―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。―
(01)
未
読み方:いまダ~ず
訳:まだ~ない
再読文字とは、返り点に関係なくまず副詞として読み、その後、返り点に従って、下から戻って動詞・助動詞として読む漢字のことです。
(ViCOLLA Magazine 改)
然るに、
(02)
never[副詞]
《ne「・・・でない+ever「かつて」》
① 一度も・・・ない。いまだかつて・・・ない。
② 決して・・・ない。少しも・・・ない。
(フェイバリット英和辞典、1996年)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① I have never been to New York.⇔
① 私は未だかつてニューヨークに行ったことがない。
に於ける、
① never=未だかつて・・・ない。
は、「英語の、再読文字(未)」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「再読文字」自体が、「不自然な読み方」である。といふわけではない。
(05)
① 未有仁而遺其親者也=
① 未不[有〔仁而遺(其親)者〕]也⇒
① 未[〔仁而(其親)遺者〕有]不也=
① 未だ仁にして其の親を遺つる者は有らざるなり=
① 昔から仁に志すもので親をすてさったものは一人もいない(孟子・梁惠王章句上、小林勝人 訳)。
然るに、
(06)
① 昔から仁に志すもので親をすてさったものは一人もいない。
といふことは、
① 仁者であって、自分の親を遺棄する者はゐない。
といふことである。
然るに、
(07)
① 仁者であって、自分の親を遺棄する者はゐない。
といふことは、
① ∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy)}⇔
① すべてのxについて、xが仁者であるならば、あるyはxの親であって、xがyを遺棄するといふ、そのやうなyは存在しない。
といふことに、他ならない。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1 (1)∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy)} A
1 (2) 仁a→~∃y(親ya&遺ay) 1UE
3 (3) 仁a A
13 (4) ~∃y(親ya&遺ay) 23MPP
13 (5) ∀y~(親ya&遺ay) 4量化子の関係
13 (6) ~(親ba&遺ab) 5UE
13 (7) ~親ba∨~遺ab 6ド・モルガンの法則
13 (8) 親ba→~遺ab 7含意の定義
13 (9) ∀y(親ya→~遺ay) 8UI
1 (ア) 仁a→∀y(親ya→~遺ay) 39CP
1 (イ)∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)} アUI
(ⅱ)
1 (1)∀x{仁x→∀y(遺xy→~親yx)} A
1 (2) 仁a→∀y(遺ay→~親ya) 1UE
3 (3) 仁a A
13 (4) ∀y(遺ay→~親ya) 23MPP
13 (5) 遺ab→~親ba 4UE
13 (6) ~遺ab∨~親ba 5含意の定仁
13 (7) ~(遺ab& 親ba) 6ド・モルガンの法則
13 (8) ∀y~(遺ab& 親ba) 7UI
13 (9) ~∃y(遺ay& 親ya) 8量化子の関係
1 (ア) 仁a→~∃y(遺ay&親ya) 39CP
1 (イ)∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy) アUI
従って、
(08)により、
(09)
① ∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy)}
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)(09)により、
(10)
① 仁者であって、自分の親を遺棄する者はゐない。
といふことは、
① ∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy)}⇔
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}⇔
① すべてのxについて、xが仁者であるならば、あるyはxの親であって、xがyを遺棄するといふ、そのやうなyは存在しない。
② すべてのxについて、xが仁者であるならば、すべてのyについて、yがxの親であるならば、xはyを遺棄しない。
といふことに、他ならない。
従って、
(10)により、
(11)
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}⇔
② すべてのxについて、xが仁者であるならば、すべてのyについて、yがxの親であるならば、xはyを遺棄しない。
といふ「述語論理」は、
② すべてのxについて、・・・・・・、xは、・・・しない。
といふ「形」をしてゐる。
然るに、
(11)により、
(12)
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}
に於いて、
② ∀x
といふ「 量化子 」は、「二度、読まれてゐて、二度目に、否定で、文を終へてゐる。」
然るに、
(01)(05)により、
(13)
① 未だ仁にして其の親を遺つる者は有らず。
に於いて、
① 未だ
といふ「再読文字」は、「二度、読まれてゐて、二度目に、否定で、文を終へてゐる。」
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 未だ仁にして其の親を遺つる者は有らず。
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}
に於いて、
「再読文字と量化子」は、「二度、読まれてゐて、二度目に、否定で、文を終へてゐる。」
従って、
(14)により、
(15)
① 未だ仁にして其の親を遺つる者は有らず。
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}
に於いて、
① 未だ の「働き」と、
② ∀x の「働き」は、「似てゐる。」
従って、
(01)(14)(15)により、
(16)
② ∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}
に於ける、
② ∀x
といふ「量化子」は、「再読文字」ではないにせよ、「再読文字的」である。
平成31年04月18日、毛利太。
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