2020年2月2日日曜日

「パースの法則」の、「自然演繹」による「3通りの証明」。

(01)
排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
任意の命題P, Qについて、
((P→Q)→P)→P
が成り立つ
『「PならばQ」ならばP』ならばP
なんか、パズルのような命題ですね。
(排中律、二重否定の除去、パースの法則 - Qiita)
然るに、
(02)
5 原始的規則あるい導出された規則を、既に証明されたどのような連式あるいは定理とでも、ともに用いて、証明せよ。
5 Using primitive or derived rules, together with any sequents or theorems already proved, prove;
(c)├((P→Q)→P)→P 
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、80頁と、原文)
cf.
ただし、「E.J.レモン、論理学初歩」には、「練習問題の解答」は、載ってゐません。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1   (1)  (P→ Q)→P   A
1   (2) ~(P→ Q)∨P   1含意の定義 
 3  (3) ~(P→ Q)     A
  4 (4)  ~P∨ Q      A
  4 (5)   P→ Q      3含意の定義
 34 (6) ~(P→ Q)&
         (P→ Q)     5&I
 3  (7)~(~P∨ Q)     46RAA
 3  (8)   P&~Q      7ド・モルガンの法則
 3  (9)   P         8&I
   ア(ア)         P   A
1   (イ)   P         239アア∨E
    (ウ) ((P→Q)→P)→P 1イCP
    (〃)((PならばQ)ならばP)ならばP。
(ⅱ)
   (1)   ~P∨P        TI(排中律)
2  (2)   ~P          A
2  (3)   ~P∨Q        2∨I
2  (4)    P→Q        2含意の定義
2  (5)   (P→Q)&~P    24&I
2  (6)~(~(P→Q)∨ P)   5ド・モルガンの法則
 9 (7)   (P→Q)→ P    A
 9 (8)  ~(P→Q)∨ P    7含意の定義
49 (9)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   68&I
4  (ア) ~((P→Q)→ P)   79RAA
4  (イ) ~((P→Q)→ P)∨P ア∨I
  ウ(ウ)      P        A
  ウ(エ) ~((P→Q)→ P)∨P ウ∨I
   (オ) ~((P→Q)→ P)∨P 12イウエ∨E
   (カ)  ((P→Q)→ P)→P オ含意の定義
   (〃)  ((PならばQ)ならばPならば)Pである。
(ⅲ)
1       (1)  (P→ Q)→P     A
 2      (2) ~(P&~Q)       A
  3     (3)   P           A
   4    (4)     ~Q        A
  34    (5)   P&~Q        34&I
 234    (6) ~(P&~Q)&
             (P&~Q)       25&I
 23     (7)    ~~Q        46RAA
 23     (8)      Q        7DN
 2      (9)   P→ Q        38CP
        (ア) ~(P&~Q)→(P→Q) 29CP
    イ   (イ) ~(P&~Q)       A
1   イ   (ウ)         (P→Q) アイMPP
1   イ   (エ)          P    1ウMPP
1       (オ) ~(P&~Q)→ P    イエCP
     カ  (カ) ~(P&~Q)&~P    A
     カ  (キ) ~(P&~Q)       カ&E
1    カ  (ク)          P    オキMPP
     カ  (ケ)         ~P    カ&E
1    カ  (コ)       P&~P    クケ&I
1       (サ)~~(P&~Q)       カコDN
1       (シ)  (P&~Q)∨ P    サ∨I
      ス (ス)   P&~Q        A
      ス (セ)   P           ス&E
       ソ(ソ)          P    A
1       (タ)          P    シスセソソ∨E
        (チ)((P→Q)→P)→P    1タCP
        (〃)((PならばQ)ならばPならば)Pである。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「パースの法則」の「証明」は、
(ⅰ)12行の「計算」
(ⅱ)15行の「計算」
(ⅲ)26行の「計算」
による、少なくとも、「3通りの証明」が有ることになる。
然るに、
(05)
今の場合は、
5 原始的規則あるい導出された規則を、既に証明されたどのような連式あるいは定理とでも、ともに用いて、証明せよ。
5 Using primitive or derived rules, together with any sequents or theorems already proved, prove;

兎にも角にも、証明せよ。
(c)├((P→Q)→P)→P
といふ「出題」であったものの、
原始的規則のみによって証明せよ
5 Prove by primitive rules alone:
といふことであれば、
① 仮定(A)
② 前件肯定(MPP)
③ 後件否定(MTT)
④ 二重否定(DN)
⑤ 条件法的証明(CP)
⑥ 連言導入(&I)
⑦ 連言除去(&E)
⑧ 選言導入(∨I)
⑨ 選言除去(∨E)
⑩ 背理法(RAA)
含意の定義
⑫ ド・モルガンの法則
から、
⑪ 含意の定義
ド・モルガンの法則
といふ「定理(Theorems)」が除かれるため、
(ⅰ)12行の「計算」は、「含意の定義・ド・モルガンの法則」を、計3回、使ってゐる。
(ⅱ)15行の「計算」は、「含意の定義・ド・モルガンの法則」を、計4回、使ってゐる。
(ⅲ)26行の「計算」は、「含意の定義・ド・モルガンの法則」を、1度も使ってゐない。
といふことから、
(ⅲ)26行の「計算」だけが、「正解」である。
従って、
(05)により、
(06)
5 次の連式を、原始的規則のみによって証明せよ
5 Prove the following sequent by primitive rules alone:
(c)├((P→Q)→P)→P
といふことであれば、3つの中では、
(ⅲ)
1       (1)  (P→ Q)→P     A
 2      (2) ~(P&~Q)       A
  3     (3)   P           A
   4    (4)     ~Q        A
  34    (5)   P&~Q        34&I
 234    (6) ~(P&~Q)&
             (P&~Q)       25&I
 23     (7)    ~~Q        46RAA
 23     (8)      Q        7DN
 2      (9)   P→ Q        38CP
        (ア) ~(P&~Q)→(P→Q) 29CP
    イ   (イ) ~(P&~Q)       A
1   イ   (ウ)         (P→Q) アイMPP
1   イ   (エ)          P    1ウMPP
1       (オ) ~(P&~Q)→ P    イエCP
     カ  (カ) ~(P&~Q)&~P    A
     カ  (キ) ~(P&~Q)       カ&E
1    カ  (ク)          P    オキMPP
     カ  (ケ)         ~P    カ&E
1    カ  (コ)       P&~P    クケ&I
1       (サ)~~(P&~Q)       カコDN
1       (シ)  (P&~Q)∨ P    サ∨I
      ス (ス)   P&~Q        A
      ス (セ)   P           ス&E
       ソ(ソ)          P    A
1       (タ)          P    シスセソソ∨E
        (チ)((P→Q)→P)→P    1タCP
        (〃)((PならばQ)ならばPならば)Pである。
だけが「正解」であって、「他の2つ」は、「含意の定義ド・モルガンの法則」を「計算」の中で、「証明」する分、どの途、()よりは、「長く」なる。
令和02年02月02日、毛利太。

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