2019年11月17日日曜日

「象は鼻が長い」の「述語計算」。

― しばらく、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他」を、お読み下さい。―

(01)
(ⅰ)
1   (1)~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A
1   (2)∃x~{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} 1量化子の関係
 3  (3)  ~{象a→[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]} A
 3  (4) ~{~象a∨[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]} 3含意の定義
 3  (5)   象a&~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]  4ド・モルガンの法則
 3  (6)   象a                             5&E
 3  (7)      ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]  5&E
 3  (8)      ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)   7ド・モルガンの法則
 3  (9)       ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)   8含意の定義
  ア (ア)       ∃y(鼻ya&長y)                 A
 3ア (イ)                  ~∀z(~鼻za→~長z)   9アMPP
 3ア (ウ)                  ∃z~(~鼻za→~長z)   イ量化子の関係
   エ(エ)                    ~(~鼻ba→~長b)   A
   エ(オ)                    ~( 鼻ba∨~長b)   エ含意の定義
   エ(カ)                      ~鼻ba& 長b    オ、ド・モルガンの法則
   エ(キ)                   ∃z(~鼻za& 長z)   カEI
 3ア (ク)                   ∃z(~鼻za& 長z)   ウエキEE
 3  (ケ)        ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   アクCP
 3  (コ)    象a&[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)]  6ケ&I
 3  (サ) ∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} コEI
1   (シ) ∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} 13サEE
(ⅱ)
1   (1) ∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} A
 2  (2)    象a&[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)]  A
 2  (3)    象a                            2&E
 2  (4)        ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   2&E
  5 (5) ∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A<br>
  5 (6)    象a→[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]  5UE<br>
 25 (7)        ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)   36MPP
 25 (8)        ∃y(鼻ya&長y)                7&E
 25 (9)                   ∃z(~鼻za& 長z)   48MPP
 25 (ア)                   ∀z(~鼻za→~長z)   7&E
   イ(イ)                      ~鼻ba& 長b    A
 25 (ウ)                      ~鼻ba→~長b    アUE
   イ(エ)                      ~鼻ba        イ&E
 25イ(オ)                           ~長b    ウエMPP
   イ(カ)                            長b    イ&E
 25イ(キ)                        ~長b&長b    オカ&I
 25 (ク)                        ~長b&長b    9イキEE
 2  (ケ)~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} 5クRAA
1   (コ)~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} 12ケEE
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
②  ∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。といふことはない。
②                 あるxが象であって、    あるyがxの鼻であって長いならば、       あるzはxの鼻でなくて、長い。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
「ある命題A」  と「ある命題B 」 が「等しい」のであれば、
「命題Aの否定」と「命題Bの否定」も「等しい」。
従って、
(02)(03)により、
(04)
①  ~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
②   ∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]}
に於いて、
①=② であるが故に、
③ ~~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
④  ~∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]}
に於いても、
③=④ でなければ、ならない。
然るに、
(05)
「二重否定(DN)」により、
③ ~~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
⑤     ∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
に於いて、
③=⑤ である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
③  ∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
④ ~∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]}
に於いても、
③=④ でなければ、ならない。
然るに、
(07)
(ⅲ)
1   (1) ∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A
1   (2)    象a→[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]  1UE
 3  (3)    象a&[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)]  A
 3  (4)    象a                            3&E
 3  (5)       [∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)]  3&E
  6 (6)        ∃y(鼻ya&長y)                A 
 36 (7)                   ∃z(~鼻za& 長z)   56MPP
   8(8)                      ~鼻ba& 長b    A
   8(9)                   ~~(~鼻ba& 長b)   8DN
   8(ア)                   ~(~~鼻ba∨~長b)   9ド・モルガンの法則
   8(イ)                    ~(~鼻ba→~長b)   ア含意の定義
   8(ウ)                  ∃z~(~鼻za→~長z)   イEI
 36 (エ)                  ∃z~(~鼻za→~長z)   78ウEE
 36 (オ)                  ~∀z(~鼻za→~長z)   エ量化子の関係
13  (カ)        ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)   24MPP
13  (キ)                   ∀z(~鼻za→~長z)   カ&E
136 (ク)     ~∀z(~鼻za→~長z)&∀z(~鼻za→~長z)   オキ&I
13  (ケ)       ~∃y(鼻ya&長y)                6クRAA
13  (コ)        ∃y(鼻ya&長y)                カ&E
13  (サ)       ~∃y(鼻ya&長y)&∃y(鼻ya&長y)     ケコ&I
1   (シ)  ~{象a&[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)]} 3サRAA
1   (ス)∀x~{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} シUI
1   (セ)~∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} ス量化子の関係
(ⅳ)
1   (1)~∃x{象x&[ ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)]} A
1   (2)∀x~{象x&[ ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)]} 1量化子の関係
1   (3)  ~{象a&[ ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)]} 2UE
1   (4)  ~{象a&[~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)]} 3含意の定義
1   (5)  ~象a∨~[~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)]  4ド・モルガンの法則
1   (6)   象a→~[~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)]  5含意の定義
 7  (7)   象a                               A
17  (8)      ~[~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)]  67MPP
17  (9)         ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za& 長z)   8ド・モルガンの法則
17  (ア)                    ~∃z(~鼻za& 長z)   9&E
17  (イ)                    ∀z~(~鼻za& 長z)   ア量化子の関係
17  (ウ)                      ~(~鼻ba& 長b)   イUE
17  (エ)                       ~~鼻ba∨~長b    ウ、ド・モルガンの法則
17  (オ)                        ~鼻ba→~長b    エ含意の定義
17  (カ)                     ∀z(~鼻za→~長z)   オUI
17  (キ)          ∃y(鼻ya&長y)                9&E
17  (ク)          ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)   カキ&I
1   (ケ)      象a→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} 7クCP
1   (コ)   ∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} ケUI
従って、
(07)により、
(08)
果たして、
③  ∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
④ ~∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]}
に於いて、
③=④ である。
(09)
例へば、
(ⅰ)
1   (1)~∀x{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A
1   (2)∃x~{象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} 1量化子の関係
(ⅳ)
1   (1)~∃x{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} A
1   (2)∀x~{象x&[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)]} 1量化子の関係
で用ひた、「量化子の関係」の「証明」は、次(10、11)の通りである。
(10)
(a)~∀xFx├ ∃x~Fx
1  (1)  ~∀xFx  A
 2 (2) ~∃x~Fx  A
  3(3)    ~Fa  A
  3(4)  ∃x~Fx  3EI
 23(5) ~∃x~Fx&
        ∃x~Fx  24&I
 2 (6)   ~~Fa  35RAA
 2 (7)     Fa  6DN
 2 (8)   ∀xFx  7UI
12 (9)  ~∀xFx&
         ∀xFx  28&I
1  (ア)~~∃x~Fx  29RAA
1  (イ)  ∃x~Fx  アDN
(b)∃x~Fx├ ~∀xFx
1  (1) ∃x~Fx A
 2 (2)   ~Fa A
  3(3)  ∀xFx A
  3(4)    Fa 3UE
 23(5)~Fa&Fa 24&I
 2 (6) ~∀xFx 35RAA
1  (7) ~∀xFx 126EE
(11)
(c)~∃xFx├ ∀x~Fx
1 (1)~∃xFx  A
 2(2) ∀xFx  A
 2(3)   Fa  2UE
 2(4) ∃xFx  3EI
12(5)~∃xFx&
      ∃xFx  14&I
1 (6)  ~Fa  35RAA
1 (7)∀x~Fx  6UI
(d)∀x~Fx├ ~∃xFx
1  (1) ∀x~Fx A
1  (2)   ~Fa A
 3 (3)  ∃xFx A
  4(4)    Fa A
1 4(5)~Fa&Fa 24&I
13 (6)~Fa&Fa 345EE
1  (7) ~∃xFx 26RAA
従って、
(10)(11)により、
(12)
「日本語(自然言語)」で言ふと、
① すべてのxがFである。といふわけではない。
② あるxは、 Fでない。
③ あるxが、 Fである。といふことはない。
④ すべてのxはFでない。
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
(13)
述語計算の方が(、アリストテレスの三段論法よりも、)習い覚えるのに骨が折れるということは確かにその通りである(unquestionably hard to learn)。
(E.J.レモン著、竹尾 治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、216頁改)
しかしながら、
(14)
(d)∀x~Fx├ ~∃xFx
1  (1) ∀x~Fx A
1  (2)   ~Fa A
 3 (3)  ∃xFx A
  4(4)    Fa A
1 4(5)~Fa&Fa 24&I
13 (6)~Fa&Fa 345EE
1  (7) ~∃xFx 26RAA
に於ける「それ」は、「自然演繹(Natural deduction:自然な演繹法)」と言ふくらひなので、これとは別の、「公理的展開(axiomatic development)」の方が、「自然演繹」よりも「難しい」ものと、思はれる。
(15)
「漢文の文法」  と「述語論理の文法」を比べると、「難しさ」は「同じくらひ」であるが、
「ラテン語の文法」と「述語論理の文法」を比べると、「ラテン語の文法(を覚える)」の方が、遥かに、極端に、難しい。
令和元年01月17日、毛利太。

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