2020年2月16日日曜日

「象は鼻が長い(象は鼻以外は長くない)」の「述語論理」。

(01)
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
②=③ は、対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(02)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
① 私理事長です。
② 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
① タゴール記念会は、私理事長です。
② タゴール記念会は、私以外は理事長ではない
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)により、
(06)
① 象は、鼻長い。
② 象は、鼻以外は長くない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   象a                                   6&E
   6  (8)      兎a                                6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)                        9&E
    ウ (ウ)         鼻ba&長b                         A
1  6  (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)           9&E
1  6  (オ)                    ~鼻ba→~長b            エUE
 2 6  (カ)      ∃y(耳ya&長y)                        ア&E
     キ(キ)         耳ba&長b                         A
 2 6  (ク)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   クUE
 2 6  (コ)                             耳ba→~鼻ba   ケ&E
     キ(サ)         耳ba                            キ&E
 2 6 キ(シ)                                 ~鼻ba   コサMPP
12 6 キ(ス)                         ~長b            オシMPP
    ウ (セ)             長b                         ウ&E
12 6ウキ(ソ)             長b&~長b                     シス&I 
12 6ウ (タ)             長b&~長b                     カキソEE
12 6  (チ)             長b&~長b                     イウタEE
123   (ツ)             長b&~長b                     36チEE
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
12    (ト)∀x~(象x&兎x)                              テ量化子の関係
12    (ナ)  ~(象a&兎a)                              トUE
12    (ニ)  ~象a∨~兎a                               ナ、ド・モルガンの法則
12    (ヌ)  ~兎a∨~象a                               ニ交換法則
12    (ネ)   兎a→~象a                               ヌ含意の定義
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ネUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。                ネUI
従って、
(07)により、
(08)
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)}。従って、
(ノ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論」、すなはち、
(1)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。然るに、
(2)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるyはxの耳であって、長く、すべてのzについて、zがxの耳でないならば、zは長くなく、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない}。従って、
(ノ)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。
といふ「推論」、すなはち、
(1)象は、鼻が長い。然るに、
(2)兎には長い耳があるが、耳以外は長くなく、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ノ)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1  (1) ∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)} A
 2 (2) ∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)} A
  3(3)    象a&~∃y(鼻ya&長y)  A
  3(4)    象a              3&E
  3(5)       ~∃y(鼻ya&長y)  3&E
1  (6)    象a→ ∃y(鼻ya&長y)  1UE
1 3(7)        ∃y(鼻ya&長y)  46MPP
1 3(8)       ~∃y(鼻ya&長y)&
              ∃y(鼻ya&長y)  57&I
12 (9)       ~∃y(鼻ya&長y)&
              ∃y(鼻ya&長y)  238EE
1  (ア)~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)} 29RAA
(ⅱ)
1   (1) ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}  A
 2  (2) ~∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}  A
 2  (3) ∃x~{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}  2量化子の関係
  4 (4)   ~(象a→ ∃y(鼻ya&長y)}  A
   5(5)    ~象a∨ ∃y(鼻ya&長y)   A
   5(6)     象a→ ∃y(鼻ya&長y)   6含意の定義
  45(7)   ~{象a→ ∃y(鼻ya&長y)}&
           {象a→ ∃y(鼻ya&長y)}  46&I
  4 (8)  ~{~象a∨ ∃y(鼻ya&長y)}  57RAA
  4 (9)     象a&~∃y(鼻ya&長y)   8ド・モルガンの法則
  4 (ア)  ∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}  9EI
 2  (イ)  ∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}  34アEE
12  (ウ) ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}&
         ∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}  1イ&I
1   (エ)~~∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}  2ウRAA
1   (オ)  ∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}  エDN
従って、
(09)により、
(10)
①  ∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}
② ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(08)(10)により、
(11)
①  ∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}
② ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}
に於ける、
② ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}
に相当する「式」が、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 
にも、無ければ、ならない。
然るに、
(12)
(ⅰ)
1    (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1    (2)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 3   (3) ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} A
  4  (4)    象a&∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)  A
  4  (5)    象a                          A
  4  (6)       ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)  A
   7 (7)       ∃y(鼻ya&長y)               A
  47 (8)                  ∃z(~鼻za& 長z)  67MPP
  47 (9)                     ~鼻ca& 長c   A
    ア(ア)                     ~鼻ca→~長c   A
  47 (イ)                     ~鼻ca       9&E
  47ア(ウ)                          ~長c   アイMPP
  47 (エ)                           長c   9&E
  47ア(オ)                       ~長c&長c   ウエ&I
  47 (カ)                   ~(~鼻ca→~長c)  アオRAA
  47 (キ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  カEI
  47 (ク)                 ∃z~(~鼻za→~長z)  89キEE
  47 (ケ)                 ~∀z(~鼻za→~長z)  ク量化子の関係
  4  (コ)      ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)  7ケCP
  4  (サ)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)  コ含意の定義
  4  (シ)    ~{∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)} サ、ド・モルガンの法則
1 4  (セ)   ~象a                          2シMTT
1 4  (ソ)    象a&~象a                      5セ&I
13   (タ)    象a&~象a                      34ソEE
1    (チ)~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} 3タRAA
(ⅱ)
1      (1) ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→  ∃z(~鼻zx& 長z)}  A
1      (2) ∀x~{象x&∃y(鼻yx&長y)→  ∃z(~鼻zx& 長z)}  1量化子の関係
1      (3)   ~{象a&∃y(鼻ya&長y)→  ∃z(~鼻za& 長z)}  1UE
 4     (4)   ~[象a&∃y(鼻ya&長y)]∨ ∃z(~鼻za& 長z)   A
 4     (5)     象a&∃y(鼻ya&長y)→  ∃z(~鼻za& 長z)   4含意の定義
14     (6)   ~{象a&∃y(鼻ya&長y)→  ∃z(~鼻za& 長z)}&
              {象a&∃y(鼻ya&長y)→  ∃z(~鼻za& 長z)}  35&I
1      (7) ~{~[象a&∃y(鼻ya&長y)]∨ ∃z(~鼻za& 長z)}  46RAA
1      (8)    [象a&∃y(鼻ya&長y)]&~∃z(~鼻za& 長z)   7ド・モルガンの法則
  9    (9) ~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y) & ∀z(~鼻zx→~長z)}  A
  9    (ア) ∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y) & ∀z(~鼻zx→~長z)}  9量化子の関係
    イ   (イ)   ~{象a→∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)}  A
    ウ  (ウ)   ~象a∨[∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)]  A
    ウ  (エ)     象a→∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)   ウ含意の定義
   イウ  (オ)   ~{象a→∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)}&
              {象a→∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)}  イエ&I
   イ   (カ) ~{~象a∨[∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)]} ウオRAA
   イ   (キ)   象a&~[∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)]  カ、ド・モルガンの法則
   イ   (ケ)      ~[∃y(鼻ya&長y) & ∀z(~鼻za→~長z)]  キ&E
   イ   (コ)       ~∃y(鼻ya&長y) ∨~∀z(~鼻za→~長z)   ケ、ド・モルガンの法則
   イ   (サ)        ∃y(鼻ya&長y) →~∀z(~鼻za→~長z)   コ含意の定義
1      (シ)        ∃y(鼻ya&長y)                  8&E
1  イ   (ス)                    ~∀z(~鼻za→~長z)   サシMPP
1  イ   (セ)                    ∃z~(~鼻za→~長z)   ス量化子の関係
     ソ (ソ)                      ~(~鼻ca→~長c)   A
      タ(タ)                         鼻ca∨~長c    A
      タ(チ)                        ~鼻ca→~長c    タ含意の定義
     ソタ(ツ)                      ~(~鼻ca→~長c)&
                                 (~鼻ca→~長c)   ソチ&I
     ソ (テ)                       ~(鼻ca∨~長c)   タツRAA
     ソ (ト)                        ~鼻ca& 長c    テ、ド・モルガンの法則
     ソ (ナ)                     ∃z(~鼻za& 長c)   トEI
1  イ   (ニ)                     ∃z(~鼻za& 長c)   セソナEE
1  イ   (ヌ)       ~∃z(~鼻za& 長z)                8&E
1  イ   (ネ)       ~∃z(~鼻za& 長z)&∃z(~鼻za& 長c)   ニヌ&I
1 9    (ノ)       ~∃z(~鼻za& 長z)&∃z(~鼻za& 長c)   アイネEE
1      (ハ)~~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y) & ∀z(~鼻zx→~長z)}  9ノRAA
1      (マ)  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y) & ∀z(~鼻zx→~長z)}  ハDN
従って、
(11)(12)により、
(13)
①  ∀x{象x→ ∃y(鼻yx&長y)}
② ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}
に於ける、
② ~∃x{象x&~∃y(鼻yx&長y)}
に相当する「式」は、
①   ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に対する、
② ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
である。
従って、
(13)により、
(14)
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
② {xが象であって、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzはxの鼻ではなく、尚且つ、長い}といふ、そのやうなxは存在しない。
といふ「意味」である所の、
①   ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
といふ「式」に於いて、
①=② である。
令和02年02月16日、毛利太。

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