2020年2月29日土曜日

「師の説(韓愈)」の「述語論理」(改)。

(01)
① 弟子不必不如師=
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は、必ずしも、師匠に及ばない。といふわけではない(師の説、韓愈)。
然るに、
(02)
(ⅱ)
1 (1)~∀x{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} A
1 (2)∃x~{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} 1量化子の関係
 3(3)  ~{弟子a→ ∃y(師ya&~如ay)} A(2の代表的選言項)
 3(4)  ~{~弟子a∨∃y(師ya&~如ay)} 3含意の定義
 3(5)    弟子a&~∃y(師ya&~如ay)  4ド・モルガンの法則
 3(6)    弟子a                5&E
 3(7)        ~∃y(師ya&~如ay)  5&E
 3(8)        ∀y~(師ya&~如ay)  6量化子の関係
 3(9)          ~(師ba&~如ab)  7UE
 3(ア)           ~師ba∨ 如ab   8ド・モルガンの法則
 3(イ)            師ba→ 如ab   9含意の定義
 3(ウ)         ∀y(師ya→ 如ay)  イUI
 3(エ)    弟子a& ∀y(師ya→ 如ay)  5ウ&I
 3(オ) ∃x{弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)} エEI
1 (カ) ∃x{弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)} 23オEE
(ⅲ)
1  (1) ∃x{弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)} A
 2 (2)    弟子a& ∀y(師ya→ 如ay)  A(1の代表的選言項)
 2 (3)    弟子a                2&E
 2 (4)         ∀y(師ya→ 如ay)  2&E
 2 (5)            師ba→ 如ab   4UE
 2 (6)           ~師ba∨ 如ab   5含意の定義
 2 (7)          ~(師ba&~如ab)  6ド・モルガンの法則
 2 (8)        ∀y~(師ya&~如ay)  7UI
 2 (9)        ~∃y(師ya&~如ay)  8量化子の関係
  ア(ア)    弟子a→ ∃y(師ya&~如ay)  A(エのRAAを目指す)
 2ア(イ)         ∃y(師ya&~如ay)  3アMPP
 2ア(ウ)        ~∃y(師ya&~如ay)&
               ∃y(師ya&~如ay)  9イ&I
 2 (エ)  ~{弟子a→ ∃y(師ya&~如ay)  アウRAA
 2 (オ)∃x~{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} エEI
1  (カ)∃x~{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} 12オEE
1  (キ)~∀x{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} カ量化子の関係
従って、
(02)により、
(03)
② ~∀x{弟子x→∃y(師yx&~如xy)}
③   ∃x{弟子x&∀y(師yx→ 如xy)}
に於いて、すなはち、
②{すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師匠であって、 xはyに及ばない。}といふことはない。
③ ある{xは弟子であって、すべてのyについて、yがxの師匠であるならば、xはyに及んでゐる}。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(04)
③ ある{xは弟子であって、すべてのyについて、yがxの師匠であるならば、xはyに及んでゐる}。
といふことは、
③ 自分の師匠に対して、劣ることことが無い、弟子が存在する。
といふことである。
然るに、
(05)
③ 自分の師匠に対して、劣ることことが無い、弟子が存在する。
といふことは、
① 弟子は、必ずしも、師匠に及ばない。といふわけではない(師の説、韓愈)。
といふことである。
然るに、
(06)
②{すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師匠であって、 xはyに及ばない。}といふことはない。
③ ある{xは弟子であって、すべてのyについて、yがxの師匠であるならば、xはyに及んでゐる}。
といふ「意味」である所の
② ~∀x{弟子x→∃y(師yx&~如xy)}
③   ∃x{弟子x&∀y(師yx→ 如xy)}
といふ「式」は、
② その弟子は、自分の、すべての師匠に対して、劣らない。
③ その弟子は、自分の、すべての師匠に対して、劣らない。
といふ「意味」である。
然るに、
(07)
② その弟子は、自分の、すべての師匠に対して、劣らない。
③ その弟子は、自分の、すべての師匠に対して、劣らない。
といふことは、
② その弟子の師匠は、一人ではなく、複数である。
③ その弟子の師匠は、一人ではなく、複数である。
といふことを、「否定」しない。
然るに、
(08)
① 弟子不必不如師=
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は、必ずしも、師匠に及ばない。といふわけではない(師の説 韓愈)。
といふ「漢文」は、「師匠」は、「一人」であるとする方が、「自然」である。
然るに、
(09)
② ~∀x{弟子x→∃y(師yx&~如xy)}
に対して、
② ~∀x{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]}
とするならば、すなはち、
②{すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師匠であって、 xはyに及ばず、すべてのzについて、zがxの師匠であるならば、zはyと同一人物である}といふことはない。
とするならば、
② 弟子xの、師匠yは、一人しかゐない。
然るに、
(10)
(ⅱ)
1    (1)~∀x{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]} A
1    (2)∃x~{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]} 1量化子の関係
 3   (3)  ~{弟子a→[∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]} A(2の代表的選言項)
 3   (4) ~{~弟子a∨[∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]} 3含意の定義
 3   (5)   弟子a&~[∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]  4ド・モルガンの法則
 3   (6)   弟子a                              5&E
 3   (7)       ~[∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]  5&E
 3   (8)       ~∃y(師ya&~如ay)∨~∀z(師za→z=y)   7ド・モルガンの法則
  9  (9)       ~∃y(師ya&~如ay)                A(8選言項L)
  9  (ア)       ∀y~(師ya&~如ay)                9量化子の関係
  9  (イ)         ~(師ba&~如ab)                アUE
  9  (ウ)          ~師ba∨ 如ab                 イ、ド・モルガンの法則
  9  (エ)           師ba→ 如ab                 ウ含意の定義
  9  (オ)        ∀y(師ya→ 如ay)                エUI
  9  (カ)       ~∀z(師za→ z=y)∨∀y(師ya→如ay)    オ∨I
  9  (キ)        ∀z(師za→ z=y)→∀y(師ya→如ay)    カ含意の定義
   ク (ク)       ~∀z(師za→ z=y)                A(8選言項R)
   ク (ケ)       ~∀z(師za→ z=y)∨∀y(師ya→如ay)    ク∨I
   ク (コ)        ∀z(師za→ z=y)→∀y(師ya→如ay)    ケ含意の定義
 3   (サ)        ∀z(師za→ z=y)→∀y(師ya→如ay)    89キクコ∨E
    シ(シ)       ~∃z(師za& z≠y)                A(テのCPを目指す)
    シ(ス)       ∀z~(師za& z≠y)                シ含意の定義
    シ(セ)         ~(師ca& c≠y)                スUE
    シ(ソ)          ~師ca∨ c=y                 セ、ド・モルガンの法則
    シ(タ)           師ca→ c=y                 ソ含意の定義
    シ(チ)        ∀z(師za→ z=y)                タUI
 3  シ(ツ)                     ∀y(師ya→如ay)    サチMPP
 3   (テ)        ~∃z(師za&z≠y)→∀y(師ya→如ay)    シツCP
 3   (ト)   弟子a&[~∃z(師za&z≠y)→∀y(師ya→如ay)]   6テ&I(目標達成)
 3   (ナ)∃x{弟子x&[~∃z(師zx&z≠y)→∀y(師yx→如xy)]}  トEI
1    (ニ)∃x{弟子x&[~∃z(師zx&z≠y)→∀y(師yx→如xy)]}  23ナEE
(ⅲ)
1     (1)∃x{弟子x&[~∃z(師zx&z≠y)→∀y(師yx→如xy)]}  A
 2    (2)   弟子a&[~∃z(師za&z≠y)→∀y(師ya→如ay)]   A(1の代表的選言項)
 2    (3)   弟子a                              2&E
 2    (4)       [~∃z(師za&z≠y)→∀y(師ya→如ay)]   2&E
  3   (5)         ∀z(師za→z=y)                A(ウのCPを目指す)
  3   (6)            師ca→c=y                 5UE
  3   (7)           ~師ca∨c=y                 6含意の定義
  3   (8)          ~(師ca&c≠y)                7ド・モルガンの法則
  3   (9)        ∀z~(師za&z≠y)                8UI
  3   (ア)        ~∃z(師za&z≠y)                9量化子の関係
 23   (イ)                     ∀y(師ya→如ay)    4アMPP
 2    (ウ)         ∀z(師za→z=y)→∀y(師ya→如ay)    3イCP
   エ  (エ)                    ∃y(師ya&~如ay)    A(ウでMTT、シでCPがしたい)
    オ (オ)                       師ba&~如ab     A(エの代表的選言項)
    オ (カ)                     ~(~師ba∨如ab)    オ、ド・モルガンの法則
    オ (キ)                      ~(師ba→如ab)    カ含意の定義
    オ (ク)                    ∃y~(師ya→如ay)    キEI
   エ  (ケ)                    ∃y~(師ya→如ay)    エオクEE
   エ  (コ)                    ~∀y(師ya→如ay)    ケ量化子の関係
 2 エ  (サ)                    ~∀z(師za→z=y)    ウコMTT
 2    (シ)         ∃y(師ya&~如ay)→~∀z(師za→z=y)  エサCP
 2    (ス)        ~∃y(師ya&~如ay)∨~∀z(師za→z=y)  含意の定義
 2    (セ)       ~[∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]  ス、ド・モルガンの法則
     ソ(ソ)    弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]  A(ツのRAAがしたい)
 2   ソ(タ)        [∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]  2ソMPP
 2   ソ(チ)       ~[∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]&
                 [∃y(師ya&~如ay)&∀z(師za→z=y)]  セタ&I
 2    (ツ)  ~{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]} ソチRAA(目標達成)
 2    (テ)∃x~{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]} ツEI
1     (ト)∃x~{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]} 12テEE
1     (ナ)~∀x{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]} ト量化子の関係
従って、
(10)により、
(11)
② ~∀x{弟子x→[ ∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]}
③  ∃x{弟子x&[~∃z(師zx& z≠y)→∀y(師yx→如xy)]}
に於いて、すなはち、
②{すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師匠であって、 xはyに及ばず、すべてのzについて、zがxの師匠であるならば、zとyは同一である。}といふことはない。
③ ある{xは弟子であって、xの師匠は、y以外にはゐないものの、すべてのyについて、yがxの師匠であるならば、xはyに及んでゐる}。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(12)
③ ある{xは弟子であって、xの師匠は、y以外にはゐないものの、すべてのyについて、yがxの師匠であるならば、xはyに及んでゐる}。
といふことは、
③ yといふ、一人の師匠の弟子の中には、そのyに劣らない、xといふ、弟子がゐる。
といふことである。
従って、
(08)(11)(12)により、
(13)
① 弟子不必不如師=
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は、必ずしも、師匠に及ばない。といふわけではない(師の説 韓愈)。
といふ「漢文」は、
② ~∀x{弟子x→[ ∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]}
③  ∃x{弟子x&[~∃z(師zx& z≠y)→∀y(師yx→如xy)]}
といふ「述語論理(Predicate logic)」に、対応する。
然るに、
(14)
「昨日(令和02年02月28日)」で説明した通り、例へば、
① 學而不思則罔(学びて思はざれば、すなはち、罔し)。
② 學&~思→罔(學であって、思でないならば、罔である)。
に於いて、
① の「 漢文 」と、
② の「論理式」は、「完全に等しい」。
然るに、
(15)
① 弟子不必不如師。
② ~∀x{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]}
に於いて、
① の「 漢文 」と、
② の「論理式」は、「全く、見た目が違ふ」。
然るに、
(16)
それでは、狭義の述語論理において究極的な主語となるものは何であろうか。それは「人間」というような一般的なものではない。また「ソクラテス」も述語になりうるし、「これ」すらも「これとは何か」という問に対して「部屋の隅にある机がこれです」ということができる。
そこで私たちは主語を示す変項x、yを文字通りに解釈して、「或るもの」(英語で表現するならば something)とか、「他の或るもの」というような不定代名詞にあたるものを最も基本的な主語とする。そこで「ソクラテスは人間である」といふ一つの文は、
 (xはソクラテスである)(xは人間である)
という、もっとも基本的な 主語-述語 からなる二つの文の特定の組み合わせと考えることができる。すなわち、
 SはPである。
という一般的な 主語-述語文は、
 Fx Gx
という二つの文で構成されていると考える。そしてこの場合、Fx はもとの文の主語に対応し、Gx は述語に対応していることがわかる。
(沢田充茂、現代論理学入門、1962年、118・119頁)
従って、
(16)により、
(17)
述語論理(Predicate logic)」の場合は、一つには
 SはPである。
という一般的な 主語-述語文であっても、
 Fx(xはFである)
 Gx(xはGである)
という二つの文で構成されていると考える。が故に、
① 弟子不必不如師。
② ~∀x{弟子x→[∃y(師yx&~如xy)&∀z(師zx→z=y)]}
に於いて、
① の「 漢文 」と、
② の「論理式」は、「全く、見た目が違ふ」。
といふ、ことになる。
(18)
以前に書いた、{「師の説(韓愈)」の「述語論理」}に関しては、無かったことに、して貰へると、助かります。
令和02年02月29日、毛利太。

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