P→ Q)&~P)   6DN
 3  (9)    P→ Q        8&E
 3  (ア)  ~(P&~Q)       9含意の定義(Ⅰ)
 3  (イ)          ~P    8&E
 3  (ウ)   ~P&~(P&~Q)   アイ&I
 3  (エ)  ~(P∨(P&~Q))   ウ、ド・モルガンの法則
 3  (オ)  ~(P∨(P&~Q))∨P エ∨I
   カ(カ)              P A
   カ(キ)  ~(P∨(P&~Q))∨P カ∨I
1   (ク)  ~(P∨(P&~Q))∨P 13オカキ∨E
1   (ケ)   (P∨(P&~Q))→P ク含意の定義(Ⅱ)
(ⅱ)
1   (1)   (P∨(P&~Q))→P A
1   (2)  ~(P∨(P&~Q))∨P 1含意の定義(Ⅱ)
 2  (3)  ~(P∨(P&~Q))   A
 2  (4)  ~P&~(P&~Q)    3ド・モルガンの法則
 2  (5)  ~(P&~Q)&~P    4交換法則
 2  (6)  ~(P&~Q)       5&E
 2  (7)    P→ Q        6含意の定義(Ⅰ)
 2  (8)          ~P    5&E
 2  (9)   (P→ Q)&~P    78&I
  ア (ア)   (P→ Q)→ P    A
 2  (イ)   (P→ Q)       9&E
 2ア (ウ)           P    アイMPP
 2  (エ)          ~P    9&E
 2ア (オ)        P&~P    ウエ&I
 2  (カ) ~((P→Q)→P)     アオRAA
 2  (キ) ~((P→Q)→P)∨P   カ∨I
   ク(ク)              P A
   ク(ケ) ~((P→Q)→P)∨P   ク∨I
1   (コ) ~((P→Q)→P)∨P   12キクケ∨E
1   (サ)  ((P→Q)→P)→P   コ含意の定義(Ⅱ)
従って、
(13)により、
(14)
①((P→Q)→P)→P
②(P∨(P&~Q))→P
といふ「論理式」に於いて、
①=② である。
従って、
(14)により、
(15)
①((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②(Pであるか、または(Pであって、Qでない))ならばPである。
といふ「日本語」に於いて、
①=② である。
然るに、
(16)
②(Pであるか、または(Pであって、Qでない))
といふのであれば、いづれにせよ、
②  Pである。
従って、
(15)(16)により、
(17)
②(Pであるか、または(Pであって、Qでない))ならばPである
といふことは、「当然」である。
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
②(P∨(P&~Q))→P
②(Pであるか、または(Pであって、Qでない))ならばPである。
といふ「命題」と、「等価」である所の、
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばP)ならばPである。
といふ「パースの法則」は、「普通の命題」である。
令和02年02月05日、毛利太。

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