2019年7月4日木曜日

数学原理(PM)の5つの公理と、選言導入の規則。

― 長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

(01)
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドとバートランド・ラッセルの、数学原理(Principia Mathematica)における公理
(Ⅰ)(P∨P)→P
) Q→(P∨Q)
(Ⅲ)(P∨Q)→(Q∨P)
(Ⅳ) P∨(Q∨R)→Q∨(P∨R)
(Ⅴ)(Q→R)→(P∨Q→P∨R)
(沢田 允茂、現代論理学入門 、岩波新書 青版 C-14 新書、1962/5/2、173頁改)
然るに、
(02)
これらの「5つの公理」を、「自然演繹(E.J.レモン)」で、「証明」すると、次の通りである。
(Ⅰ)
1  (1)P∨P A
 2 (2)P   A
  3(3)  P A
1  (4)P   12233∨E
(Ⅱ)
1(1)Q   A
1(2)P∨Q 1∨I
(Ⅲ)
1  (1)P∨Q A
 2 (2)P   A
 2 (3)Q∨P 2∨I
  4(4)  Q A
  4(5)Q∨P 4∨I
1  (6)Q∨P 12345∨E
(Ⅳ)
1    (1)P∨(Q∨R) A
 2   (2)P       A
 2   (3)P∨R     2∨I
 2   (4)Q∨(P∨R) 3∨I
  5  (5)   Q∨R  A
   6 (6)   Q    A
   6 (7)Q∨(P∨R) 6∨I
    8(8)     R  A
    8(9)   P∨R  8∨I
    8(ア)Q∨(P∨R) 9∨I
  5  (イ)Q∨(P∨R) 5678ア∨E
1    (ウ)Q∨(P∨R) 1245イ∨E
(Ⅴ)
1   (1)Q→R       A
 2  (2)P∨Q       A
  3 (3)P         A
  3 (4)P∨R       3∨I
   5(5)  Q       A
1  5(6)  R       15MPP
1  5(7)P∨R       6∨I
12  (8)P∨R       23457∨E
1   (9)P∨Q→P∨R   28CP
    (ア)(Q→R)→
       (P∨Q→P∨R) 19CP
然るに、
(03)
例(選言導入
以下の推論について考えます。
今日は雨が降っている。ゆえに、今日は雨が降っているか、バカボンのパパは天才である。
命題変Q,Pを、
 Q:今日は雨が降っている。
 P:バカボンのパパは天才である。
とおくと、先の推論は、
 Q→(P∨Q)
と定式化されます。選言導入より、これは妥当な推論です。
(Webサイト;WIIS改)
従って、
(01)(03)により、
(04)
 Q→(P∨Q)
すなはち、「前言導入の規則∨I)」は、「数学原理の、5つの公理」の中に、「2番目」そのものである。
加へて、
(02)により、
(05)
(Ⅰ)(P∨P)→P
を除く、
(Ⅱ) Q→(P∨Q)
(Ⅲ)(P∨Q)→(Q∨P)
(Ⅳ) P∨(Q∨R)→Q∨(P∨R)
(Ⅴ)(Q→R)→(P∨Q→P∨R)
といふ「4つの公理」は、すべて、
(Ⅱ)今日は雨が降っている。ゆえに、今日は雨が降っているか、バカボンのパパは天才である。
といふ「選言導入の規則∨I)」によって、「証明」される。
従って、
(04)(05)により、
(06)
(Ⅱ)今日は雨が降っている。ゆえに、今日は雨が降っているか、バカボンのパパは天才である。
といふ「選言導入の規則∨I)」は、「ヲカシナ規則」であるとしても、「無くてはならない規則」である。
といふ、ことになる。
令和元年07月04日、毛利太。

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