2020年2月13日木曜日

「三上文法」と「正確に1個のxがFである」と「二重主語」。

(01)
① 1個以のxがFであって、尚且つ、
② 1個以のxがFである。
といふことは、
正確に1個のxがFである。
といふことである。
然るに、
(02)
① 1個以上のxがFである。
といふことを、記号で書くと、
① ∃x(Fx)
である。
然るに、
(03)
② 1個以のxがFである。
③ 2個以のxがFである。
に於いて、
② と ③ は、「矛盾」する。
従って、
(04)
② 1個以のxがFである。
③ 2個以のxがFである。といふことはない
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(05)
③ 2個以上のxがFである。といふことはない。
といふことを、記号で書くと、
③ ~∃x∃y{(Fx&Fy)&x≠y}
である。
然るに、
(06)
(ⅲ)
1(1)~∃x∃y{(Fx&Fy)&x≠y} A
1(2)∀x~∃y{(Fx&Fy)&x≠y} 1量化子の関係
1(3)∀x∀y~{(Fx&Fy)&x≠y} 2量化子の関係
1(4)  ∀y~{(Fa&Fy)&a≠y} 3UE
1(5)    ~{(Fa&Fb)&a≠b} 4UE
1(6)      ~(Fa&Fb)∨a=b  5ド・モルガンの法則
1(7)      (Fa&Fb)→a=b  6含意の定義
1(8)    ∀y{(Fa&Fy)→a=y} 7UI
1(9) ∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y} 8UI
(ⅳ)
1(1) ∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y} A
1(2)   ∀y{(Fa&Fy)→a=y} 1UE
1(3)       Fa&Fb →a=b  2UE
1(4)     ~(Fa&Fb)∨a=b  3含意の定義
1(5)    ~{(Fa&Fb)&a≠b} 4ド・モルガンの法則
1(6)  ∀y~{(Fa&Fy)&a≠y} 5UI
1(7)  ~∃y{(Fa&Fy)&a≠y} 6量化子の関係
1(8)∀x~∃y{(Fx&Fy)&x≠y} 7UI
1(9)~∃x∃y{(Fx&Fy)&x≠y} 8量化子の関係
従って、
(06)により、
(07)
③ ~∃x∃y{(Fx&Fy)&x≠y}
④  ∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y}
に於いて、
③=④ である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
③ 2個以上のxがFである。といふことはない。
といふことを、記号で書くと、
③ ∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y}
である。
従って、
(01)(02)(08)により、
(09)
「番号」を付け直すと、
① ∃x(Fx)であって、尚且つ、
② ∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y}であるならば、そのときに限って、
③ 正確に1個のxがFである。
従って、
(09)により、
(10)
「番号」を付け直すと、
正確に1個のxがFである。
② ∃x(Fx)&∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1  (1)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  A
1  (2)∃xFx                  1&E
 3 (3)  Fa                  A
1  (4)     ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  1&E
1  (5)       ∀y(Fa&Fy→a=y)  4UE
1  (6)          Fa&Fb→a=b   5UE
  7(7)             Fb       A
 37(8)          Fa&Fb       37&I
137(9)                a=b   68MPP
13 (ア)             Fb→a=b   79CP
13 (イ)          ∀y(Fy→a=y)  アUI
13 (ウ)       Fa&∀y(Fy→a=y)  3イ&I
13 (エ)    ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} ウEI
1  (オ)    ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} 13エEE
(ⅱ)
1  (1)    ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} A
 2 (2)       Fa&∀y(Fy→a=y)  A
 2 (3)       Fa             2&E
 2 (4)          ∀y(Fy→a=y)  2&E
 2 (5)             Fb→a=b   4UE
  6(6)          Fb&Fb       A
  6(7)             Fb       6&E
 26(8)                a=b   57MPP
 26(9)            a=b&a=b   88&I
 26(ア)                a=b   9&E
 26(イ)                b=b   8ア=E
 2 (ウ)          Fb&Fb→b=b   5イCP
 2 (エ)       ∀y(Fb&Fy→b=y)  ウUI
 2 (オ)     ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  エUI
 2 (カ)     ∃xFx             3EI
 2 (キ)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  オカ&I
1  (ク)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  12クEE
従って、
(11)により、
(12)
① ∃x(Fx)&∀x∀y{(Fx&Fy)→x=y}
② ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
正確に1個のxがFである。
② ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(14)
② ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}
といふ「論理式」を使って、
③ ∀x{Fx→∃y[Gy&Hyx&∀z(Hzx→y=z)]}
といふ「論理式」を書くことが出来る。
従って、
(14)により、
(15)
「番号」を付け直すと、
① ∀x{Fx→∃y[Gy&Hyx&∀z(Hzx→y=z)]}
といふ「論理式」、すなはち、
① すべてのxについて、xがFであるならば、あるyは、Gであって、その上、xのHであって、すべてのzについて、zがxのHであるならば、yとzは「同一」である。
といふ「論理式」を書くことが出来る。
従って、
(15)により、
(16)
① ∀x{Fx→∃y[Gy&Hyx&∀z(Hzx→y=z)]}
に於いて、
F=T会の会員
G=私
H=理事長
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
といふ「論理式」、すなはち、
① すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、その上、xの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yとzは「同一」である。
といふ「論理式」を書くことが出来る。
然るに、
(17)
(ⅰ)
1     (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1     (2)   T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  1UE
 3    (3)   T会の会員a                             A
13    (4)          ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  34MPP
  5   (5)             私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z)   A
  5   (6)             私b&理事長ba                 5&E
  5   (7)                      ∀z(理事長za→b=z)   5&E
  5   (8)                         理事長ca→b=c    7UE
   9  (9)       ∃z(小倉z&~私z)                      A
    ア (ア)          小倉c&~私c                       A
    ア (イ)          小倉c                           ア&E
    ア (ウ)              ~私c                       ア&E
     エ(エ)                b=c                     A
    アエ(オ)            ~私b                       ウエ=E
  5   (カ)             私b                       6&E
  5 アエ(キ)            ~私b&私b                    オカ&I
  5 ア (ク)              b≠c                     エキRAA
  5 ア (ケ)                        ~理事長ca        8クMTT
  5 ア (コ)        小倉c&~理事長ca                    イケ&I
  5 ア (サ)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   コEI
  59  (シ)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   9アサEE
13 9  (ス)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   45シEE
1  9  (セ)   T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za)              3ス&I
1  9  (シ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}             セUI
1  9  (〃)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。                セUI
従って、
(17)により、
(18)
(1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。然るに、
(9)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(シ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(1)すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、その上、xの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yとzは「同一」である。然るに、
(9)あるzは小倉氏であって、zは私ではない。従って、
(シ)すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるzは小倉氏であって、zはxの理事長ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(19)
いづれにせよ、
(1)タゴール記念会は、私理事長です。 然るに、
(9)小倉氏は、私ではない。従って、
(シ)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない
といふ「推論」は、明らかに、「妥当」である。
然るに、
(20)
(1)タゴール記念会は、私の他にも、理事はゐる。 然るに、
(9)小倉氏は、私ではない。従って、
(シ)タゴール記念会は、小倉氏は、理事ではない
といふ「推論」は、もちろん、「妥当」ではない
然るに、
(21)
(ⅰ)
1(1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
ではなく、
1(1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事zx→y=z)]} A
から、
1(1) ∀z(理長zx→y=z)
を取り出して、「否定」すると、
(ⅱ)
1  (1)~∀z(理事zx→y=z)  A
1  (2)∃z~(理事zx→y=z)  1量化子の関係
 3 (3)  ~(理事cx→y=c)  A
  4(4)   ~理事cx∨y=c   A
  4(5)    理事cx→y=c   4含意の定義
 34(6)  ~(理事cx→y=c)&
         (理事cx→y=c)  35&I
 3 (7) ~(~理事cx∨y=c)  46RAA
 3 (8)    理事cx&y≠c   7ド・モルガンの法則
 3 (9) ∃z(理事zx&y≠z)  8EI
1  (ア) ∃z(理事zx&y≠z)  139EE
(ⅲ)
1  (1) ∃z(理事zx&y≠z)  A
 2 (2)    理事cx&y≠c   A
  3(3)    理事cx→y=c   A
 2 (4)    理事cx       2&E
 23(5)         y=c   34MPP
  3(6)         y≠c   2&E
 23(7)     y=c&y≠c   56&I
 2 (8)  ~(理事cx→y=c)  37RAA
 2 (9)∃z~(理事zx→y=z)  8EI
1  (ア)∃z~(理事zx→y=z)  129EE
1  (イ)~∀z(理事zx→y=z)
従って、
(21)により、
(22)
② ~∀z(理事zx→y=z)
③   ∃z(理事zx&y≠z)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(21)(22)により、
(23)
② ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&~∀z(理事zx→y=z)]}
③ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx& ∃z(理事zx&y≠z)]}
に於いて、すなはち、
② すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、その上、xの理事であって、すべてのzについて、zがxの理事であるならば、yとzは「同一」である。といふわけではない
③ すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、その上、xの理事であって、あるzも、xの理事であって、yとzは「同一」ではない
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(24)
(ⅰ)
1      (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事yx&∃z(理事zx&y≠z)]} A
1      (2)   T会の会員a→∃y[私y&理事ya&∃z(理事za&y≠z)]  1UE
 3     (3)   T会の会員a                           A
13     (4)          ∃y[私y&理事ya&∃z(理事za&y≠z)]  34MPP
  5    (5)             私b&理事ba&∃z(理事za&b≠z)   A
  5    (6)             私b&理事ba                5&E      
  5    (7)                     ∃z(理事za&b≠z)   5&E
   8   (8)                        理事ca&b≠c    A            
    9  (9)       ∃z(小倉z&~私z)                    A
     ア (ア)          小倉c&~私c                     A
     ア (イ)          小倉c                         ア&E
     ア (ウ)              ~私c                     ア&E
      エ(エ)                b=c                   A
     アエ(オ)            ~私b                     ウエ=E
  5    (カ)             私b                     6&E
  5  アエ(キ)            ~私b&私b                  オカ&I
  5  ア (ク)              b≠c                   エキRAA
  5  ア (ケ)                        ~理事ca       8クMTT
に於いて、「最後の行」である、
  5  ア (ケ)                        ~理事ca       8クMTT
は、「デタラメ」である。
従って、
(20)~(24)により、
(25)
(1)タゴール記念会は、私の他にも理事はゐる。 然るに、
(9)小倉氏は、私ではない。従って、
(シ)タゴール記念会は、小倉氏は、理事ではない
といふ「推論」は、もちろん、「妥当」ではなく、尚且つ、
(1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事yx&∃z(理事zx&y≠z)]}。然るに、
(9)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(シ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(1)すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるyは、私であって、その上、xの理事であって、あるzも、xの理事であって、yとzは「同一」ではない。然るに、
(9)あるzは小倉氏であって、zは私ではない。従って、
(シ)すべてのxについて、xがT会の会員であるならば、あるzは小倉氏であって、zはxの理事長ではない。
といふ「推論」も、「妥当」ではない
従って、
(18)~(25)により、
(26)
(1)タゴール記念会は、私理事長です。 然るに、
(9)小倉氏は、私ではない。従って、
(シ)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない
といふ「推論」は、
(1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。然るに、
(9)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(シ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}。
といふ「推論」に、他ならない。
然るに、
(27)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
然るに、
(28)
② 理事長は、私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
②=③ は、対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(29)
② 理事長は、私です。
③ 私以外は理事長ではない
といふことは、
④ 私と理事長は、同一人物である。
といふ、ことである。
従って、
(27)(28)(29)により、
(30)
① 私が理事長です。
② 理事長は、私です。
③ 私以外は理事長ではない。
④ 私と理事長は、同一人物である。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(31)
(1)「タゴール記念会は、私と、その理事長が、同一人物である。」が、
(9)「小倉氏は、私ではない。」とするならば、そのときに限って、
(シ)「タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。」
従って、
(26)(30)(31)により、
(32)
① タゴール記念会は、私理事長です。⇔
① タゴール記念会は、理事長は私です。⇔
① タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。⇔
① タゴール記念会は、私と理事長は同一である。⇔
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}⇔
① すべてのxについて、xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは、私であって、その上、xの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yとzは「同一」である。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(33)
また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
と書いたとしても、
① タゴール記念会は、私理事長です。
といふ「日本語」の、
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
といふ「論理的構造」を、明らかにした。
といふことには、ならない
従って、
(32)(33)により、
(34)
伝統的論理学を清水滉『論理学』(1916年)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九冊の一冊で、なお引き続き刊行だろうから、前後かなり多くの読者をもつ論理学書と考えられる。新興の記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
とは言ふものの、三上先生は、例へば、
① タゴール記念会は、私理事長です。
といふ「日本語」には、
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
といふ「論理的構造」が有る。
といふことを、知らないまま、「三上章、日本語の論理、1963年」を、上梓したことになる。
然るに、
(35)
更に言へば、
② 象は鼻が長い。
といふ「日本語」には、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理的な構造」が有る。
といふことを、知らないまま、「三上章、象は鼻が長い、1960年」を、上梓したことになる。
然るに、
(36)
② 象は鼻が長い          ≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
① タゴール記念会は、私が理事長です≡∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
といふ「等式」の、「右辺」を「無視」したまま、「左辺」を論じることは、「正しい」とは、言へないはずである。
従って、
(37)
私としては、「三上章、日本語の論理、1963年」に於ける、そうした点が、不満である。
然るに、
(32)により、
(38)
③ 私はこれいいです。⇔
③ 私はこれは良く、これ以外は良くない
③ ∀x{私x→∃y(これy&良いyx)&∀z(良いzx→z=y)}。
といふ「等式」が成立する。
然るに、
(39)
商品をいろいろ見せてもらって選択するときに、で意味が反対になることがある。
 これはいいです。(不用)
 これいいです。(用)
ここで異を立てる方にはハを使っているが、述語が同型異議になっている。不用の方はテモイイ、デモイイ(許可)で、入用の方はほめことば(好適)である。つまり、初めの方は「これはもらわ(有償)なくてもいいです」「これは引っ込めてもらっていいです」などの短絡的表現だろう(三上章、日本語の論理、1963年、156・7頁)。
然るに、
(40)
③ 商品をいろいろ見せてもらって選択するときに、
③ 私はこれは良く、これ以外は良くない
といふのであれば、
③ 私は、これを買います。
と言ってゐるのと、「同じ」である。
従って、
(38)(39)(40)により、
(41)
③ 私はこれいいです。⇔
③ 私はこれは良く、これ以外は良くない。⇔
③ 私は、これを買います。
といふことなのであって、
④ つまり、初めの方は「これはもらわ(有償)なくてもいいです」「これは引っ込めてもらっていいです」などの短絡的表現だろう。
といふ「言ひ方」は、「説明」には、なってゐない。
加へて、
(27)により、
(42)
また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
といふ「言ひ方」も、「説明」には、なってゐない。
然るに、
(43)
新興の記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
とは言ふものの、「三上章、日本語の論理、1963年」、並びに、「三上章、象は鼻が長い、1960年」他を、読む限り、三上章先生自身が、「記号論理学」を学んでゐた、「形跡」は無い。
(44)
論理学とは何であるかを知る最善の方法は、実際に幾らくやってみることである(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、3頁)。
といふのは、「論理学とは何であるかを知る最善の方法」は「練習問題を、自分で解いてみる」ことである。
といふ風に、考へたい。
然るに、
(45)
『沢田允茂、現代論理学入門(1962年)』は「現代論理学」の「教科書」ではなく、「解説書」であるため、「練習問題」は、一切、載ってゐない
従って、
(44)(45)により、
(46)
沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照しただけでは、「現代論理学とは何であるかを知る」ことは、ほとんど、出来ない。
従って、
(45)(46)により。
(47)
三上章先生は、1963年に、「論理学」を学ばないまま、「日本語論理」といふタイトルの書籍を、上梓したことになる。
(48)
① 象は鼻長い         ≡∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② 私はこれいいです      ≡∀x{私x→∃y(これy&良いyx)&∀z(良いzx→z=y)}。
③ タゴール記念会は、私理事です≡∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
といふ「等式」が成り立つことを、出来るだけ、多く方に、知ってもらいたい。
令和02年02月13日、毛利太。

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