2020年2月3日月曜日

「仮言命題」の「前件」が「矛盾」である場合。

―『返り点に対する「括弧」の用法。』といふ「ブログ」なのに、長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

(01)
(ⅰ)
1   (1)     P    A
    (2)     P→P  11CP
(ⅱ)
1   (1)     P    A
    (2)     P→P  11CP
    (3)    ~P∨P  2含意の定義
 4  (4)    ~P    A
 4  (5)    ~P∨Q  4∨I
 4  (6)     P→Q  5含意の定義
 4  (7)~~P∨(P→Q) 6∨I
  8 (8)       P  A
  8 (9)     ~~P  8DN
  8 (ア)~~P∨(P→Q) 9∨I
    (イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
    (ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
   エ(エ) ~P& P    A
   エ(オ) ~P       エ&E
   エ(カ)     P→Q  ウオMPP
   エ(キ)     P    エ&E
   エ(ク)       Q  カキMPP
    (ケ)(~P&P)→Q  エクCP
(ⅲ)
1   (1) ~(P∨~P)  A
 2  (2)   P      A
 2  (3)   P∨~P   2∨I
12  (4) ~(P∨~P)&
         (P∨~P)  13&I
1   (5)  ~P      24RAA
1   (6)   P∨~P   5∨I
1   (7) ~(P∨~P)&
         (P∨~P)  16&I
1   (8)~~(P∨~P)  17RAA
    (9)   P∨~P   8DN
然るに、
(02)
系Ⅰ:任意の連式は、それがトートロジー的であるときまたそのときに限って導出可能である。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、114頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
①      P→P≡ PならばPである(同一律)。
②(~P&P)→Q≡(Pでなくて、Pである)ならばQである。
③        P∨~P≡  Pであるか、Pでない(排中律)。
といふ「3つの式」は、3つとも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(04)
(ⅲ)
1 (1)  (~P&P)→Q A
 2(2)        ~Q A
12(3) ~(~P&P)   12MTT
12(4)   P∨~P    3ド・モルガンの法則
1 (5) ~Q→(P∨~P) 24CP
(ⅱ)
1 (1) ~Q→(P∨~P) A
 2(2)    (~P&P) A
 2(3)   ~(P∨~P) 2ド・モルガンの法則
12(4)~~Q        13MTT
12(5)  Q        4DN
1 (6) (~P&P)→Q  25CP
従って、
(04)により、
(05)
②(~P&P)→Q    ≡(Pでなくて、Pである)ならばQである。
③  ~Q→(P∨~P)≡  Qでないならば(Pであるか、Pでない)。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contradiction)」である。
然るに、
(06)
②(~P&P)≡(Pでなくて、Pである)。
③(P∨~P)≡(Pであるか、Pでない)。
に於いて、
② は「矛盾(Contradiction)」であって、
③ は「排中律(law of excluded middle)」である。
従って、
(03)(05)(06)により、
(07)
②(~P&P)→ Q  ≡(矛盾)ならばQである
③  ~Q→(P∨~P)≡Qでないならば(排中律)。
に於いて、
② は「恒真式(トートロジー)」であって、
③ も「恒真式(トートロジー)」であって、
②=③ は、「対偶」である。
然るに、
(08)
(ⅱ)
1  (1) (~P&P)→Q A
1  (2)~(~P&P)∨Q 1含意の定義
 3 (3)~(~P&P)   A
 3 (4) (P∨~P)   3ド・モルガンの法則
 3 (5) (P∨~P)∨Q  4∨I
  6(6)        Q A
  6(7) (P∨~P)∨Q 4∨I
(ⅲ)
1  (1) ~Q→(P∨~P) A
1  (2)~~Q∨(P∨~P) 1含意の定義
 3 (3)~~Q        A
 3 (4)  Q        3DN
 3 (5) (P∨~P)∨Q  4∨I
  6(6)    (P∨~P) A
  6(7) (P∨~P)∨Q  6∨I
1  (8) (P∨~P)∨Q  13567∨E
(ⅳ)
1  (1) (P∨~P)∨Q  A
 2 (2) (P∨~P)    A
 2 (3)~(~P&P)    2ド・モルガンの法則
 2 (4)~(~P&P)∨Q  3∨I
  5(5)        Q  A
  5(6)~(~P&P)∨Q  5∨I
1  (7)~(~P&P)∨Q  12456∨E
従って、
(07)(08)により、
(09)
②(~P&P)→ Q  ≡(矛盾)ならばQである。
③  ~Q→(P∨~P)≡Qでないならば(排中律)。
④(P∨~P)∨ Q ≡(排中律)か、Qである。
に於いて、
② は「恒真式(トートロジー)」であって、
③ も「恒真式(トートロジー)」であって、
④ も「恒真式(トートロジー)」であって、
②=③=④ である。
然るに、
(10)
④(P∨~P)∨ Q ≡(排中律)か、Qである。
といふ「式」が、「恒真式(トートロジー)」である。
といふことは、
④(P∨~P)∨  ≡(排中律)か、真である。
④(P∨~P)∨  ≡(排中律)か、偽である。
の、両方とも、「(本当)」である。
といふことに、ほかならない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
②(~P&P)→ Q  ≡(矛盾)ならばQである
③  ~Q→(P∨~P)≡Qでないならば(排中律)。
④(P∨~P)∨ Q ≡(排中律、Qである
に於いて、
② は「恒真式(トートロジー)」であって、
③ も「恒真式(トートロジー)」であって、
④ も「恒真式(トートロジー)」であって、
②=③=④ である。
といふことは、
②(~P&P)→Q≡(矛盾)ならばQである。
に於いて、
② Qは、「(本当)」であっても、
② Qは、「(ウソ)」であっても、「どちらでも良い」。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(12)
 P≡太陽は西から、昇る。
~P≡太陽は西からは昇らない
 Q≡バカボンのパパは天才である。
~Q≡バカボンのパパは天才ではない
であるとして、
②(~P&P)→Q≡(太陽が西から昇らず、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である。
といふ風に、『仮言命題の、前件が矛盾』である場合は、
②   Q≡バカボンのパパは天才である
とは、言ってはゐないし、
②  ~Q≡バカボンのパパは天才でない
とも、言ってゐない
従って、
(12)により、
(13)
②(~P&P)→Q≡(太陽が西から昇らず、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である。
といふ風に、『仮言命題の、前件が矛盾』である場合は、事実上、「何も、言ってゐない」。
然るに、
(14)
⑤   Q→ P≡バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。
⑥ ~P→~Q≡太陽が西から昇らないならば、バカボンのパパは天才ではない。
といふ「仮言命題」に於いて、
⑤=⑥ は、「対偶」である。
然るに、
(15)
常識」として、
⑦ ~P≡太陽は西から昇らない(東から昇る)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
⑤   Q→ P≡バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。
⑥ ~P→~Q≡太陽が西から昇らないならば、バカボンのパパは天才ではない。
⑦ ~P   ≡太陽は西から昇らない(東から昇る)。
に於いて、
⑤=⑥ は、「対偶」であって、
⑦   は、「常識」である。
然るに、
(17)
(ⅴ)
1 (1)~P→~Q A
 2(2)~P    A
12(3)   ~Q 12MPP
従って、
(16)(17)により、
(18)
⑤   Q→P≡バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。
といふ「仮言命題」は、事実上
⑤ ~Q    ≡バカボンのパパは天才ではない。
といふ「命題」に、「等しい」。
従って、
(13)(18)により、
(19)
②(~P&P)→Q≡(太陽が西から昇らず、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である。
といふ風に、『仮言命題の、前件矛盾』である場合は、事実上、「何も、言ってゐない」のに対して、
⑤   Q→P≡バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。
といふ「仮言命題」は、
⑤ ~Q    ≡バカボンのパパは天才ではない
といふ風に、言ってゐる
令和02年02月03日、毛利太。

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