2021年5月10日月曜日

「犯人が甲でないならば、乙が犯人である。」の「述語論理」。

(01)
① 犯人は、甲か乙である。
② 犯人が、甲でないならば、乙犯人である。
に於いて、
①=② である。
といふことは、「当然」である。
然るに、
(02)
1 一階述語論理の完全性
トートロジーは証明可能である。これが、一階述語論理の完全性定理とよばれる有名な定理です。
ゲーデルによって証明されましたので、ゲーデルの完全性定理ともよばれています(1 一階述語論理の完全性)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∀x(犯人x→ 甲x∨乙x)
② ∀x(犯人x&~甲x→乙x&犯人x)
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて(xが犯人であるならば、xは甲であるか、xは乙である)。
② すべてのxについて(xが犯人であって、xが甲でないならば、xは乙であって、xは犯人である)。
に於いて、
① ならば、② である。
② ならば、① である。
といふことは、「証明可能」である。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1       (1) ∀x(犯人x→甲x∨乙x)     A
1       (2)    犯人a→甲a∨乙a      1UE
 3      (3)    犯人a            A
13      (4)        甲a∨ 乙a     23MPP
  5     (5)       ~甲a&~乙a     A
   6    (6)        甲a         A
  5     (7)       ~甲a         5&E
  56    (8)        甲a&~甲a     67&I
   6    (9)     ~(~甲a&~乙a)    58RAA
    ア   (ア)            乙a     A
  5     (イ)           ~乙a     5&E
  5 ア   (ウ)        乙a&~乙a     アイ&I
    ア   (エ)     ~(~甲a&~乙a)    5ウRAA
13      (オ)     ~(~甲a&~乙a)    469アエ∨E
     カ  (カ)       ~甲a         A
      キ (キ)           ~乙a     A
     カキ (ク)       ~甲a&~乙ア     カキ&I
13   カキ (ケ)     ~(~甲a&~乙a)&
                 (~甲a&~乙a)    オク&I
13   カ  (コ)          ~~乙a     キケRAA
13   カ  (サ)            乙a     コDN
13      (シ)        ~甲a→乙a     カサCP
1       (ス)   犯人a→(~甲a→乙a)    3シCP
       セ(セ)   犯人a& ~甲a        A
       セ(ソ)   犯人a             セ&E
       セ(タ)        ~甲a        セ&E
1      セ(チ)        ~甲a→乙a     スソMPP
1      セ(ツ)            乙a     タチMPP
1      セ(テ)        乙a&犯人a     ソツ&I
1       (ト)   犯人a&~甲a→乙a&犯人a  セテCP
1       (ナ)∀x(犯人x&~甲x→乙x&犯人x) トUI
(ⅱ)
1       (1)∀x(犯人x&~甲x→乙x&犯人x) A
1       (2)   犯人a&~甲a→乙a&犯人a  1UE
 3      (3)   犯人a             A
  4     (4)       ~甲a         A
 34     (5)   犯人a&~甲a         34&I
134     (6)           乙a&犯人a  25MPP
134     (7)           乙a      6&E
13      (8)       ~甲a→乙a      47CP
1       (9)  犯人a→(~甲a→乙a)     38CP
   ア    (ア)  犯人a              A
1  ア    (イ)       ~甲a→乙a      9アMPP
1  ア    (ウ)        甲a∨乙a      イ含意の定義
1       (エ)    犯人a→甲a∨乙a      アウCP
1       (オ) ∀x(犯人x→甲x∨乙x)     エUI
従って、
(03)(04)により、
(05)
果たして、
① ∀x(犯人x→ 甲x∨乙x)
② ∀x(犯人x&~甲x→乙x&犯人x)
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)により、
(06)
① 犯人は、甲か乙である。従って、
② 犯人が、甲(乙以外)でないならば、乙犯人である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
① ∀x(犯人x→ 甲x∨乙x)
② ∀x(犯人x&~甲x→乙x&犯人x)
といふ「論理式」に於ける、
② 乙x&犯人x
といふ「論理式」自体は、
② xは乙であって、xは犯人である。
といふ「意味」であるため、
① 乙犯人である。
② 乙が犯人である。
に於いて、
① であっても、「良い」ことになる。
cf.
① 乙 is a 犯人。
② 乙 is the 犯人。
然るに、
(08)
① 甲でないならば、乙は犯人である。
② 甲でないならば、乙犯人である。
に於いて、「普通」は、
① ではなく
である
然るに、
(09)
① 乙は犯人である=乙は犯人である。
② 乙犯人である=乙以外は犯人ではない
とするならば、
① 甲でないならば、乙は犯人である(乙は犯人である)。
② 甲でないならば、乙犯人である(乙以外は犯人ではない)。
に於いて、
① であるよりも、
② である方が、「自然」である。
といふ、ことになる。
(09)により、
(10)
① 甲でないならば、乙は犯人である(乙は犯人である)。
② 甲でないならば、乙犯人である(乙以外は犯人ではない)。
に於いて、
① であるよりも、
② である方が、「自然」である。
といふ「理由」は、
① 乙は犯人である=乙は犯人である。
② 乙犯人である=乙以外は犯人ではない
であるからである。
といふ風に、考へることが、「可能」である。
令和03年05月10日、毛利太。

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