2020年2月10日月曜日

「英語と漢文と述語論理(昨日の記事の要約)」。

―「昨日(令和02年02月09日)の記事」は「散漫」なので、「昨日の記事」を要約します。―
(01)
  (34) すべての少年はある少女を愛す。
  (34) Every boy loves a certain girl
この文は多義性が含まれていることが知られている。これは、
We detect here an ambiguity: this may mean that
(ⅰ)すべての少年に愛されるひとりの(非常に幸運な)少女が存在する。という意味かも知れないし、あるいは、
(ⅱ)すべての少年に対して、彼が愛する(さいわい別々の)少女がみつかりうる。という意味かも知れない。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、127頁と原文)
然るに、
(02)
① すべての少年に愛されるひとりの(非常に幸運な)少女が存在する。
② すべての少年に対して、彼が愛する(さいわい別々の)少女がみつかりうる。
対して、「述語論理」であれば、
① ∃x{少女x&∀y(少年y→愛yx)}
② ∀x{少年x→∃y(少女y&愛xy)}
である。
(03)
① すべての少年に愛されるひとりの(非常に幸運な)少女が存在する。
② すべての少年に対して、彼が愛する(さいわい別々の)少女がみつかりうる。
対して、「漢文」であれば、
① 一人少女為〔全少年所(愛)〕。
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕。
である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① Every boy loves a certain girl.
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕。
② ∀x{少年x→∃y(少女y&愛xy)}
に於いて、
①  「英語」の「意味」は「曖昧」であるが、
②  「漢文」の「意味」は「明確」であり、
②「述語論理」の「意味」は「明確」である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
② 少年皆有其所愛少女=
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕⇒
② 少年皆〔其(愛)所少女〕有=
② 少年皆〔其の(愛する)所の少女〕有り。
② 全ての少年に、自分が愛する所の少女がゐる。
(ⅲ)
③ 無少年不愛其少女=
③ 無[少年不〔愛(其少女)〕]⇒
③ [少年〔(其少女)愛〕不]
③ [少年にして〔(其の少女を)愛せ〕ざる]は無し
③  少年であって、自分の彼女を愛さない者は存在しない
然るに、
(06)
(ⅱ)
1   (1)∀x{少年x→∃y(少女y& 愛xy)}  A
1   (2)   少年a→∃y(少女y& 愛ay)   1UE
1     (3)       ∀y(少女y→~愛ay)   A
 3  (4)          少女b→~愛ab    3UE
 3  (5)         ~少女b∨~愛ab    含意の定義(Ⅱ)
 3  (6)        ~(少女b& 愛ab)   5ド・モルガンの法則
 3  (7)      ∀y~(少女y& 愛ay)   6UI
 3  (8)      ~∃y(少女y& 愛ay)   7量化子の関係
13  (9)  ~少年a                28MTT
1   (ア)   ∀y(少女y→~愛ay)→~少年a  39CP
1   (イ)     (少女b→~愛ab)→~少年a  アUE
  ウ (ウ) ∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)} A
   エ(エ)    少年a&∀y(少女y→~愛ay)  A
   エ(オ)    少年a               エ&E
   エ(カ)  ~~少年a               カDN
1  エ(キ)         ~(少女b→~愛ab)  イカMTT
   エ(ク)        ∀y(少女y→~愛ay)  エ&E
   エ(ケ)          (少女b→~愛ab)  クUE
1  エ(コ)         ~(少女b→~愛ab)&
                 (少女b→~愛ab)  キケ&I
1 ウ (サ)             ~(少女b→~愛ab)&
                 (少女b→~愛ab)  ウエコEE
1   (シ)~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)} ウサRAA
1   (〃){いかなる少女をも愛さない少年、そのような少年は}存在しない。
(ⅲ)  
1   (1)~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)} A
1   (2)∀x~{少年x&∀y(少女y→~愛xy)} 1量化子の関係
1   (3)  ~{少年a&∀y(少女y→~愛ay)} 2UE
1   (4)  ~少年a∨~∀y(少女y→~愛ay)  3ド・モルガンの法則
1   (5)  ~∀y(少女y→~愛ay)∨~少年a  4交換法則
1   (6)   ∀y(少女y→~愛ay)→~少年a  5含意の定義(Ⅱ)
 7  (7)                 少年a  A
 7  (8)               ~~少年a  7DN
17  (9)  ~∀y(少女y→~愛ay)       68MTT
17  (ア)  ∃y~(少女y→~愛ay)       9量化子の関係
  イ (イ)    ~(少女b→~愛ab)       A
   ウ(ウ)     ~少女b∨~愛ab        A
   ウ(エ)      少女b→~愛ab        ウ含意の定義(Ⅱ)
  イウ(オ)    ~(少女b→~愛ab)&
            (少女b→~愛ab)       イエ&I
  イ (カ)   ~(~少女b∨~愛ab)       ウオRAA
  イ (キ)      少女b& 愛ab        カ、ド・モルガンの法則
  イ (ク)   ∃y(少女y& 愛ay)       キEI        
17  (ケ)   ∃y(少女y& 愛ay)       アイクEE
1   (コ)   少年a→∃y(少女y& 愛ay)   7ケCP
1   (サ)∀x{少年x→∃y(少女y& 愛xy)}  コUI
1   (〃){少年であるならば、彼によって愛される所の少女が存在する}。
(07)
③{少年であって、自分の彼女さえ、愛さない者}は、
③{いかなる少女をも愛さない少年、そのような少年}に違ひない。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕        ={少年であるならば、彼によって愛される所の少女が存在する}。
③ 無[少年不〔愛(其少女)〕]       ={いかなる少女をも愛さない少年、そのような少年}は存在しない。
といふ「漢文」と、
②  ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}={少年であるならば、彼によって愛される所の少女が存在する}。
③ ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}={いかなる少女をも愛さない少年、そのような少年}は存在しない。
といふ「述語論理」に於いて、
②=③ は「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕=  ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}。
③ 無[少年不〔愛(其少女)〕= ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}。
といふ「漢文=述語論理」に於いて、
②=③ は「対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(10)
少年愛其少女。
といふ「漢文」の「英語への逐語訳」は、
No boy doesn't love his girl.
である。
然るに、
(11)
No boy doesn't love his girl.
を、「グーグル翻訳」に掛けると、
③ 少年は少女を愛していない。
となって、「二重否定」には、ならない。
然るに、
(12)
しかし18世紀にきわめて人工的・作為的性質の強い規範文法が整備された際、否定呼応という言語現象に無理解な学者たちは、論理学規範を言語という特殊条件を考慮せずに適応し、「否定語を2回使うということは否定の否定を意味し、論理的に肯定である」と主張し、英語の否定呼応を抹殺した(ウィキペディア:二重否定)。
従って、
(11)(12)により、
(13)
[少年〔愛(其少女)〕 = ~∃x{少年x&∀y(少女y→愛xy)}。
といふ「等式」に対して、
No boy doesn't love his girl= ~∃x{少年x&∀y(少女y→愛xy)}。
といふ「等式」は、成立しない
従って、
従って、
(04)(09)(13)により、
(14)
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕=  ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}。
③ 無[少年不〔愛(其少女)〕= ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}。
といふ「等式」に対して、
② Every boy loves a certain girl=  ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}。
③ No boy doesn't love his girl = ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}。
といふ「等式」は、2つとも、成立しない
従って、
(14)により、
(15)
②   ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}
③ ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}
といふ「述語論理」を「基準」とする限り、
② 少年皆有〔其所(愛)少女〕。
③ 無[少年不〔愛(其少女)〕。
といふ「漢文」は、「論理的」であるが、
② Every boy loves a certain girl.
③ No boy doesn't love his girl.
といふ「英語」は、「非論理的」であると、言はざるを得ない。
令和02年02月10日、毛利太。

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