2019年7月20日土曜日

「私が大野です(大野は私です)。」の「述語論理」。

― 長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

(01)
「私は、1人しかゐない。」
従って、
(01)により、
(02)
大野は私です。」と、言ふのであれば、
「私以外は大野ではない。」
然るに、
(03)
大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、
②と③ は「対偶(Contraposition)」である。
cf.
② 大野ならば私である(A→B)。
③ 私でなければ大野ではない(~B→~A)。
従って、
(03)により、
(04)
大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、必然的に、
②=③ である。
然るに、
(05)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 私大野です。
大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
④ 私(大野さん)以外にも、大野さんや、大野さん。
がゐる場合には、
① 私大野です。
大野は私です。
とは、言はずに、
④ 私大野ですが、・・・・・・。
といふ風に、答へることになる。
従って、
(06)(07)により、
(08)
「大野さんはどちらですか」といふ問ひに対して、
① 私大野です。
大野は私です。
と答へた「理由」は、
③ 私以外は、大野ではない
といふことを、「言はんがため」であるといふ風に、考へることが出来る。
従って、
(05)(08)により、
(09)
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをで承けた。
といふ「説明」は、「不要」である。
然るに、
(10)
(ⅰ)∃x{私x&大野x& ∀y(大野y→x=y)}⇔
(〃)あるxは私であり、大野であり、すべてのyについて、yが大野であるならば、xとyは同一人物である。
とするならば、
③ 私以外は大野ではない
といふ「意味」になる。
(11)
(ⅱ)∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)}⇔
(〃)あるxは私であり、大野であり、あるyが大野であって、xとyは同一人物でないといふことはない
とするならば、
③ 私以外は大野ではない
といふ「意味」になる。
然るに、
(12)
(ⅰ)
1    (1)∃x{私x&大野x& ∀y(大野y→x=y)} A
 2   (2)   私a&大野a& ∀y(大野y→a=y)  A
 2   (3)   私a&大野a                2&E
 2   (4)            ∀y(大野y→a=y)  2&E
 2   (5)               大野b→a=b   4UE
 2   (6)              ~大野b∨a=b   5含意の定義
  7  (7)               大野b&a≠b   A
   8 (8)              ~大野b       A
  7  (9)               大野b       7&E
  78 (ア)              ~大野b&大野b   89&I
    8 (イ)             ~(大野b&a≠b)  7アRAA
    ウ(ウ)                   a=b   A
  7  (エ)                   a≠b   7&I
  7 ウ(オ)                   a=b&a≠b   ウエ&I
    ウ(カ)               ~(大野b&a≠b)  7オRAA
 2   (キ)               ~(大野b&a≠b)   28イウカ∨E
 2   (ク)             ∀y~(大野y&a≠y)  キUI
 2   (ケ)             ~∃y(大野y&a≠y)  ク含意の定義
 2   (コ)    私a&大野a&~∃y(大野y&a≠y)  3ケ&I
 2   (サ)∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)} コEI
1    (シ)∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)} 12サEE
(ⅱ)
1    (1)∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)} A
 2   (2)   私a&大野a&~∃y(大野y&a≠y)  A
 2   (3)   私a&大野a               2&E
 2   (4)          ~∃y(大野y&a≠y)  2&E
 2   (5)          ∀y~(大野y&a≠y)  4含意の定義
 2   (6)            ~(大野b&a≠b)  5UE
 2   (7)           ~大野b∨~(a≠b)  6ド・モルガンの法則
 2   (8)             ~大野b∨a=b   7DN
 2   (9)              大野b→a=b   8含意の定義
 2   (ア)           ∀y(大野y→a=y)  9UI
 2   (イ)   私a&大野a& ∀y(大野y→a=y)  3ア&I
 2   (ウ)∃x{私x&大野x& ∀y(Fy→x=y)}  イEI
1    (エ)∃x{私x&大野x& ∀y(Fy→x=y)}  12ウEE
然るに、
(12)により、
(13)
実際に、
① ∃x{私x&大野x& ∀y(大野y→x=y)}
② ∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)}
①=② である。
従って、
(06)(10)(11)(13)により、
(14)
① 私大野です。
大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
といふ「日本語」は、
① ∃x{私x&大野x& ∀y(大野y→x=y)}
② ∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)}
といふ「述語論理」に、相当する。
令和元年07月20日、毛利太。

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