―「昨日(令和03年05月17日)の記事」を書き直します。―
(01)
三上はこれを文型として登録すべきであると、主張しています。
象をAに、鼻をBに、長いをCに変え、文型の公式として、
Aは、BがCだ。
を作っておきます。すると、この公式に当てはまる文は、たいてい機械的にパラフレーズできます。
二辺の平方の和が第三辺の平方の和に等しい三角形は、第三辺に対する角が直角である。
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、215頁)
従って、
(01)により、
(02)
① 象は鼻が長い。
② 太陽系は、地球が第三惑星である。
③ 二辺の平方の和が第三辺の平方の和に等しい三角形は、第三辺に対する角が直角である。
といふ「日本語」は、
① Aは、BがCだ。
といふ「公式」に対する、「代入例(Sustitution instances)」である。
然るに、
(03)
固より、
② 地球=太陽系の第三惑星
② 太陽系の第三惑星=地球
であって、
② 地球=太陽系の第三惑星
② 太陽系の第三惑星=地球
といふことは、
② 地球以外は、太陽系の第三惑星ではない。
といふことに、他ならない。
然るに、
(04)
③ 二辺の平方の和が第三辺の平方の和に等しい三角形は、第三辺に対する角が直角である(三平方の定理)。
とするならば、
③ 他の二角は、「直角」ではなく、
③ 他の二角は、「直角」ではないのであれば、
③「三角形」の 「直角」は、「1つしか無い」。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① 象は鼻が長い。
といふ「象鼻文」を含めて、
① Aは、BがCだ。
② Aは、BはCであり、B以外はCではない。
に於いて、
①=② である。
はずである。
然るに、
(06)
1 (1)∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(第三惑星zx&z≠y)]} A
1 (2) 太陽系a→∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(第三惑星za&z≠y)] 1UE
1 (3) 太陽系a A
13 (4) ∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(第三惑星za&z≠y)] 23MPP
5 (5) 地球b&第三惑星ba&~∃z(第三惑星za&z≠b) A
5 (6) 地球b&第三惑星ba 5&E
5 (7) ~∃z(第三惑星za&z≠b) 5&E
5 (8) ∀z~(第三惑星za&z≠b) 7量化子の関係
5 (9) ~(第三惑星ca&c≠b) 8UE
5 (ア) ~第三惑星ca∨c=b 9ド・モルガンの法則
5 (イ) 第三惑星ca→c=b ア含意の定義
ウ (ウ) ∃z(火星z&~地球z) A
エ (エ) 火星c&~地球c A
エ (オ) 火星c エ&E
エ (カ) ~地球c エ&E
キ(キ) b=c A
エキ(ク) ~地球b カキ=E
5 (ケ) 地球b 6&E
5 エキ(コ) ~地球b&地球b クケ&I
5 エ (サ) b≠c キコRAA
5 エ (シ) ~第三惑星ca イサMTT
5 エ (ス) 火星c&~第三惑星ca オシ&I
5 エ (セ) ∃z(火星z&~第三惑星za) スEI
5ウ (ソ) ∃z(火星z&~第三惑星za) ウエセEE
13 ウ (タ) ∃z(火星z&~第三惑星za) 45ソEE
1 ウ (チ) 太陽系a→∃z(火星z&~第三惑星za) 3タCP
1 ウ (ツ)∀x{太陽系x→∃z(火星z&~第三惑星zx)} チUI
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(第三惑星zx&z≠y)]}
(ⅱ)∃z(火星z&~地球z)
(ⅲ)∀x{太陽系x→∃z(火星z&~第三惑星zx)}
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは[地球であって、xの第三惑星であって、(xの第三惑星であって、yでない)といふ、そのやうなzは存在しない]}。
(ⅱ)あるzは(火星であって、zは地球ではない。)
(ⅲ)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるzは(火星であって、zはxの第三惑星ではない)。}
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
(ⅰ)太陽系は、地球は、第三惑星であって、地球以外に第三惑星は存在しない。然るに、
(ⅱ)火星は、 地球ではない。従って、
(ⅲ)太陽系は、火星は第三惑星ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(09)
① 地球は、第三惑星であって、地球以外は第三惑星ではない。⇔
① ∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(第三惑星zx&z≠y)]
に於ける「地球・第三惑星」を、「英語」では、「確定記述(definite description)」といふ。
従って、
(10)
① the earth.
① the third planet.
のやうな「the 単数名詞」を、「確定記述」といふものの、
さて定冠詞(the)は、それが厳密に用いられるときには、一意性(uniqueness)を内含している。確かに、しかじかのひと(So-and-so)がいく人かの息子もっている場合でさえ、「the so of So-and-so」という表現を使用するが、本当はその場合には、「a so of So-and-so」という方がより正しいといえよう。それ故、われわれの目的のためには、the は一意性を内含しているものと考えていく。
(勁草書房、現代哲学基本論文集Ⅰ、バートランド・ラッセル、指示について、1986年、53頁)
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 太陽系は、地球が第三惑星である。
といふ「日本語」が、「英語」では、
① Speaking of the solar system,the earth is the third planet.
といふ風に、「翻訳」されるのであれば、
① Speaking of the solar system,the earth is the third planet.
といふ「英語」は、
① Other than the earth, it is not the third planet of the solar system.
といふ「意味」になり、それ故、
① 太陽系は、地球が第三惑星である。
といふ「日本語」は、
① 太陽系は、地球が第三惑星であって、地球以外は第三惑星ではない。
といふ、「意味」なる。
従って、
(06)~(11)により
(12)
① 太陽系は、地球が第三惑星である。⇔
① Speaking of the solar system,the earth is the third planet.⇔
① ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(第三惑星zx&z≠y)]}⇔
① すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは[地球であって、xの第三惑星であって、(xの第三惑星であって、yでない)といふ、そのやうなzは存在しない]}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(13)
1 (1)∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&∀z(第三惑星zx→y=z)]} A
1 (2) 太陽系a→∃y[地球y&第三惑星ya&∀z(第三惑星za→y=z)] 1UE
3 (3) 太陽系a A
13 (4) ∃y[地球y&第三惑星ya&∀z(第三惑星za→y=z)] 23MPP
5 (5) 地球b&第三惑星ba&∀z(第三惑星za→b=z) A
5 (6) 地球b&第三惑星ba 5&E
5 (7) ∀z(第三惑星za→b=z) 5&E
5 (8) 第三惑星ca→b=c 7UE
9 (9) ∃z(火星z&~地球z) A
ア (ア) 火星c&~地球c A
ア (イ) 火星c ア&E
ア (ウ) ~地球c ア&E
エ(エ) b=c A
アエ(オ) ~地球b ウエ=E
5 (カ) 地球b 6&E
5 アエ(キ) ~地球b&地球b オカ&I
5 ア (ク) b≠c エキRAA
5 ア (ケ) ~第三惑星ca 8クMTT
5 ア (コ) 火星c&~第三惑星ca イケ&I
5 ア (サ) ∃z(火星z&~第三惑星za) コEI
59 (シ) ∃z(火星z&~第三惑星za) 9アサEE
13 9 (ス) ∃z(火星z&~第三惑星za) 45シEE
1 9 (セ) 太陽系a→∃z(火星z&~第三惑星za) 3スCP
1 9 (シ)∀x{太陽系x→∃z(火星z&~第三惑星zx)} セUI
従って、
(12)(13)により、
(14)
① ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(第三惑星zx&z≠y)]}
② ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx& ∀z(第三惑星zx→y=z)]}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(15)
(ⅱ)
1 (1) ∀z(第三惑星zx→y=z) A
1 (2) 第三惑星cx→y=c 1UE
2(3) y≠c A
12(4) ~第三惑星cx 23MTT
1 (5) y≠c→~第三惑星cx 24CP
1 (6)∀z(y≠z→~第三惑星zx) 5UI
(ⅲ)
1 (1)∀z(y≠z→~第三惑星zx) A
1 (2) y≠c→~第三惑星cx 1UE
3(3) 第三惑星cx A
3(4) ~~第三惑星cx 3DN
13(5) ~(y≠c) 24MTT
13(6) y=c 5DN
1 (7) 第三惑星cx→y=c 36CP
1 (8) ∀z(第三惑星zx→y=z) 7UI
従って、
(15)により、
(16)
② ∀z( 第三惑星zx→y=z)
③ ∀z(y≠z→~第三惑星zx)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
① ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z( 第三惑星zx&z≠y)]}
② ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx& ∀z( 第三惑星zx→y=z)]}
③ ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx& ∀z(y≠z→~第三惑星zx)]}
に於いて、
①=②=③ である。
(18)
「象鼻文」の場合は、
④ 象は鼻が長い。⇔
④ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。⇔
④ Elephants have long noses, but no other parts of them are not long.⇔
④ すべてxのxについて{xが象ならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。
である。
令和03年05月18日、毛利太。
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