2019年4月19日金曜日

「選言導入の規則(∨I)」は「不自然」ではない。

―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。―
(01)
An example in English:
Socrates is a man.
Therefore, Socrates is a man or pigs are flying in formation over the English Channel.
(英語版、ウィキペディア、Disjunction introduction)
然るに、
(02)
「PまたはQ」に対する真理値の割り当てを「排他的または」に対して行うと、二つの命題PとQのどちらかひとつが真のときに限って、「PまたはQ」が真になるに対し、「包含的または」に対して行うと、二つの命題PとQのどちらかひとつでも真のときに「PまたはQ」が真になる。― 中略 ―、命題論理は、「包含的または」の方を採用しており、「真理表」にもそれが反映されている(早川書房、「不可能、不確定、不完全、」、2011年、207頁改)。
従って、
(03)
真理表」に従ふ限り、
「P∨Q(PかQである。)」が真であるならば、Pが偽であるならば、Qはである。
「P∨Q(PかQである。)」が真であるならば、Pが真であるならば、Qはであっても、Qはであっても、かまわない
然るに、
(04)
1 (1) ~(~P∨P)  A
 2(2)   ~P     A
 2(3)   ~P∨P   2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  13&I
1 (5)  ~~P     24RAA
1 (6)    P     5DN
1 (7)   ~P∨P   6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  18&I
  (9)~~(~P∨P)  18RAA
  (ア)   ~P∨P   9DN
  (〃)PでないPである。
然るに、
(05)
# (ア)   ~P∨P   8DN
といふ風に、書くならば、
# は、
  (ア)   ~P∨P   8DN
といふ「結論」が依存する、「仮定」を示してゐる。
従って、
(05)により、
(06)
# (ア)   ~P∨P   8DN
ではなく、
  (ア)   ~P∨P   8DN
である、といふことは、
  (ア)   ~P∨P   8DN
といふ「結論」は、「仮定の数」が「0個」である。
といふことを、「意味」してゐる。
然るに、
(07)
仮定の数」が「0個」であるといふことは、「その結論」は、「常に真である」。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(04)~(07)により、
(08)
「~P∨P(排中律)」は、「常に真である」。
然るに、
(09)
1(1) P        A
1(2)    P∨Q   1∨I
 (3) P→ P∨Q   12CP
 (4) ~P∨P∨Q   含意の定義
 (5)(~P∨P)∨Q  結合法則
 (6)( 排中律 )∨Q  5
 (7)( 常に真 )∨Q  6
従って、
(03)(09)により、
(10)
「真理表」に従ふ限り、
(ⅰ)「(~P∨P)∨Q」に於ける、「排中律(~P∨P)」は、「に偽」であるため、Qは真である。
(ⅱ)「(~P∨P)∨Q」に於ける、「排中律(~P∨P)」は、「に真」であるため、Qはであっても、Qはであっても、かまわない
に於いて、
(ⅰ)は有り得ないため、必ず、
(ⅱ)である。
然るに、
(11)
1(1) P        A
1(2)    P∨Q   1∨I
であれば、必然的に、
 (3) P→ P∨Q   12CP
 (4) ~P∨P∨Q   含意の定義
 (5)(~P∨P)∨Q  結合法則
 (〃)( 排中律 )∨Q  5
 (〃)( 常に真 )∨Q  6
といふ、ことになる。
従って、
(10)(11)により、
(12)
1(1) P        A
1(2)    P∨Q   1∨I
であれば、必然的に、Qはであっても、Qはであっても、かまわない
従って、
(12)により、
(13)
1(1)明日は土曜である。          A
1(2)明日は土曜である、明日は雨である。 1∨I
といふ「推論」は、
「明日は土曜である。 従って、明日は土曜であるか、明日は雨である。」と言ってゐる一方で、それと「同時」に、
「明日は土曜であるが、明日は雨であるか、雨でないかは、分からない。」と言ってゐるのに、「等しい」。
然るに、
(02)により、
(14)
命題論理が、「包含的または」の方を採用してゐなくて、
命題論理が、「排他的または」の方を採用してゐるのであれば、
(ⅱ)「(~P∨P)∨Q」に於ける、「排中律(~P∨P)」は、「常に真」であるため、Qは「必ず偽」である。
従って、
(14)により、
(15)
命題論理が、「排他的または」の方を採用してゐるのであれば、
1(1)明日は土曜である。           A
1(2)明日は土曜である、明日は雨である。  1∨I
1(3)          明日は雨ではない。 12「排他的または」の定義。
といふ「推論」は「妥当(valid)」である。
然るに、
(16)
「明日は土曜である。従って、明日は土曜である、明日は雨である。従って、明日は雨ではない。」
といふ「推論」は、「妥当(valid)」ではない。
従って、
(01)~(16)により、
(17)
命題論理が、「排他的または」ではなく、「包含的または」の方を採用するならば、そのときに限って、
1(1)ソクラテスは人間である。                        A
1(2)ソクラテスは人間である、豚がイギリスの海峡を越えて編隊で飛んでいる。 1UI
といふ「推論」は、
「ソクラテスは人間であるが、豚がイギリスの海峡を越えて編隊で飛んでいるかどうかは、分からない。」
といふ「推論」として、「妥当(valid)」である。
平成31年04月20日、毛利太。

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