―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。
(01)
③ 天帝使我長百獣=
③ 天帝使〔我長(百獣)〕⇒
③ 天帝〔我(百獣)長〕使=
③ 天帝〔我をして(百獣に)長たら〕使む=
③ 天帝 let me be the chief of all the beasts.
(02)
1 (1)∃x∃y{天帝x&我y&∀z(獸z⇔長xyz)} A
2 (2) ∃y{天帝a&我y&∀z(獸z⇔長ayz)} A
3 (3) 天帝a&我b&∀z(獸z⇔長abz) A
3 (4) ∀z(獸z⇔長abz) 3&E
3 (5) 獸c⇔長abc 4UE
3 (6) 獸c→長abc&長abc→獸c 5Df.⇔
3 (7) 長abc→獸c 6&E
3 (8) ~獸c→~長abc 7対偶
9 (9)∃w(鳥w&~獸w) A
ア(ア) 鳥c&~獸c A
ア(イ) 鳥c ア&E
ア(ウ) ~獸c イ&E
3 ア(エ) ~長abc 8ウMPP
3 ア(オ) 鳥c&~長abc イエ&I
3 ア(カ)∃w(鳥w&~長abw) オEI
39 (キ)∃w(鳥w&~長abw) 9アカEE
2 (ク) 天帝a&我b 3&E
239 (ケ) 天帝a&我b&∃w(鳥w&~長abw) キク&I
239 (コ) ∃y{天帝a&我y&∃w(鳥w&~長ayw) ケEI
2 9 (サ) ∃y{天帝a&我y&∃w(鳥w&~長ayw)} 23コEE
2 9 (シ)∃x∃y{天帝x&我y&∃w(鳥w&~長xyw)} サEI
1 9 (ス)∃x∃y{天帝x&我y&∃w(鳥w&~長xyw)} 12シEE
従って、
(02)により、
(03)
(1)あるxは天帝であり、あるyは我であって、すべてのzについて、zが獸であるならば、その時に限って、xはyを、zの長にする。 と「仮定」し、
(9)あるwは鳥であって獸ではない。 と「仮定」すると、
(ス)あるxは天帝であり、あるyは我であって、あるwは鳥であって獸ではないが、xは、yを、wの長にはしない。 といふ『結論』を得る。
(∴)我は、百獸の長であっても、鳥の長ではない。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
③ 天帝使我長百獣=
といふ「漢文訓読」は、
③ ∃x∃y{天帝x&我y&∀z(獸z⇔長xyz)}=
③ あるxは天帝であり、あるyは我であって、すべてのzについて、zが獸であるならば、その時に限って、xはyを、zの長にする。
といふ「述語論理」に、相当する。
従って、
(04)により、
(05)
『これ迄に示した記事』と、併せて言ふと、
(a)
① 虎求百獸而食之得狐。
② 狐曰子無敢食我也。
③ 天帝使我長百獸。
④ 今子食我是逆天帝命也。
⑤ 子以我爲不信吾爲子先行。
⑥ 子隨我後觀。
⑦ 百獸之見我而敢不走乎。
⑧ 虎以爲然。
⑨ 故遂與之行。
⑩ 獸見之皆走。
⑪ 虎不知獸畏己而走也。
⑫ 以爲畏弧也。
(b)
① 虎百獸を求め而之を食らひ狐を得たり。
② 狐曰はく、子敢へて我を食らふこと無かれ。
③ 天帝、我をして百獸に長たら使む。
④ 今子我を食らはば、是れ天帝の命に逆らふなり。
⑤ 子我を以て信なら不と爲さば、吾子の爲に先行せむ。
⑥ 子我が後に隨ひて觀よ。
⑦ 百獸之我を見て敢へて走ら不らんや。と。
⑧ 虎以て然りと爲す。
⑨ 故に遂に之與行く。
⑩ 獸之を見て皆走る。
⑪ 虎獸の己を畏れて走るを知ら不るなり。
⑫ 以て狐を畏るると爲す也。と。
といふ「漢文(戦国策、虎の威を借かる)」に於ける、
① 虎求百獸而食之得狐。
③ 天帝使我長百獸。
⑦ 百獸之見我而敢不走乎。
といふ「漢文」は、それぞれ、
① ∃y{虎y&∀x[獸x→求yx&食yx&∃z(狐z&獸z&得yz)]}
③ ∃x∃y{天帝x&我y&∀z(獸z⇔長xyz)}
⑦ ∃x{我x&∀y(獸y→見yx&走y)}
といふ「述語論理」に、相当する。
然るに、
(06)
② 狐曰子無敢食我也。⇔
② 狐曰はく、子敢へて我を食らふこと無かれ。
の場合は、「命令形」である。
然るに、
(07)
「論理学」は「命題」だけを「研究の対象」とし、尚且つ、「命令形」は、「命題」ではない。
従って、
(06)(07)により、
(08)
② 狐曰子無敢食我也。⇔
② 狐曰はく、子敢へて我を食らふこと無かれ。
といふ「漢文訓読」を、「述語論理」に「翻訳」することは、出来ない。
(09)
① ∃y{虎y&∀x[獸x→求yx&食yx&∃z(狐z&獸z&得yz)]}
③ ∃x∃y{天帝x&我y&∀z(獸z⇔長xyz)}
⑦ ∃x{我x&∀y(獸y→見yx&走y)}
に於ける「変数(x、y、z)」は、「個物(集合の要素)」に、対応する。
然るに、
(10)
④ 今子食我是逆天帝命也。
④ 今子我を食らはば、是れ天帝の命に逆らふなり。
に於ける、
④ 天帝命
は、「個物(集合の要素)」ではない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
④ 今子食我是逆天帝也。⇔
④ 今子我を食らはば、是れ天帝に逆らふなり。
といふ「漢文訓読」を、「述語論理」に「翻訳」することは、出来ない。
然るに、
(12)
④ 今子食我是逆天帝命也。
④ 今子我を食らはば、是れ天帝の命に逆らふなり。
ではなく、
④ 今子食我是逆天帝也。
④ 今子我を食らはば、是れ天帝に逆らふなり。
とするならば、
④ 天帝
は、「個物(集合の要素)」である。
従って、
(09)(12)により、
(13)
④ 今子食我是逆天帝也。
④ 今子我を食らはば、是れ天帝に逆らふなり。
であるならば、
④ ∃x∃y∃z{子x&我y&天帝z&(食xy→逆xz)}⇔
④ あるxは子であって、あるyは我であって、あるzは天帝であって、xがyを食らふならば、xはzに逆らふ。
といふ「述語論理」に、「翻訳」することが、出来る。
従って、
(05)~(13)により、
(14)
いづれにせよ、
① 虎求百獸而食之得狐。
② 狐曰子無敢食我也。
③ 天帝使我長百獸。
④ 今子食我是逆天帝命也。
⑤ 子以我爲不信吾爲子先行。
⑥ 子隨我後觀。
⑦ 百獸之見我而敢不走乎。
⑧ 虎以爲然。
⑨ 故遂與之行。
⑩ 獸見之皆走。
⑪ 虎不知獸畏己而走也。
⑫ 以爲畏弧也。
といふ「漢文の全体」を、「述語論理」に「翻訳」することは、出来ない。
平成31年04月17日、毛利太。
0 件のコメント:
コメントを投稿