―「先ほどの記事」の「続き」を書きます。―
―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。―
(27)
1(1)ソクラテスは人間である。 A
1(2)ソクラテスは人間であるか、または、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいる。 1∨I
といふ「推論」を、「不自然」であると、思ふのであれば、
1(2)の左には、
1 しかない。
といふことは、
1の行 は、 「真 」であるが、
1の行 以外の「真偽」は、
1の行 に「依存」する。
といふことを、「意味」してゐる。
といふことを、「教へられてゐない」か、「忘れてゐる」の、どちらかである。
従って、
(27)により、
(28)
1(1)ソクラテスは人間である。 A
1(2)ソクラテスは人間であるか、または、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいる。 1選言導入の規則
であれば、
1(2)ソクラテスは人間である。
までが、「確実」に「真」であり、
1(2) 豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいる。
といふ「部分」に関しては、「真」であるかどうか、分からない。
といふ、ことになる。
従って、
(28)により、
(29)
1(1)P A
1(2)P∨Q 1∨I
に於いて、
1(2)の左には、
1 しかない。
といふことは、
1の行 は、 「真 」であるが、
1の行 以外の「真偽」は、
1の行 に「依存」する。
といふことからすれば、
1(1)ソクラテスは人間である。 A
1(2)ソクラテスは人間であるか、または、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいる。 1選言導入の規則
といふ「推論」は、初めから、
1(1) ソクラテスは人間である。 A
1(2)従って、ソクラテスは人間であるが、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいるかどうかは、分からない。 1選言導入の規則
といふ「意味」であった。といふことになる。
従って、
(29)により、
(30)
1(1)P A
1(2)P∨Q 1∨
1(3)P∨Q∨R 1∨
1(4)P∨Q∨R∨S 1∨
1(5)P∨Q∨R∨S∨T 1∨
1(6)P∨Q∨R∨S∨T∨U 1∨
といふ具合に、「いくらでも、無限に、選言肢を加へること」が出来、尚且つ、「これらの選言枝」は、「真」であっても、「偽」であっても、かまはない。
然るに、
(31)
1(1)P A
(2)P→P 11CP
(〃)PであるならばPである。 は、トートロジーである。
cf.
トートロジー(tautology)
文法的には同じ語の無意味な反復をいうが,論理学では,経験的知識の内容とはかかわりなく,必然的に真として成立する命題,ないしその関数関係をいう。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)
然るに、
(32)
1(1) P A
1(2) P∨~P ∨I
1(3)~P∨ P 2交換法則
1(4) P→ P 3含意の定義
(5) P→(P→P) 14CP
(〃)Pであるならば(PであるならばPである)。 は、トートロジーである。
従って、
(31)(32)により、
(33)
① PであるならばPである。
② Pであるならば(PであるならばPである)。
に於いて、
① は、トートロジーであり、
② も、トートロジーであるが、
② を「証明」するためには、「選言導入の規則(∨I)」を、「必要」とする。
(34)
(ⅰ)
1 (1)P∨Q A
2 (2)P A
2 (3)Q∨P 2∨I
4(4) Q A
4(5)Q∨P 2∨I
1 (6)Q∨P 12345∨E
(ⅱ)
1 (1)Q∨P A
2 (2)Q A
2 (3)P∨Q 2∨I
4(4) P A
4(5)P∨Q 2∨I
1 (6)P∨Q 12345∨E
従って、
(34)により、
(35)
③ P∨Q
④ Q∨P
に於いて、すなはち、
③ Pであるか、Qである。
④ Qであるか、Pである。
に於いて、
③=④ である。
といふ「交換法則」を「照明」するためにも、「選言導入の規則(∨I)」を、「必要」とする。
cf.
③ 1+2=3
④ 2+1=3
然るに、
(36)
(ⅰ)
1 (1)P∨(Q∨R) A
2 (2)P A
2 (3)P∨R 2∨I
2 (4)Q∨(P∨R) 3∨I
5 (5) Q∨R A
6 (6) Q A
6 (7)Q∨(P∨R) 6∨I
8(8) R A
8(9) P∨R 8∨I
8(ア)Q∨(P∨R) 9∨I
5 (イ)Q∨(P∨R) 5678ア∨E
1 (ウ)Q∨(P∨R) 1245イ∨E
(ⅱ)
1 (1)Q∨(P∨R) A
2 (2)Q A
2 (3)Q∨R 2∨I
2 (4)P∨(Q∨R) 3∨I
5 (5) P∨R A
6 (6) P A
6 (7)P∨(Q∨R) 6∨I
8(8) R A
8(9) Q∨R 8∨I
8(ア)P∨(Q∨R) 9∨I
5 (イ)P∨(Q∨R) 5678ア∨E
1 (ウ)P∨(Q∨R) 1245イ∨E
従って、
(36)により、
(37)
⑤ P∨(Q∨R)
⑥ Q∨(P∨R)
に於いて、すなはち、
⑤ Pであるか(Qであるか、Rである)。
⑥ Qであるか(Pであるか、Rである)。
に於いて、
⑤=⑥ である。
といふ「交換法則」を「照明」するためにも、「選言導入の規則(∨I)」を、「必要」とする。
cf.
⑤ 1+(2+3)=6
⑥ 2+(1+3)=6
(38)
(ⅰ)
1 (1) P&(Q∨R) A
1 (2) P 1&E
1 (3) Q∨R 1&E
4 (4) Q A
14 (5) P&Q 24&I
14 (6)(P&Q)∨(P&R) 5∨I
7(7) R A
1 7(8) P&R 27&I
1 7(9)(P&Q)∨(P&R) 8∨I
1 (ア)(P&Q)∨(P&R) 34679EE
(ⅱ)
1 (1)(P&Q)∨(P&R) A
2 (2)(P&Q) A
2 (3) P 2&E
2 (4) Q 2&E
2 (5) Q∨R 4∨I
2 (6) P&(Q∨R) 35&I
7(7) (P&R) A
7(8) P 7&E
7(9) R 7&E
7(ア) Q∨R 9∨I
7(イ) P&(Q∨R) 8ア&I
1 (ウ) P&(Q∨R) 1267イEE
従って、
(38)により、
(39)
⑦ P&(Q∨R)
⑧ (P&Q)∨(P&R)
に於いて、すなはち、
⑦ Pであって(Qであるか、Rである)。
⑧(PであってQである)か、(PであってRである)。
といふ「分配法則」を「照明」するためにも、「選言導入の規則(∨I)」を、「必要」とする。
cf.
⑦ 2×(3+4) =14
⑧(2×3)+(2×4)=14
従って、
(33)~(39)により、
(40)
「選言導入の規則(∨I)」を認めなければ、「自然演繹(Natural deduction)」は、成り立たない。
cf.
自然演繹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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自然演繹(しぜんえんえき、英: Natural deduction)は、「自然な」ものとしての論理的推論の形式的モデルを提供する証明理論の手法であり、哲学的論理学の用語である。
従って、
(29)(40)により、
(41)
例へば、
1(1) ソクラテスは人間である。 A
1(2)従って、ソクラテスは人間であるが、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいるかどうかは、分からない。 1選言導入の規則
といふ、「選言導入の規則(∨I)」を認めなければ、「自然演繹(Natural deduction)」自体が、成り立たない。
従って、
(28)(41)により、
(42)
1(1)ソクラテスは人間である。 A
1(2)ソクラテスは人間であるか、または、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいる。 1選言導入の規則
といふ「選言導入の規則(∨I)」に対して、「疑念」を持ってゐるのであれば、「自然演繹(Natural deduction)」自体に、「疑念」を持ったまま、例へば、
1 (1)P∨(Q∨R) A
2 (2)P A
2 (3)P∨R 2∨I
2 (4)Q∨(P∨R) 3∨I
5 (5) Q∨R A
6 (6) Q A
6 (7)Q∨(P∨R) 6∨I
8(8) R A
8(9) P∨R 8∨I
8(ア)Q∨(P∨R) 9∨I
5 (イ)Q∨(P∨R) 5678ア∨E
1 (ウ)Q∨(P∨R) 1245イ∨E
といふ「計算(Proposition calculation)」を、行ってゐることになる。
然るに、
(43)
幸いなことに、今や、私自身は、「選言導入の規則(∨I)」に対して、「何らの、疑念」も、持ってはゐない。
(44)
1(1) ソクラテスは人間である。 A
1(2)従って、ソクラテスは人間であるが、豚がイギリスの海峡を越えて編隊を組んで飛んでいるかどうかは、分からない。 1選言導入の規則
といふ「推論(inference)」は、どう考へても、「自然(Natural)」であり、「妥当(valid)」である。
平成31年04月26日、毛利太。
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