(01)
① 君子於其所不知、蓋蓋闕如也=
① 君子於二其所一レ不レ知、蓋闕如也=
① 君子於[其所〔不(知)〕]、蓋闕如也⇒
① 君子於[其〔(知)不〕所]、蓋闕如也=
① 君子は[其の〔(知ら)不る〕所に]於いて、蓋し闕如す。
然るに、
(02)
君子於其所不知、蓋蓋闕如也。
君子は自分のわからないことではだまっているものだ。
(金谷治 訳注、論語、1963年、249頁)
然るに、
(03)
其 そノ そレ
[指示形容詞]《人・物・事などを指し、単数・複数のどちらをも指す》
① 連体修飾格
(ⅱ)〈人を指し、主語と一致する場合〉「自分の」
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、75頁)
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 君子於[其所〔不(知)〕]、蓋闕如也⇒
① 君子於[其〔(知)不〕所]、蓋闕如也=
① 君子は[其の〔(知ら)不る〕所に]於いて、蓋し闕如す。
に於いて、
① 其の=自分の
である。
然るに、
(05)
② 君子不以其所以養人者害人=
② 君子不乙以下其所二以 養一レ人者上害甲レ人=
② 君子不{以[其所-以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
② 君子{[其〔(人)養〕所-以者]以(人)害}不=
② 君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所-以の者を]以て(人を)害せ}ず。
従って、
(04)(05)により、
(06)
② 君子不{以[其所-以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
② 君子{[其〔(人)養〕所-以者]以(人)害}不=
② 君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所-以の者を]以て(人を)害せ}ず。
に於いても、
② 其の=自分の
である。
然るに、
(07)
君子不以其所以養人者害人
君子は人間が生きてゆく手段である土地が惜しさに争って、大切な人間そのものを犠牲にはしないものだ。
(小林勝人 訳注、孟子 上、1968年、104頁)
従って、
(07)により、
(08)
② 所以養人者=
② 人間が生きてゆく手段=
② 土地
である。
然るに、
(09)
滕文公問曰、滕小國也、竭力以事大國、則不得免焉、如之何則可、孟子對曰、昔者大王居邠、狄人侵之、事之以皮幣、不得免焉、事之以犬馬、不得免焉、事之以珠玉、不得免焉、乃屬其耆老而告之曰、狄人之所欲者、吾土地也、吾聞之也、君子不以其所以養人者害人、
滕文の公問ひて曰く、滕は小國なり、力を竭して以て大國に事うるとも、則ち免るるを得じ。如之何にせば則ち可ならん、孟子對へて曰く、昔者大王邠に居りしとき、狄人之を侵せり。之に事うる皮幣を以てするも、免かるるを得ず。之に事うるに犬馬を以てするも、免かるるを得ず。之に事うる珠玉を以てするも、免かるるを得ず。乃ち其の耆老を屬めて之に告げて曰く、狄人の欲する所の者は、吾が土地なり、吾之を聞く、君子は其の人を養ふ所以の者を以て人を害せず(小林勝人 訳注、孟子 上、1968年、104頁改)。
従って、
(09)により、
(10)
② 君子不以其所以養人者害人。
に於いて、
② 人=王の人民
である。
従って、
(01)~(10)により、
(11)
② 君子不以其所以養人者害人=
② 君子不乙以下其所二以 養一レ人者上害甲レ人=
② 君子不{以[其所-以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
② 君子{[其〔(人)養〕所-以者]以(人)害}不=
② 君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所-以の者を]以て(人を)害せ}ず。
といふ「漢文・訓読」は、突き詰めて言へば、
② 君子は、自分の土地で、自分の人民を害さない。
といふ「意味」になる。
然るに、
(12)
② 君子は、自分の土地で、自分の人民を害さない。⇔
② ∀x{君子x→∃y∃z(人yx&地zx&~害zy)}⇔
② すべてのxについて、xが君子であるならば、あるyとあるzについて、yはxの人民であり、zはxの土地であり、zはyを害さない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
② 君子不以其所以養人者害人。
といふ「漢文」は、
② ∀x{君子x→∃y∃z(人yx&地zx&~害zy)}
といふ風に、訳すことが、出来る。
然るに、
(14)
(ⅱ)
1 (1)∀x{君子x→∃y∃z(人yx&地zx&~害zy)} A
1 (2) 君子a→∃y∃z(人ya&地za&~害zy) 1UE
3 (3) ∀y∀z[(人ya&地za)→害zy] A
3 (4) ∀z[(人ba&地za)→害zb] 3UE
3 (5) (人ba&地ca)→害cb 4UE
3 (6) ~(人ba&地ca)∨害cb 5含意の定義
7 (7) ~(人ba&地ca) A
7 (8) ~人ba∨~地ca 7ド・モルガンの法則
7 (9) ~人ba∨~地ca∨ 害cb 8∨I
ア(ア) 害cb A
ア(イ) ~人ba∨~地ca∨ 害cb ア∨I
3 (ウ) ~人ba∨~地ca∨ 害cb 679アイ∨E
3 (エ) ~(人ba&地ca&~害cb) ウ、ド・モルガンの法則
3 (オ) ∀z~(人ba&地za&~害zb) エUI
3 (カ) ~∃z(人ba&地za&~害zb) オ量化子の関係
3 (キ) ∀y~∃z(人ba&地za&~害zb) カUI
3 (ク) ~∃y∃z(人ya&地za&~害zy) キ量化子の関係
13 (ケ) ~君子a 2クMTT
1 (コ) ∀y∀z[(人ya&地za)→害zy]→~君子a 3ケCP
1 (サ)∀x{∀y∀z[(人yx&地zx)→害zy]→~君子x} コUI
(ⅲ)
1 (1)∀x{∀y∀z[(人yx&地zx)→害zy]→~君子x} A
1 (2) ∀y∀z[(人ya&地za)→害zy]→~君子a 1UE
3 (3) 君子a A
3 (4) ~~君子a 3DN
13 (5) ~∀y∀z[(人ya&地za)→害zy] 24MTT
13 (6) ∃y~∀z[(人ya&地za)→害zy] 5量化子の関係
13 (7) ∃y∃z~[(人ya&地za)→害zy] 6量化子の関係
8 (8) ∃z~[(人ba&地za)→害zb] A
9(9) ~[(人ba&地ca)→害cb] A
9(ア) ~[~(人ba&地ca)∨害cb] 9含意の定義
9(イ) (人ba&地ca)&~害cb ア、ド・モルガンの法則
9(ウ) 人ba&地ca&~害cb イ結合法則
9(エ) ∃z(人ba&地ca&~害cb) ウEI
8 (オ) ∃z(人ba&地ca&~害cb) 89エEE
8 (カ) ∃y∃z(人ba&地ca&~害cb) オEI
13 (キ) ∃y∃z(人ba&地ca&~害cb) 78カEE
1 (ク) 君子a→∃y∃z(人ya&地za&~害zy) 3キCP
1 (ケ)∀x{君子x→∃y∃z(人yx&地zx&~害zy)} クUI
従って、
(14)により、
(15)
② ∀x{君子x→∃y∃z(人yx&地zx&~害zy)}⇔
② すべてのxについて、xが君子であるならば、あるyとあるzについて、yはxの人民であり、zはxの土地であり、zはyを害さない。
の「対偶(Contraposition)」は、
③ ∀x{∀y∀z[(人yx&地zx)→害zy]→~君子x}⇔
③ すべての、xとyとzについて、yがxの人民であって、zがxの土地ならば、zがyを害するならば、xは君子でない。
である。
然るに、
(16)
③ ∀x{∀y∀z[(人yx&地zx)→害zy]→~君子x}⇔
③ すべての、xとyとzについて、yがxの人民であって、zがxの土地ならば、zがyを害するならば、xは君子でない。
といふことは、
③ 自分の土地が、自分の人民を害するならば、君子ではない。
といふことである。
然るに、
(17)
③ 自分の土地が、自分の人民を害するならば、君子ではない。
であるならば、
③ 如其地害其人則非君子=
③ 如其地害(其人)則非(君子)⇒
③ 如其地(其人)害則(君子)非=
③ 如し其の地(其の人を)害さ則ち(君子に)非ず。
といふ風に、書くことが出来る。
従って、
(08)(10)(17)により、
(18)
② 君子不以其所以養人者害人。
③ 如其所以人者害人則非君子。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
(19)
先ほどの、「ド・モルガンの法則」に関する「記事(令和02年02月23日)」は、
② 君子不以其所以養人者害人。
といふ「漢文」を「述語論理」に翻訳してゐる際に、
(ⅰ)~(P&Q∨R)⇔ ~P∨~Q&~R
(ⅱ)~(P∨Q&R)⇔ ~P&~Q∨~R
といふ「等式(ド・モルガンの法則)」が、成立する。
といふことを、ネットで確認しようとしても、「確認できなかった」ので、「自分で証明」したものです。
(20)
あるいは、探し方が悪いのかもしれませんが、「連言(∩)と選言(∪)」が混在する場合の「ド・モルガンの法則」に関する「説明」は、少なくとも、「グーグルの1ページと2ページ」では、見付けることが出来ません。
令和02年02月23日、毛利太。
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