―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。―
(01)
An example in English:
Socrates is a man.
Therefore, Socrates is a man or pigs are flying in formation over the English Channel.
(英語版、ウィキペディア、Disjunction introduction)
然るに、
(02)
「PまたはQ」に対する真理値の割り当てを「排他的または」に対して行うと、二つの命題PとQのどちらかひとつが真のときに限って、「PまたはQ」が真になるに対し、「包含的または」に対して行うと、二つの命題PとQのどちらかひとつでも真のときに「PまたはQ」が真になる。― 中略 ―、命題論理は、「包含的または」の方を採用しており、「真理表」にもそれが反映されている(早川書房、「不可能、不確定、不完全、」、2011年、207頁改)。
従って、
(03)
「真理表」に従ふ限り、
「P∨Q(PかQである。)」が真であるならば、Pが偽であるならば、Qは真である。
「P∨Q(PかQである。)」が真であるならば、Pが真であるならば、Qは真であっても、Qは偽であっても、かまわない。
然るに、
(04)
1 (1) ~(~P∨P) A
2(2) ~P A
2(3) ~P∨P 2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 13&I
1 (5) ~~P 24RAA
1 (6) P 5DN
1 (7) ~P∨P 6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 18&I
(9)~~(~P∨P) 18RAA
(ア) ~P∨P 9DN
(〃)PでないかPである。
然るに、
(05)
# (ア) ~P∨P 8DN
といふ風に、書くならば、
# は、
(ア) ~P∨P 8DN
といふ「結論」が依存する、「仮定」を示してゐる。
従って、
(05)により、
(06)
# (ア) ~P∨P 8DN
ではなく、
(ア) ~P∨P 8DN
である、といふことは、
(ア) ~P∨P 8DN
といふ「結論」は、「仮定の数」が「0個」である。
といふことを、「意味」してゐる。
然るに、
(07)
「仮定の数」が「0個」であるといふことは、「その結論」は、「常に真である」。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(04)~(07)により、
(08)
「~P∨P(排中律)」は、「常に真である」。
然るに、
(09)
1(1) P A
1(2) P∨Q 1∨I
(3) P→ P∨Q 12CP
(4) ~P∨P∨Q 含意の定義
(5)(~P∨P)∨Q 結合法則
(6)( 排中律 )∨Q 5
(7)( 常に真 )∨Q 6
従って、
(03)(09)により、
(10)
「真理表」に従ふ限り、
(ⅰ)「(~P∨P)∨Q」に於ける、「排中律(~P∨P)」は、「時に偽」であるため、Qは真である。
(ⅱ)「(~P∨P)∨Q」に於ける、「排中律(~P∨P)」は、「常に真」であるため、Qは真であっても、Qは偽であっても、かまわない。
に於いて、
(ⅰ)は有り得ないため、必ず、
(ⅱ)である。
然るに、
(11)
1(1) P A
1(2) P∨Q 1∨I
であれば、必然的に、
(3) P→ P∨Q 12CP
(4) ~P∨P∨Q 含意の定義
(5)(~P∨P)∨Q 結合法則
(〃)( 排中律 )∨Q 5
(〃)( 常に真 )∨Q 6
といふ、ことになる。
従って、
(10)(11)により、
(12)
1(1) P A
1(2) P∨Q 1∨I
であれば、必然的に、Qは真であっても、Qは偽であっても、かまわない。
従って、
(12)により、
(13)
1(1)明日は土曜である。 A
1(2)明日は土曜であるか、明日は雨である。 1∨I
といふ「推論」は、
「明日は土曜である。 従って、明日は土曜であるか、明日は雨である。」と言ってゐる一方で、それと「同時」に、
「明日は土曜であるが、明日は雨であるか、雨でないかは、分からない。」と言ってゐるのに、「等しい」。
然るに、
(02)により、
(14)
命題論理が、「包含的または」の方を採用してゐなくて、
命題論理が、「排他的または」の方を採用してゐるのであれば、
(ⅱ)「(~P∨P)∨Q」に於ける、「排中律(~P∨P)」は、「常に真」であるため、Qは「必ず偽」である。
従って、
(14)により、
(15)
命題論理が、「排他的または」の方を採用してゐるのであれば、
1(1)明日は土曜である。 A
1(2)明日は土曜であるか、明日は雨である。 1∨I
1(3) 明日は雨ではない。 12「排他的または」の定義。
といふ「推論」は「妥当(valid)」である。
然るに、
(16)
「明日は土曜である。従って、明日は土曜であるか、明日は雨である。従って、明日は雨ではない。」
といふ「推論」は、「妥当(valid)」ではない。
従って、
(01)~(16)により、
(17)
命題論理が、「排他的または」ではなく、「包含的または」の方を採用するならば、そのときに限って、
1(1)ソクラテスは人間である。 A
1(2)ソクラテスは人間であるか、豚がイギリスの海峡を越えて編隊で飛んでいる。 1UI
といふ「推論」は、
「ソクラテスは人間であるが、豚がイギリスの海峡を越えて編隊で飛んでいるかどうかは、分からない。」
といふ「推論」として、「妥当(valid)」である。
平成31年04月20日、毛利太。
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