2019年7月12日金曜日

「鼻は象が(も)長い。」の「述語論理」。

tt> ― 長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

(01)
{象、兎、馬、キリン}を「変域(ドメイン)」とすると、
「鼻は象長く、耳は兎長く、顔は馬長く、首はキリン長い。」
従って、
(01)により、
(02)
① 鼻は、象長い。⇔
① 鼻は、象は長く、象以外(兎、馬、キリン)は長くない。⇔
① ∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x}⇔
① すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。
然るに、
(03)
1   (1)∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x} A
 2  (2)  ∃x∃y(鼻xy&象y)                   A
1   (3)     (鼻ay&象y)→長a&(鼻ay&~象y)→~長a  1UE
1   (4)     (鼻ab&象b)→長a&(鼻ab&~象b)→~長a  1UE
1   (5)          (鼻ab&象b)→長a                                4&E
  6 (6)   ∃y(鼻ay&象y)                   A
   7(7)      鼻ab&象b                    A
1  7(8)              長a                57MPP
1  7(9)      象b&鼻ab                    7交換法則
1  7(ア)      象b&鼻ab&長b                 79&I
1  7(イ)   ∃y(象y&鼻ay&長y)                アEI
1 6 (ウ)   ∃y(象y&鼻ay&長y)                67イEE
1 6 (エ) ∃x∃y(象y&鼻xy&長y)                ウEI
12  (オ) ∃x∃y(象y&鼻xy&長y)                26エEE
従って、
(02)(03)により、
(04)
(1)すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。 然るに、
(2)あるxとあるyについて、xはyの鼻であって、yは象である。 従って、
(3)あるxとあるyについて、yは象であり、xはyの鼻であって、長い。
従って、
(04)により、
(05)
(1)鼻は象長い。 然るに、
(2)象には鼻がある。従って、
(エ)ある象の鼻は長い。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
「鼻は象長い。然るに、象には鼻がある。従って、象の鼻は長い。」
といふ「推論」は、「日本語」としても、「述語計算」としても、「妥当」である。
(07)
1    (1)∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x} A
 2   (2)  ∃x∃y(耳xy&兎y&~象y&長x)            A
1    (3)     (鼻ay&象y)→長a&(鼻ay&~象y)→~長a  1UE
1    (4)     (鼻ab&象b)→長a&(鼻ab&~象b)→~長a  1UE
1    (5)                 (鼻ab&~象b)→~長a  4&E
  6  (6)   ∃y(耳ay&兎y&~象y&長a)            A
   7 (7)      耳ab&兎b&~象b&長a             A
   7 (8)      耳ab                       7&E
   7 (9)          兎b                    7&E
   7 (ア)             ~象b                7&E
   7 (イ)                 長a             7&E
   7 (ウ)               ~~長a             イDN
1  7 (エ)                ~(鼻ab&~象b)      5ウMTT
    8(オ)                  鼻ab           A
   78(カ)                  鼻ab&~象b       アオ&I
1  78(キ)                ~(鼻ab&~象b)&
                         (鼻ab&~象b)      エカ&I
1  7 (ク)                 ~鼻ab           エキRAA
   7 (ケ)      兎b&耳ab                    89&I
1  7 (コ)      兎b&耳ab&~鼻ab               クケ&I
1  7 (サ)   ∃y(兎y&耳ay&~鼻ay)              コEI
1 6  (シ)   ∃y(兎y&耳ay&~鼻ay)              67サEE
1 6  (ス) ∃x∃y(兎y&耳xy&~鼻xy)              シEI
12   (シ) ∃x∃y(兎y&耳xy&~鼻xy)              26スEE
従って、
(02)(07)により、
(08)
(1)すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。 然るに、
(2)あるxとあるyについて、xはyの耳であって、yは兎であって、象ではなく、xは長い。 従って、
(シ)あるxとあるyについて、yは兎であって、xはyの耳であって、xはyの鼻ではない。
従って、
(08)により、
(09)
(1)鼻は象長い。 然るに、
(2)兎には長い耳があり、兎は象ではない。 従って、
(3)兎の耳は鼻ではない。
然るに、
(10)
① 兎が象ではなく
② 兎の耳が鼻であって、
③ 兎の耳()が長い。
といふのであれば、
④ 鼻は象が長い=象以外(兎、馬、キリン)の鼻は長くない
といふことには、ならない。
従って、
(10)により、
(11) 
① 兎が象ではなく、
③ 兎の耳が長く、
④ 鼻は象長い=象以外(兎、馬、キリン)の鼻は長くない
といふのであれば、
② 兎の耳が鼻であっては、ならない。
従って、
(07)~(11)により、
(12)
「鼻はが長い。然るに、ある兎には長い耳があり、兎は象ではない。従って、ある兎の耳は鼻ではない。」
といふ「推論」は、「日本語」としても、「述語計算」としても、「妥当」である。
従って、
(01)~(12)により、
(13)
① 鼻は、象が長い。⇔
① 鼻は、象は長く、象以外(兎、馬、キリン)は長くない。⇔
① ∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x}⇔
① すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。
といふ「等式」は、「正しい」。
然るに、
(14)
(ⅱ)
1   (1)~∀x∀y{ (鼻xy&象y)→長x &  (鼻xy&~象y)→~長x}  A
1   (2)∃x~∀y{ (鼻xy&象y)→長x &  (鼻xy&~象y)→~長x}  1量化子の関係
1   (3)∃x∃y~{ (鼻xy&象y)→長x &  (鼻xy&~象y)→~長x}  2量化子の関係
 4  (4)  ∃y~{ (鼻ay&象y)→長a &  (鼻ay&~象y)→~長a}  A
  5 (5)    ~{ (鼻ab&象b)→長a &  (鼻ab&~象b)→~長a}  A
  5 (6)     ~[(鼻ab&象b)→長a]∨~[(鼻ab&~象b)→~長a]  5ド・モルガンの法則
  5 (7)      [(鼻ab&象b)→長a]→~[(鼻ab&~象b)→~長a]  6含意の定義
   8(8)      [(鼻ab&象b)→長a]                   A
  58(9)                    ~[(鼻ab&~象b)→~長a]  78MPP
  58(ア)                   ~[~(鼻ab&~象b)∨~長a]  9含意の定義
  58(イ)                   ~~(鼻ab&~象b)&~~長a   ア、ド・モルガンの法則
  58(ウ)                     (鼻ab&~象b)&  長a   イDN
  5 (エ)      [(鼻ab&象b)→長a]→[(鼻ab&~象b)&長a]    8ウCP
  5 (オ)   ∃y{[(鼻ay&象y)→長a]→[(鼻ay&~象y)&長a]}   エEI
 4  (カ)   ∃y{[(鼻ay&象y)→長a]→[(鼻ay&~象y)&長a]}   45オEE
 4  (キ) ∃x∃y{[(鼻xy&象y)→長x]→[(鼻xy&~象y)&長x]}   カEI
1   (ク) ∃x∃y{[(鼻xy&象y)→長x]→[(鼻xy&~象y)&長x]}   34キEE
(ⅲ)
1   (1) ∃x∃y{[(鼻xy&象y)→長x]→[(鼻xy&~象y)&長x]}   A
 2  (2)   ∃y{[(鼻ay&象y)→長a]→[(鼻ay&~象y)&長a]}   A
  3 (3)      [(鼻ab&象b)→長a]→[(鼻ab&~象b)&長a]    A
   4(4)      [(鼻ab&象b)→長a]                   A
  34(5)                    [(鼻ab&~象b)&長a]    34MPP
  34(6)                     (鼻ab&~象b)        5&E
  34(7)                   ~~(鼻ab&~象b)        6DN
  34(8)                               長a     5&E
  34(9)                             ~~長a     8DN
  34(ア)                 ~~(鼻ab&~象b)&~~長a     79&I
  34(イ)                 ~[~(鼻ab&~象b)∨~長a]    ア、ド・モルガンの法則
  34(ウ)                  ~[(鼻ab&~象b)→~長a]    イ含意の定義
  3 (エ)    [(鼻ab&象b)→長a]→~[(鼻ab&~象b)→~長a]    4ウCP
  3 (オ)   ~[(鼻ab&象b)→長a]∨~[(鼻ab&~象b)→~長a]    エ含意の定義
  3 (カ)   ~{(鼻ab&象b)→長a &  (鼻ab&~象b)→~長a}    オ、ド・モルガンの法則
  3 (キ)  ∃y~{(鼻ab&象b)→長a&  (鼻ab&~象b)→~長a}    カEI
 2  (ク)  ∃y~{(鼻ab&象b)→長a&  (鼻ab&~象b)→~長a}    23キEE
 2  (ケ)∃x∃y~{(鼻ab&象b)→長a&  (鼻ab&~象b)→~長a}    クEI
1   (コ)∃x∃y~{(鼻ab&象b)→長a&  (鼻ab&~象b)→~長a}    12ケEE
1   (サ)∃x~∀y{(鼻ab&象b)→長a&  (鼻ab&~象b)→~長a}    コ量化子の関係
1   (シ)~∀x∀y{(鼻ab&象b)→長a&  (鼻ab&~象b)→~長a}    サ量化子の関係
従って、
(14)により、
(15)
② ~∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x & (鼻xy&~象y)→~長x}
③ ∃x∃y{[(鼻xy&象y)→長x]→[(鼻xy&~象y)& 長x]}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(15)により、
(16)
② すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。といふわけでない。
③ あるxがあるyの鼻であって、yは象であり、xが長いならば、 あるxはあるyの鼻であって、yは象ではなく、xは長い。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(17)
③ あるxがあるyの鼻であって、yは象であり、xが長いならば、 あるxはあるyの鼻であって、yは象ではなく、xは長い。
といふことは、
③ 象以外にも、鼻の長い動物がゐる。
といふことである。
然るに、
(18)
③ 象以外にも、鼻の長い動物がゐる。
といふことは、
① 鼻は、象長い。
といふことではなく、
③ 鼻は、象長い。
といふ、ことである。
従って、
(14)~(18)により、
(19)
② 鼻は、象長い。⇔
② 鼻は、象は長く、象以外(バク、テングザル)も長い。⇔
② ~∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x & (鼻xy&~象y)→~長x}⇔
② すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。といふわけでない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(13)(19)により、
(20)
① 鼻は、象が長い=  ∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x}。
② 鼻は、象も長い=~∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x}。
従って、
(20)により、
(21)
① 鼻は、象長い。
② 鼻は、象長い。
に於いて、
① の「否定」が、② であって、
② の「否定」が、① である。
といふ、ことになる。
令和元年07月12日、毛利太。

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